web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第4回ネクストスター高知

偉大な兄に追いつけ追い越せ
  不良馬場を差し切って3連勝

あちこちに水鏡が点在する不良馬場を、12頭の2歳馬が駆けていく。返し馬に合わせて実況の橋口浩二さんのアナウンスが流れる。

「当地初の外国産馬の新馬勝ち。歴史を創るか。11番ジャックアーサー」

これまで、他場でデビューが叶わず高知でデビューを果たした外国産馬はいたと思う。だけど高知でデビューするために購買された馬が現れるだなんて。アメリカのケンタッキー州からやってきたジャッククリストファー産駒に隔世の感を覚える。

「世代の一番星へ。兄はフィールドセンスです。12番リケアボレロ」

そうか、リケアボレロのお兄さんは、船橋所属馬として2022年の日本テレビ盃JpnII(船橋)を制したフィールドセンスなのか――。グレードホースの弟となるとさぞかし……と思ってネット検索してみたら、25年の北海道セプテンバーセールで418万円(税込)で落札。意外とお買い得?なんてことを考えているうちにファンファーレが鳴った。

今年で第4回を迎えた高知所属馬限定の2歳重賞、ネクストスター高知。1400メートル戦のゲートが開くと、ベアマグナム&井上瑛太騎手がスタートダッシュを決めて逃げを打った。1番人気のリケアボレロ&渡邊竜也騎手が大外からスーッとポジションを上げて2番手を追走。2番人気のジャックアーサー&吉原寛人騎手は後方でレースを進める。向正面から3~4コーナーにかけて、ベアマグナム、リケアボレロの2頭と後続の差が開いていく。

直線、満を持して先頭に立ったリケアボレロが、そのまま差を広げて先頭でゴールした。逃げたベアマグナムが3馬身差の2着に粘り、後方から脚を伸ばしたジャックアーサーがさらに3馬身差の3着に追い上げた。

デビュー前からセン馬のリケアボレロ。血統は父ミスチヴィアスアレックス、母クロスザレイチェル(母父スペシャルウィーク)。準重賞の堆金菊特別、潮菊特別に続く3連勝で重賞初制覇となった。前走に続いて鞍上を務めた渡邊騎手にとっては、高知での重賞初制覇となった。笠松の若き名手はこう言ってニッコリほほ笑む。

「大人しくて本当にいい子ですし、競馬に幅がありますね。ただ、返し馬などで緩さを感じますし、まだ体とかが幼いなっていう印象です。まだまだ成長すると思いますよ」

調教をつけている山頭信義厩務員も「幼さを感じます」と口を揃える。グレードホースの兄に追いつけ追い越せ。伸びしろたっぷりのスター候補が誕生した。田中守調教師によると、今後は11月26日の兵庫ジュニアグランプリJpnII(園田)、12月26日の金の鞍賞(高知)を視野に調整を進める。

この日の馬場傾向は、水の浮く不良馬場が影響して完全に“前残り”。9番人気のベアマグナムで2着に逃げ粘った井上騎手はこう振り返る。

「“逃げ”の一択でした。スタートは速いと聞いていたので、この馬のリズムで行こうと考えていました。馬場も合っていたと思います」

2番人気のジャックアーサーは、1コーナーで外に膨らむロスがありながらも、よく3着まで追い上げた。

「ちょっとまだ競馬がわからなくて、怖がって1コーナーで外に行ってしまいました。今回が2戦目だったので、キャリアの浅さがモロに出ましたね。だけど光るものを感じますし、距離は長いほうがいいと思うので、競馬に慣れてくれば挽回できると思います」

23年にネクストスター高知を制したプリフロオールインは、翌年の高知3歳三冠を制覇した。今年の出走馬達はどんな未来を描くのだろうか。

※レース後に妹尾将充元騎手が聴き取り、書き起こした騎手のコメントはこちら。

取材・文井上オークス

写真桂伸也(いちかんぽ)

Comment

渡邊竜也騎手

欲を言えばもう少し反応してほしかったところはありますが、前回もコーナーではちょっと反応が鈍い感じで、直線では脚を使ってくれたので、勝つだろうと思いながら乗っていました。まだ2歳らしい幼さもありながら、それでいて完成度の高いレースをしてくれていますから、将来が本当に楽しみですね。

山頭信義厩務員

完成されているように見えるかもしれないのですが、調教に乗っていると幼さを感じますし、まだ伸びしろがあると思います。ユメノホノオのように仕掛けたらグンッと行くような、あの反応までは行かなくとも、もうちょっと反応が欲しいですね。リケアボレロはこれからもっと成長してくれると思います。