スタート決めて直線弾ける
3連単は285万円の大波乱
短距離路線を目指す2歳戦。今年からH1重賞に昇格した北海道2歳スプリント、牝馬のエーデルワイス賞JpnIIIを目標とする14頭がそろった。他地区から6名の騎手が来場。愛知の望月洵輝騎手、笠松の渡邊竜也騎手はここまで2勝して存在感を示していた。
牝馬重賞を2連勝し無傷の3連勝で臨むセルアウトクラウドが単勝1.1倍の人気で、望月騎手が乗るウィナーズチャレンジの勝ち馬アペリティーヴォ、巻き返しを図る栄冠賞馬ダブルゲームが2、3番人気と続いた。
ミラクルヴェリテがレース前に蹄鉄を打ち直すため少し発走時刻が遅れたが、そろったスタート。大外枠となったセルアウトクラウドが先頭をうかがう。内からコパノシチリア、外にアペリティーヴォ、大井の笹川翼騎手のカリムパッションと続き、全頭一団のまま4コーナーへ。
先頭のセルアウトクラウドに、カリムパッションが並びかけようとする中、その内でじっと息を潜めていたのが岩手の山本聡哉騎手とクラプロスパーだ。直線に入り馬群がばらけたところで脚がはじける。残り200メートル過ぎでセルアウトクラウドをとらえ、抜け出してレースを制した。勝ちタイムは1分13秒3(重)。後方から長く脚を使って追い込んだマッドシークレットが1馬身差の2着、ミラクルヴェリテがハナ差3着。セルアウトクラウドは4着だった。
クラプロスパーは12番人気で単勝万馬券。3連単は285万400円と大荒れとなった。しかし山本聡哉騎手は「馬が強かった」。自身が騎乗した8月のフルールカップでは大きく出遅れたが上がり最速で5着。陣営はその後入念にゲート練習を行い「全然違いました」と振り返った。
オーナーブリーダーの倉見牧場・倉見利弘さんは「大声を出して応援した」と笑顔。2002年の道営記念馬クラキングオー、10年の北海道三冠馬クラキンコなど道営ではおなじみ『クラ』の冠。自らの牝系を大切につなぎ、いわゆる“渋め”の種牡馬で結果を出してきた。そのたびに往年の道営ファンは舌を巻いた。クラプロスパーの母は09年に門別ナイター最初の重賞だったエトワール賞を勝ったクラフィンライデン。クラティアラなど堅実に活躍馬を出し続け、クラプロスパーもきょうだい同様、扱いやすくおとなしい馬だったという。父は新種牡馬アルクトスで「地方競馬で活躍したからね」と倉見さんは選んだ理由を話す。お腹の中には全弟か全妹がいるという。倉見さんは21年星雲賞クラキングス以来の重賞勝利。地方競馬の名勝負を思い起こさせる血統の勝利に『クラ軍団道営にあり』を強くアピールした。
インタビューで「最高です」と顔をほころばせた村上正和調教師は「母馬も子どももみんなうち(の厩舎)だから」と喜んだ。次走はエーデルワイス賞JpnIIIを予定。道営血統が持つ底力と、それを信じた関係者の努力が表れた勝利だった。
取材・文小久保友香
写真浅野一行(いちかんぽ)
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村上正和調教師
最高ですね。馬の力を出そうと思ってゲート練習などいろいろなことを頑張っていました。普通にゲートを出てくれればそこそこの競馬はしてくれると思い、このまま(先頭で)ゴールに入ってくれとだけ願っていました。ゴール後は、本当に嬉しい、だけの気持ちです。








山本聡哉騎手
ゲートが心配だったのですが、練習をしてくれたおかげで前走とは全然違い、スムーズに出てくれました。前に行きすぎないようじっくり脚を溜めて行きました。また北海道で重賞を勝てて、皆さんに感謝ですし、気持ちいいです。