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第46回白山大賞典JpnIII

待機策からまくり一閃
  アウトレンジは展開に泣く

5年ぶりのJBC開催がおよそ1月半と迫った金沢競馬場にとり、今年の白山大賞典JpnIIIはさながらそのJBCに向けての“プレイベント”。長い連休の終盤でもあり、多くの来場客を集め賑わった。場内には木馬を使った騎手体験や、使用済み蹄鉄を使ったアクセサリーのワークショップなど、子どもも楽しめるイベントが用意され、家族連れを含めた来場客の笑顔や歓声が、このあとすぐやってくるJBC当日の盛り上がりを予感させた。

レースは、JBCクラシックJpnIと同じコースと距離で争われるだけに、例年以上の好メンバーが集まり、スタートから様々な駆け引きと戦いが生まれる興味深い内容となった。

2コーナー出口からコースを1周半する金沢2100メートルの攻防。その序盤、1番枠を引いた1番人気のアウトレンジが発馬を決め、流れのままに先手を取るかに思われた。しかし、互角にゲートを出られたユメノホノオが外から並びかけ、両者併走。ここで早くも、波乱ムードが漂う。

1周目3コーナーでは、ユメノホノオが先手。アウトレンジはそのまま内で控えて先行集団のただ中に位置を取ったが、ペースが上がらず後続が追いついてきた。中でも、「スタートは元々速いほうではない」(寺島良調教師)ことから発馬で出遅れていた2番人気のクールミラボーは、馬場が重く先団が空けて走っていた内ラチ沿いを通って前に並びかけ、最初のゴール板前で先頭にまで出て行った。隊形が決まるまでに時間がかかり、駆け引きの最中にいた馬たちにとっては、スローペースなのに脚を使う厳しい展開になった。

一方、始めから腹を括り出たなりの後方待機を決め込んでいた、5番人気のホウオウルーレットにとっては、脚をそれほど使うことなく、概ねひとかたまりの集団から大きくは離されず、岩田康誠騎手がレース後話したようにまさに「展開が嵌まった」。向正面で発動されたまくり追い込みは、ゴールまでに前を行く全ての馬を飲み込み、最終的な着差は2馬身半。直線半ばからはまさに独壇場だった。検量室前まで引き上げて来た岩田騎手は、高々と拳を上げて勝利をアピール。観衆の声援に応えた。

クールミラボーは2着だったが、それでも3コーナーで勝ち馬に並ばれてから、抵抗を見せた。寺島調教師は「出遅れたあとの(坂井)瑠星の対処がうまかった。先頭に立ってからの2周目はいい競馬だった」と、一連の立ち回りを前向きに評価。坂井瑠星騎手は「相手は強かったが、凄く力をつけていると感じた」と短かったが、その言葉からは、重賞でも戦える手応えを感じた様子が受け取れた。

アウトレンジは、更に1馬身差の3着。前にも横にも馬がいたからか、勝ち馬のまくりへの対処が遅れ、3コーナーで前2頭に一瞬水をあけられたのを最後まで挽回できなかった。騎手の談話は得られなかったが、次走目標とするJBCクラシックで悲願のJpnI制覇を目指すこの馬の“課題”が、前哨戦の段階で整理されたと、前向きに捉えたい。

地方所属馬では、兵庫のダンテバローズが4着で最先着。小牧太騎手は「馬込みも全然嫌がらず、いい競馬は出来た。ただペースが遅かったから、まくられてしまった」と話し、むしろもっと上が狙えたというニュアンス。新子雅司調教師は、パトロールビデオを見ながら「“本番”が楽しみです」と、次の矛先がJBCクラシックJpnIに向いていることを示唆した。

なお、本競走の売得金額は10億6596万7600円に上り、一昨年に記録した白山大賞典の売得金レコードを2割以上更新。1カ月半後に迫ったJBC開催に向け、興行面でも大いに弾みがついた。

取材・文坂田博昭

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

岩田康誠騎手

(レース展開は)これしか考えていませんでした。馬は本当にフレッシュな状態で、返し馬が良かったので、ひょっとしたらいいんじゃないかと思ったら、勝ちましたね。年末の東京大賞典の時には、力が足りないのかなと思いましたが、こういうパフォーマンスが出来たので、まだ上を狙えると思います。

栗田徹調教師

早い段階で白山大賞典に出られるとわかり、しっかり調整しました。浦和記念で対応出来たので、小回りでも脚を使えるのではないかと思いここを選びました。休み明けが良く、調教での活気ある動きが競馬に出たと思います。使い込んでいいタイプでないので、今後のレースは馬主等と相談して決めます。