ジーワン6度目の挑戦で悲願達成
セラフィックコールは見せ場も3着
前回、金沢競馬場でJBCが行われた2021年、地方馬初のJBCクラシックJpnI制覇を成し遂げたミューチャリーは、前哨戦で白山大賞典JpnIIIを走っていた。本番と同舞台で行われる一戦は、JBCに向けて馬場やコース、距離を経験できるいい機会ともなる。
今年のJBCクラシックJpnIを勝ったアウトレンジもまさにそうだった。その前走・白山大賞典JpnIIIこそ3着だったが、「白山大賞典に乗った時に金沢をこなせるな、と思いました」と松山弘平騎手。「あの時よりも状態はすごく上向いていました」と、休み明けをひと叩きされての上積みも大きかった。
レースは大方の予想通り、最内枠のストレングスが先手を取った。直近3勝が逃げや2番手外からのレースだったように、砂を被らず運べることが最優先事項。そのため、より楽に先手を取れるよう主戦場の1400メートルから距離を延ばしてのクラシック参戦で、小崎綾也騎手は戦前から「距離は未知数ですが、しっかり先行させるレースがいいと思います」と決めていた。2番手に昨年当レース3着のサントノーレ(大井)、その後ろにブリンカー初着用のカゼノランナーが続いた。
アウトレンジは好発を決めてその先行集団の一角のインにつけた。レースが動いたのは2周目向正面後半。後退するストレングスに代わってサントノーレが先頭に立ったが、3~4コーナーではアウトレンジが楽な手応えで外から交わしにかかった。その直後ではセラフィックコール(川崎)も猛然と追い上げてくる。
JRA馬か地方馬か。それぞれのファンの願いが交錯しながら迎えた直線は、さらに後方から追い込んで2番手のホウオウルーレットに、アウトレンジが4馬身差をつけて勝利。GI/JpnIはこれまで5回走って掲示板を外さぬ堅実な一方、帝王賞JpnIで2年連続2着など善戦マンの印象もあった同馬が、ついにビッグタイトルを手に入れた。生産者の株式会社ノースヒルズの担当者も「何回もチャレンジして惜しい競馬が続いていたので、ようやく勝ててよかったです」と喜んだ。
白山大賞典JpnIIIを勝って臨んだホウオウルーレットは2着。「今回は最後にしっかり手前を替えてくれました」と栗田徹調教師。
セラフィックコールは末脚を伸ばすも、ゴール手前でホウオウルーレットに交わされ3着。直前のJBCスプリントJpnIをメイショウハチローで制した吉原寛人騎手はこう話す。「3~4コーナーは『おっ、行けるかな!』という雰囲気までありましたが、アウトレンジが上手に内からすくって脚を伸ばし、上手く乗られてしまいました」
金沢競馬場の馬場は内ラチ沿い数頭分が深く、空けて走るが、この日の馬場状態について、エキストラ騎乗で勝った井上瑛太騎手(高知)や加藤翔馬騎手(高知)、そして地元の吉原騎手らは「内も意外と使える」という意見。アウトレンジは道中インから4コーナーで先頭の馬を抜かす時にわずかに外に出しただけで、距離ロスを最小限に抑えた進路取りも光った。また、JRAの馬にとってはやや小回りにも映る金沢コースだが、「馬体がコンパクトで胴も長くないので、小回りの方が止まらない」(大久保龍志調教師)という器用さも追い風となっただろう。
「7歳になってもパフォーマンスが落ちる感じの馬ではないので、来年も一線級の舞台で戦いたいです」と大久保調教師。その前に、年内は東京大賞典GIが大目標となりそうだ。
一方、敗れた地方馬たちもそれぞれの舞台で巻き返しを狙う。5着サントノーレの矢野貴之騎手は「初めての馬場を気にしている感じがあり、逆に言えば折り合いがつきすぎました」と振り返り、距離はもう少し短い方がよさそう。
6着ダンテバローズ(兵庫)は3~4コーナーで内に押し込められる場面があった。「少し狭くなって、馬が怯んだ感じ」と新子雅司調教師。スムーズなら、とも思うが、「タラレバはありませんからね」と小牧太騎手は話した。
7着オディロン(兵庫)の森澤友貴調教師は「前走・白山大賞典後に涼しくなって、状態は見違えるように良くなりました。過去一番のデキと感じていましたが、直線で伸びる気配を感じたものの、そこからがもうひとつ。これでもまだ良化途上なのかもしれません」と肩を落とした。
今年のJBCは幕を閉じたが、戦いはまだまだ続く。
取材・文大恵陽子
写真いちかんぽ(早川範雄、築田純)
Comment

大久保龍志調教師
休み明けはいつもズブいところがあり、2戦目以降は状態がアップします。それを見越した上で同舞台の白山大賞典からJBCへ、と考えていました。レース前から騎手と同じ考えで、前に行きたい馬の番手からロスなく運べれば、と思っていた通りの展開でした。嬉しいのと、ホッとした気持ちです。











松山弘平騎手
長くいい脚を使える馬でもあるので、スムーズに運びたいと思っていました。その通りに番手まで出ることができ、追ってからは本当に強くて、いい脚で伸びてくれました。惜しいレースが続いていたので、今日のジーワンの舞台で4馬身差のすごく強い競馬をしてくれて嬉しいです。