消耗戦制し4連勝で重賞制覇
ダブルホールドも2着に健闘
6月第1週、ひとつ上の世代の東海優駿が行われた翌日から始まった、名古屋における今年の2歳馬戦は、夏を過ぎても明確なスター候補が出現せず、混戦と目されていた。9月に入り始まった、当レースに向けての前哨戦にあたる3鞍のJRA認定競走“セレクトゴールド”は、第1戦を門別からの転入馬ブルーオンピンクが、第2戦(地元デビュー馬限定)をメグレズが勝ったものの、抜けた有力馬とは見なされず、10月初旬の第3戦をニューハーピーが勝って門別在籍時からの連勝を3に伸ばすと、ようやくこの馬が当面の主役として躍り出た。
こうした戦況の中行われたネクストスター名古屋には、9月にデビューし2週前に初勝利を挙げたダブルホールドや、4週前に新馬戦を勝ったばかりのコーズシャチホコといった“新顔”も名を連ね、今後の当地2歳馬戦の流れを占う一戦として注目された。
レースは、消耗戦となった。大方の予想通りブルーオンピンクが早々にハナに立ったが、多くの馬がこぞってこれに追随。7~8頭が集団となり競り合う流れは、向正面までの前半700メートルがハロン平均12秒台前半という、かなりの激流を生んだ。
先行馬群から次々と脱落馬が出る中、3番人気のダブルホールドだけは勝負所でも手応えを残し、逃げるブルーオンピンクの外に並んで抜け出しを図る。4コーナー手前でようやく外を回って登場したのが、1番人気のニューハーピーだ。枠は内目の4番だったが、包まれるのを嫌って序盤から外に進路を探り、競り合う先団の後ろで機を窺っていたのだ。直線中ほどからは2頭の一騎討ちとなり、最後はニューハーピーがダブルホールドを3/4馬身ねじ伏せ、勝利を掴んだ。3馬身離れた3着には、最後方から追い上げた6番人気のエンジェルリングが入った。
勝ち馬とは経験の差において歴然としていたダブルホールドの健闘を、筒井勇介騎手は「体はまだユルく、気性は子ども。馬が完成しておらず課題が山積みの中これだけ走り、将来が楽しみ」と絶賛。川西毅調教師は「デビューが遅い中で、軌道に乗せられた。一番良かったのは、(出走権利に関わる)賞金を積み上げられたこと」と、今後の活躍に思いを巡らせていた。
ニューハーピーを管理する沖田明子調教師は、先立つ第8レースでゲートまで管理馬の“尾上げ”に行ったところ負傷し、腕を三角巾で吊っていたが、それでもレースの最中は「差せ!と叫んでいた」と、昂ぶりを抑えられなかったようだ。「3連勝して人気になっていたし、直前にゲートから行った追い切りでも出が悪く、内にもたれていた」と、様々な不安やプレッシャーもあり、それらから解放されたレース後には「本当に安心した」と、心中を吐露した。
一方、勝利に導いた渡邊竜也騎手は、南関東を除く全国8場で行われてきた2歳ネクストスターにおいて、佐賀と園田以外の6場で騎乗。笠松・高知・名古屋で3勝を挙げた。「良い馬に沢山乗せてもらった結果」と断りつつ、「馬の経験が少ないので、探りながら、レースを見て研究しながらという面白さと同時に、難しさや緊張感も勿論ある」と、各地での戦いを振り返った。この日の勝利もまた、「先がある馬だから、教えながら、勝つ」という信条を実践し実現してきた彼の技術の現れ。一連のレースの集大成となり、最高の締めくくりとなった。
名古屋2歳馬戦の次の節目は、11月26日に行われる重賞・ゴールドウィング賞。今度はJRAからの転入馬と対戦する可能性もあるだけに、また戦況がどのように移り変わるか、興味は尽きない。
取材・文坂田博昭
写真岡田友貴(いちかんぽ)
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沖田明子調教師
ゲートで待たされて心配したのですが、今回は尻尾を持ったことで五分に出てくれました。やれることはやって、あとは(渡邊)竜也君に任せるだけでした。名古屋に来たときから調教騎乗者が「背中の感じとエンジンが違う」と言っています。次のゴールドウィング賞まで1カ月。しっかり仕上げて行きます。








渡邊竜也騎手
追い切りにも乗せていただき、馬の成長を感じていました。スタートの1歩目で想像より出てくれたので、欲しい位置が取れました。直線に向いてもう一つギアが入ってくれたので、強かったなと思います。競馬が上手で、しっかり終いも脚を使える馬なので、距離が伸びてもいい競馬が出来ると思います。