松本騎手が地元勝利で躍進
大久保騎手は今シリーズ初勝利
ヤングジョッキーズシリーズTR 笠松
今年のヤングジョッキーズシリーズ(YJS)では、デビュー2年目で今年初出場となる騎手たちの活躍が目立つ。その中のひとりで、金沢、高知、佐賀と3場で6戦し、2勝、3着2回と順調に戦いを進める近藤翔月騎手(高知)は、シリーズでの自身の騎乗振りを「はじめは、絶対ファイナル行くぞ!という気持ちで力みすぎていた」と振り返る。「最初の金沢では、ただがむしゃらなだけの騎乗で乗り方も雑。いまから思えば不本意な騎乗で反省しかない」という彼も、地元高知で2連勝し、気持ちには大分変化があったそうだ。「佐賀では、落ち着いた騎乗が出来た。考えて乗って、やりきったけど勝てなかったもの。金沢とは全然違う」と、新たな手応えを感じた様子。この日の笠松での騎乗に際しても、結果以上に「考えて、落ち着いた騎乗の中で全力を出し切る」ことを目標に掲げていた。
一方、同じくデビュー2年目で初出場の小笠原羚騎手(愛知)は、ここまで苦戦。「レース場ごとの、場とか流れとかの違いになじめていない」と自己分析していた。「自分の性格的に、そういうタイプなのかも」と話す彼女は、学生時代に取り組んでいた陸上競技でも「練習して慣れて掴んで、徐々に出来るようになる感覚」だったそうだ。こうしてYJSで様々な“初めて”に遭遇することが、プレーの中身だけでなく自分自身についての“気づき”の機会にもなっているのだろう。厳しい得点状況については「その緊張感をいい方向に持って行ければ」と前向き。騎乗経験のある今回笠松と、乗り慣れた地元の名古屋でファイナル進出に向けての勝負がかかるだけに、「JRAで乗れる機会はなかなかない。ファイナルに是非とも行きたい」という気持ちを結果に結びつけられるかどうか、奮起が期待される。
西日本地区はシリーズが始まって1カ月あまり。短期間にこれだけのことを感じ、考え、プレーに反映させつつ成長する姿の向こうに、今後YJSを離れた日々のレースの中での活躍が、透けて見えるような気がした。
気温32度を超す、10月下旬としては季節外れと言っていい暑さの中、第5レース終了後には出場騎手紹介セレモニーが行われ、第9レースのC級1400メートルで第1戦が行われた。
10頭立て単勝最低人気の柴田裕一郎騎手(JRA)が、逃げて見せ場を作った。近走殆ど先行したことのない馬だが、「YJSではいつも後方からの競馬になっているので、頑張って前に行こうと思った。笠松で後ろから勝てるイメージが湧かなかった」との彼の気概が、馬にも伝わったのだろう。最後の直線では、勝負所で外に並びかけた2番人気の新庄海誠騎手(兵庫)との競り合いになったが、そこに後方から追い上げてきたのが1番人気、地元笠松の松本一心騎手だった。発馬が遅く後方追走になったものの、内をロスなく進んで、向正面でも各馬が開けていた内ラチ沿いを突き一気に進出。「今日、数も乗っていたし、馬場もある程度わかった中で乗れた」という地元の利を生かしたプレーで、勝利を掴んだ。逃げ粘ったものの半馬身及ばなかった柴田騎手は、これでシリーズ4回目の2着。「初騎乗でも、馬との息がぴったり合っていた」と、レース内容には納得の言葉が出る一方、「ああ、また2着か」と残念そう。「次、勝ちますよ、僕。1回ぐらい単勝(1着)とらせてください(笑)」と彼らしくおどけた話しぶりながら、勝利への意欲をはっきりと表していた。
第2戦は第11レース、B級1400メートル戦。先行が主戦法の馬が多く序盤の争いが注目されたが、蓋を開けてみれば、スタートを決めた7番人気の新庄騎手が内目の枠も利してすんなり先手を取る。「返し馬から1歩目にすごく勢いがある馬だと感じていた」という10番人気の大久保友雅騎手(JRA)が2番手につけると、前の並びは意外とあっさり決まり、3コーナーまで2人で後続を約3馬身離して先行していった。最後の直線に入っても後続がなかなか詰め切れず、2番手から抜け出した大久保騎手が、新庄騎手に1馬身半の差をつけて快勝した。最後に3番人気の近藤騎手が追い上げて来たものの、新庄騎手を捉えるには至らずアタマ差の3着に甘んじた。「落ち着いて騎乗できたが、最後馬に余力を残した感じになってしまった」という近藤騎手。冒頭で紹介した言葉通りの騎乗は出来たようだが、仕掛けのタイミングというプレーの中身と結果については、悔やむ気持ちが表情に表れていた。
西日本地区のトライアルラウンドは、いよいよ残り1場となる。地方騎手では、この日までに100ポイントをマークした新庄騎手と、90ポイントの近藤騎手が、ファイナル進出となる4位以上を確定させ、JRA騎手ではポイントを80に伸ばした柴田騎手の4位以上がほぼ確定。ファイナル進出の切符を賭けた最後の挑戦の舞台は、10月28日の名古屋。諦めぬ若き魂のぶつかり合いから、目が離せない。
取材・文坂田博昭
写真岡田友貴(いちかんぽ)
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第2戦1着 大久保友雅騎手(JRA)
ゲートは早いと聞いていたし、普通に出せば前に付けられると思っていました。理想通りで凄く折り合いも良かったですし、一生懸命走ってくれて手応えも良かったです。相手は(逃げた馬)1頭だと思い、相手の馬の気持ちを切らせるために少し早めに仕掛けて並びかけていきました。プラン通りでした。









第1戦1着 松本一心騎手(笠松)
ゲートは早くなさそうな馬だったので、それなりについて行き終いに賭けようと思っていました。外があく感じがなかったので、内々でロスなく乗りました。差せるか差せないか微妙なところだったんですけれども、なんとか届いたので良かったです。(ゴール前での観客の)声援は聞こえました。嬉しいですね。