長浜騎手が逃げ切りTR2勝目
高橋騎手は出場3度目で初勝利
ヤングジョッキーズシリーズTR 盛岡
昼前のレース開始時から濃い霧に包まれた、ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド当日の盛岡競馬場。開催実施が心配されたが、第2レースまで相次いで取りやめとなったあとから霧が晴れ、第3レース以降は時折青空も覗く中で予定通り進行。日も暮れたあとの第10レースで第1戦が、第12レースで第2戦が行われた。
この日注目されたのは、今年の本シリーズで初登場となった、JRAの小林美駒騎手。昨年、思い切った逃げの戦法を武器にブレイクした彼女は、今年も着実に勝ち鞍を重ね、この日までにJRAで重賞を含む41勝をマークした。8月末には地方競馬指定交流競走を含めた通算勝利が101勝に到達し、見習騎手を卒業。本シリーズ出場は今年が最後となる。自身の現状について「(女性騎手の)減量があるので、その強みを前面に出す競馬を心がけている」と、引き続き持つ先行への強い意識を語る一方、「(馬の脚質や展開により)逃げないときにどのようにカバーしていくか、ということを徐々に身につけている段階」と、若手らしい問題意識も欠かさない。本シリーズについては「キャリアの少なさがある中、求められることや学ぶべきことをしっかり出来るかどうか、試される場」と、位置づけも明確だ。「まずは人馬共に安全に」と必ず加えるコメントも含め、恐らく自身の失敗をも踏まえ表現される意識の高さが、彼女の今の活躍を支える原動力になっていることが窺われた。
地方競馬では、地元岩手から唯一本シリーズに出場している坂井瑛音騎手の動向が注目された。腰痛のため前週の川崎ラウンドを欠場し、この日の出場も心配されたが、中間の治療が功を奏し元気な姿を見せた。第8レース終了後に行われた出場騎手紹介式では、地方競馬騎手を代表して「いつもと違うメンバーが集まっているので、楽しみながら一生懸命のレースをしたい」と抱負を述べ、健闘を誓った。
第1戦は、5番人気の長浜鴻緒騎手(JRA)が、8月の門別に続く今シリーズ2勝目を挙げた。「スタートが速く前走逃げていたし、足抜きが良い馬場なので、前に行きたいと最初から思っていた」という目論見通りの展開に加え、後続の追撃も厳しくならず、前後半3ハロンのラップ差コンマ5秒という絶妙のペース配分で逃げ切った。
1馬身3/4差で2着の所蛍騎手(船橋)は、7番人気ながら奮戦を見せた。発馬で出遅れ最後方からの競馬となったが、冷静に内を通って自然体で追い上げる形は、前週の川崎ラウンドで2着した時と同じ。コーナー出口で前を射程圏に入れ、勝ち馬以外は全て捉えた。「損のない競馬が出来て良かった」と振り返る彼だが、これもまた普段からの心がけがあるからこそのプレーだろう。
一方、更に3/4馬身差の3着となった2番人気の小野俊斗騎手(大井)は、「所さんに向正面で内から抜かれてしまった」と、人からの助言でいつもの内を空けずに回るスタイルを変えてしまった自分自身に反省しきり。こういうことも“若さ故の過ち”として学んでいく経験なのだろう。
第2戦は、人気を分けた坂井騎手と小林騎手の駆け引きが興味深かった。騎乗馬が前走同じレースを走り、坂井騎手の馬の方が先着していたのだが、「前走で溜めた競馬をしていたので」と、好位を狙う坂井騎手に対して、小林騎手は「坂井君が行くと思っていたが、ペースが流れなかったので切り替えて前に行った」と逃げの手に出る。馬の力量や性質はともかく、騎手の戦法としては“逃げの美駒”が自分の形に持ち込んでいたのだろう。前半の4ハロン47秒8と、向正面の直線が長いにしても淀みのない流れは、追う側に負担を強いる展開だった。
この両馬の攻防を好位のインで見ていたのが、レース序盤で先行2頭の力量が上と判断し「内で我慢してついて行った方が、チャンスがあるんじゃないかなと思っていた」という、9番人気の高橋優騎手(大井)。最後の直線で人気2頭が消耗したところを、一気に差し切った。3/4馬身差2着の小林騎手が「ブリンカーの効果もあり最後まで頑張ったが、最後勝ちきれなくて悔しい」と振り返れば、更に1馬身半差3着の坂井騎手は「逃げた馬も交わせず、後ろから差される申し訳ないレース。前走で勝った馬にも今回負けているので、自分の乗り方ひとつ」と反省。勝って笑顔の高橋騎手含め、上位の騎手それぞれの表情が印象深いレースとなった。
トライアルラウンド東日本地区は、全6場のうち4場を消化。地方騎手では、この日1鞍ずつ騎乗した所騎手と高橋騎手がポイントを上積みし、それぞれ暫定で1位、2位に浮上した。一方JRA騎手では、この日2勝目を挙げた長浜騎手がポイントを92に伸ばしてトップを独走する。徐々に戦況が定まってきたとは言え、地方・JRAともにまだ騎乗機会がある騎手にはファイナル進出の可能性が残されているだけに、10月22日の浦和、27日の最終戦大井まで、諦めることなく勝者となることを目指す若手騎手たちに引き続き声援を送りたい。
取材・文坂田博昭
写真佐藤到(いちかんぽ)
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第2戦1着 高橋優騎手(大井)
(エキストラで騎乗し1番人気1着の)3レースの方が緊張しました。こちらは正直人気にもなっておらず、ゲートを出た位置で頑張るか、ぐらいの気持ちでした。期待しすぎない方が丁度いいかも知れないですね(笑)。シリーズ3年目で初めての1着。最後にホームの大井が残っているので、頑張りたいです。
















第1戦1着 長浜鴻緒騎手(JRA)
外からプレッシャーをかけてくるような馬もいなかったので、馬のリズムを重視して、馬の息だけ気にして乗っていました。直線に向いてもまだ余裕がありました。今のところポイントは(変わらず)1位なんですけれども、もう1勝したことで、ファイナル進出に向けて余裕が出来たんじゃないかなと思います。