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ヤングジョッキーズシリーズTR 川崎

土田騎手が冷静騎乗で直線逆転
  果敢に攻めた中山騎手が東日本首位

ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド川崎は、東日本地区6場で行われるうちの3場目。このタイミングで、昨年の東日本地区の地方・JRAそれぞれのトライアルラウンド首位通過者が、今年のシリーズ初登場となった。

昨年、ファイナルラウンドで総合優勝を果たした佐藤翔馬騎手(JRA)は、その後の自身の活躍を「鞍数も増えて、デビュー以来最高の成績を上げている。優勝した流れのプラスの影響は、間違いなくあると思う」と振り返る。その昨年、優勝したとは言えファイナルラウンドで1着がなかったことが心残りのようで、「今年も予選は1位で、そしてファイナルで1着を取って連覇したい」と意気込んでいた。

昨年の地方競馬東日本地区の首位は、山本大翔騎手(船橋)。ファイナルラウンドでは苦戦(総合8位)したが、「大きな舞台で落ち着いて乗れた。その自信が後の騎乗に繋がっている」と、主に精神面での効果を感じている様子。先月行われた地元船橋ラウンドを怪我で欠場したが、「去年とは、ファイナルに行きたいという意気込みが全然違って大きい。地元欠場は残念だったが、切り替えてこの川崎から頑張りたい」と前向きだ。

いずれの騎手からも、昨年の本シリーズ活躍の経験自体が成長の糧になっているだけでなく、それを自身が実感することにより、また新たな意欲へと繋げていることが見て取れる。その前向きな意欲こそが、若者たちの成長のプロセスが鮮やかに描き出される本シリーズの興趣を更に増しているのだろう。

この日、第2レース終了後に騎手紹介式が行われ、第1戦は第6レースで行われた。C3クラスの1500メートル戦は、10番人気の土田真翔騎手(JRA)が勝ち、9番人気の所蛍騎手(船橋)が半馬身差の2着。下馬評を覆す結果となった。それぞれ3コーナーまで10番手、13番手と、本来ならば苦戦覚悟の位置取りだったが、「コーナーがきついので、落ち着いて」(土田騎手)、4コーナー出口まで内ラチ沿いを離れず回った結果、外を回って追い上げようとする馬を自然に内から交わす形となり、これが最後の逆転に繋がった。直線では道中の落ち着きとはうって変わって、空いたスペースを突き勇ましい追いっぷりで勝利を勝ち取る土田騎手の姿は、プレーの『静と動』が融合し実に見事なものだった。

一方、更に半馬身差の3着に終わった加藤雄真騎手(川崎)は、この上もなく悔しそうだった。2番人気と高評価でかつ先行力もある馬が当たり、「期待半分、絶対勝たなければというプレッシャー半分」という気持ちが表れたのか、スタートで立ち遅れるミスが出た。そこから、やや強引に逃げ馬の直後を取りに行ったり、3コーナーから仕掛けて早々に先頭に立ち、上位2頭の強襲を誘発してしまった騎乗振りを、「心の焦りが全部出た」と振り返る。“落胆”と言えるほどの様子と、それでも次のレースが控える中で「切り替えて頑張る」と話して準備に向かう姿は、これもまた若者の成長のプロセスとして、この日最も印象に残った。

第2戦は第8レース。C2クラスの1600メートル戦。中山遥人騎手(浦和)が、1番人気に応え快勝した。「ズブい馬だと聞いていたが、割とすんなりと3番手に行けた」という位置取りが、まず素晴らしかった。加えて、4~5馬身後続を離して逃げる水沼元輝騎手(JRA)を、勝負所で好位集団からただ1頭抜け出して追いかけた勇敢な騎乗が、最後に後続を4馬身離す鮮烈な勝利を呼んだ。

一方、2着の水沼騎手は「馬に集中力を欠く面があると聞いていたので、抑えてリズムがギクシャクするよりも、気分よく行かせた」という判断が秀逸。11番人気で2着という好結果に繋がった。そこにクビ差まで迫った3着谷内貫太騎手(大井)もまた、「馬のリズムに沿って走らせ、イメージ通りに行けた」と振り返っており、最近よくレース後の騎手の談話で耳にする“馬のリズム”を重視する考え方が、今時の若手騎手の意識の中で大きな部分を占めていることが窺われた。

川崎ラウンドを終え、東日本地区のトライアルラウンドも半分を消化。地方所属では、第2戦を勝った中山騎手が55ポイントでトップに立ったが、第1戦の悔しさを噛みしめつつ第2戦でも4着と健闘した加藤騎手も、同じ55ポイントで並んだ(上位着順の差で暫定2位)。またJRAでは、今回不参加の長浜鴻緒騎手が59ポイントで首位キープ。この日あまりポイントを伸ばせなかった石神深道騎手を2位48ポイントに挟んで、第2戦2着の水沼騎手がこれに2ポイント差まで迫る46ポイント3位に浮上。第1戦を勝った土田騎手も4位33ポイントと、ファイナル進出圏内まで順位を上げた。

次回、10月20日火曜日の盛岡ラウンドには、地方JRAともに形勢逆転を狙うポイント下位の騎手が大挙出場予定。加えて、ここまで出場のない小林美駒騎手(JRA)も登場予定となっており、ポイント争いの行方は予断を許さない。


取材・文坂田博昭

写真築田純(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 土田真翔騎手(JRA)

周りが速く、こちらはゆったり行けたのが良かったと思います。コーナーもきついので、落ち着いて回って、直線は進路があいたところに全集中。追えば追うほど真面目に頑張ってくれる馬でした。(本番の前に)エキストラで乗せていただいたので、久し振りの川崎でも変に気負わずに乗ることが出来ました。

第2戦1着 中山遥人騎手(浦和)

いつものレースでも緊張するのですが、YJSの特別なレースだったので更に緊張しました。すんなり3番手に行けた後は、後ろから被されないように考えて乗りました。ここで勝ててファイナルラウンドにも近づきましたし。ここまでの(シリーズ)4走は自分が思ったレースが出来ているのが良いと思います。