好スタートから控えて直線一気
重賞連勝で歓喜のグレード制覇
5日後にJBC開催が迫るなかでの2歳牝馬によるエーデルワイス賞JpnIII。JRA勢4頭は、芝で2連勝の2頭に、ダートの新馬戦を制した2頭、いずれも無敗ではあるものの印象的な勝ち方を見せた馬はおらず。一方の地方勢は地元馬のみ10頭。ネクストスター門別で断然人気に支持されたセルアウトクラウドが4着に敗れていたこともあり、確たる中心馬不在の混戦。専門紙の評価もファンの評価も迷いがあるようだった。
ゲートが開いて好ダッシュを見せたのは、デビューから3連勝を圧倒的なスピードで逃げ切っていたセルアウトクラウド。ネクストスター門別では先行争いから早めに他馬に競りかけられて直線で苦しくなったが、今回は後続に1馬身半ほどの差を保ち、手応えも十分なまま直線を向いた。地元勢では唯一ここまで無敗で3連勝中のカズドリームが2番手まで押し上げてきたが、前をとらえるほどの勢いはなく、残り200メートルを切ってもセルアウトクラウドが単独で先頭。しかしネクストスター門別同様に末脚一閃、鮮やかに差し切ったのがクラプロスパーだった。セルアウトクラウドは3/4馬身差で2着。後方から直線一気に追い込んだJRAのミカミッチーが半馬身差で3着に入った。
勝ったクラプロスパーは、前走ネクストスター門別が単勝140.8倍の12番人気、今回も11.4倍の7番人気での重賞連勝。スタンド前には、まさに狂喜乱舞といった大歓声を上げて抱き合うグループあった。前走ネクストスター門別の勝利が、じつに5年ぶりの重賞制覇だったというオーナーブリーダーの倉見利弘さんは、親戚一同で応援に来ていたという。クラキングオーで道営記念(2002年)を制し、クラキンコでは北海道三冠(10年)を制するなど、先代からホッカイドウ競馬で数々の重賞を制してきたが、グレード競走制覇は初めて。「いろんな人に世話になって、長年やってきてよかった。それに尽きるね」と話す倉見さんのところには、日高の牧場の人たちが次々と祝福の声をかけにやってきた。
父アルクトスはこの世代が初年度産駒で、ネクストスター門別が産駒の重賞初制覇だった。アルクトスはマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIを連覇(20・21年)しているが、20年の勝ちタイム1分32秒7は今も残るダート1600メートルの日本レコード。クラプロスパーの直線での末脚は、そのスピードが伝えられたのだろう。
2走前のフルールカップから山本聡哉騎手が手綱をとっているが、そのときはゲート内膠着といえるほどの出遅れで、それでも直線だけ脚を使って5着と素質の高さは見せていた。しかし今回は抜群のスタートを見せ、ゲートを出た直後は2番手も、一旦は中団あたりまで位置取りを下げた。「厩舎でゲートの練習をしてくれて、スタートが決まったのでレースの組み立てがしやすかったです。ちょっと出すぎかなという感じもあったのでプレッシャーをかけられないポジションに下げました」という、3戦連続で鞍上を任された山本騎手の好判断が、直線での末脚を引き出した。
近年はホッカイドウ競馬でも大手牧場の生産馬の活躍が目立つが、独自の血統を紡いできた家族経営の牧場の生産馬が輝きを見せた。
取材・文斎藤修
写真浅野一行(いちかんぽ)
Comment

村上正和調教師
はじめのころは出遅れてばかりいたのですが、スタッフ一丸となって仕上げてくれたので、スタートで出てくれたときに一安心しました。以前は精神的にきつい面があったんですけど、落ち着いてきたのもよかったと思います。ここで一息入れて、馬の状態を見ながら次を決めていこうと思います。











山本聡哉騎手
前走を勝ってからエーデルワイス賞と聞いていたので、自分でプレッシャーをかけていました。抜群のスタートで溜めながら行けたので、前の動きを見ながら、追い出しが早くならないようにじっくり行きました。玄太の馬(セルアウトクラウド)が楽そうで、直線ではギリギリの戦いになるなという感じでした。