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ヤングジョッキーズシリーズTR 佐賀

第1戦は地元佐賀のワンツー
  田山騎手がJRA西日本首位

今年のヤングジョッキーズシリーズ(YJS)西日本地区の出場予定騎手は18名と、昨年の25名から大幅に減少した。このため、全6場12レースで行われるトライアルラウンド(TR)での騎乗機会は、怪我や騎乗停止などで欠場中の騎手を除くと、昨年の4~7回から増加。上位の得点を得た4競走分の合計得点でファイナルラウンド進出を決める本シリーズのルールでは、各騎手が加点する機会が一層増えたことになる。

この変化について参加騎手に話を聞くと、出場機会が増えたことにつき概ね前向きな感想が聞かれた。中でも、阿部基嗣騎手(高知、現在笠松にて期間限定騎乗中)はレースの内容に関してまで踏み込んで言及。「余裕を持ってレースに臨むことが出来る」と、騎手の心理を説明した。「馬の全能力をきちんと引き出し、より上位の着を確実に取ることが重要になる。そう考えることで、戦法にも幅が生まれる」という彼の話は、今年のYJSのレースの傾向を読み解く上で興味深い。見る側がイメージとして持ちがちな、若手騎手戦イコール、テンから競り合う乱戦、という傾向が今年ここまで少ないと感じる向きがもしあるならば、それは今年のYJSにおける騎手心理が、例年とは少々異なることが関係しているかもしれない。

この日行われたTR佐賀でも、ここまで2場4戦を消化しシリーズ中盤を迎えての若手騎手たちの手綱捌きが、大いに注目された。

ナイター開催の第1レースで行われた第1戦。主役となったのは、直前に行われた騎手紹介式でも代表として来場客に向け意気込みを述べた、地元・佐賀の長谷川蓮騎手だ。スタートを決め、悠々と逃げ切り3馬身差の快勝。道中2番手から流れ込む形で2着に入った青海大樹騎手がレース後「最後こちらも伸びていたけれど、向こうも伸びてむしろ離された」と振り返れば、3着の河原田菜々騎手(JRA)も「向正面からついて行くのが精一杯だった」と話し、JRAから転入後3戦いずれも楽勝という馬の力も最大限に利した長谷川騎手の運びが、際だった一戦と言える。

昨年4月デビューの長谷川騎手は、同年のYJSには参加資格がなく、今年が初参加。シリーズ参加者決定の基準日となる今年の4月1日時点ですでに通算勝利数が100勝を超え、昨年までのルールに依れば参加資格を有する見習騎手ではなくなっていたが、今年行われたルール変更に伴い今回限り出場が可能となった。彼は「近い年代の騎手とのレース、いつもと違うコースでの騎乗で、得られることは多い。“体感”としていずれ生きてくると思う」と出場の意義を述べ、「(ルールが変わり)出られたことに感謝したい」と話す。

今年1回限りという思いは、地元場だけに周囲も共有。勝ち馬を管理する中川竜馬調教師は、「力のある馬なので、(地元の)蓮か(青海)大樹に当たれば良いなと思っていた。特に蓮は、今年一発勝負だから」と笑顔で話し、普段から間近で見ている地元の若手の価値ある勝利を共に喜ぶ姿が、印象に残った。

第3レースで行われた第2戦は、田山旺佑騎手(JRA)の勝利。淀みなく飛ばす逃げ馬を1頭前にやり、2番手集団から最後の直線で抜け出し、後続の追い込みも寄せ付けなかった。レース後「返し馬もゲート裏の雰囲気も良く、自分の馬が強いんだというイメージを持ちながら競馬ができた」と話した通り、初めて乗る馬かつ今回初めて乗るコースであっても、落ち着いた手綱捌きが光った。2着は「馬が全然進んでいかず後方になったが、終いはいい脚を使ってくれた」という松本一心騎手(笠松)。3着には近藤翔月騎手(高知)が入ったが、こちらは「ごちゃごちゃした展開で、馬に厳しいレースをさせてしまった。もう少し内目を走らせたかった」と、内容には反省が残るレースになったようだ。

これで、西日本地区のTRは半分の3場6レースを消化。地方競馬では近藤騎手が90ポイントと、2位の新庄海誠騎手(兵庫、現在高知で期間限定騎乗中)に40ポイントの差をつけて断然のトップ。JRAでは田山騎手がこの日4着・1着で69ポイントとなり首位に立ったが、1ポイント差で柴田裕一郎騎手、更に5ポイント差で和田陽希騎手が続き、3人が他を少し離してリードする形となった。

実は、冒頭で紹介した、YJSにおける騎手心理を「余裕を持って臨める」と説明した阿部騎手は、話の最後にこうも話していた。「とは言え、それもこの佐賀と(次の)園田辺りまで。最後の笠松や名古屋ではみんな勝負がかかってくるし、レース振りも違ってくる」と。そう話した阿部騎手自身もこの日は7着・10着と奮わず、順位は4位から6位へと後退。まさに今後、勝負がかかる状況になってきた。

西日本地区の次戦となる10月8日の園田、そしてその先に続く笠松・名古屋と、TR後半での若手騎手たちの戦い振りとその“変化”に、是非とも引き続きご注目いただきたい。


取材・文坂田博昭

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 長谷川蓮騎手(佐賀)

牝馬ですが、力強い感じで馬体もしっかりしていて、自信を持って乗れました。道中は誰も競って来ず、自分のペースで最後まで行けました。2着馬には乗ったことがあり、直線で伸びる馬だと知っていたので、少しヒヤヒヤしました。まだ上位にはポイントは全然届いていないので、1位目指して頑張ります。

第2戦1着 田山旺佑騎手(JRA)

外枠でしたし、スムーズな競馬が出来れば、馬の能力はある(から勝てる)と信じて乗れました。逃げた馬を捉えられる位置というプラン通りでした。地方特有の直線が短いイメージを加味しながら、どの辺で仕掛けるかを考えました。普段から、勝負事なので勝ちに行くということも大切にしてやっています。