地元吉原騎手でジーワン連勝
ゼーロスは4着も存在感示す
JBCレディスクラシックJpnIの熱気が冷めやらぬなか、JBCスプリントJpnIへと舞台が移った。JRA5頭、地方7頭の精鋭が集結。快速馬たちによるハイレベルなスピード決戦が繰り広げられた。
人気の中心はマテンロウコマンド。重賞4勝すべてを1400メートル戦で挙げているスペシャリストだ。2番人気は前走のマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIで重賞初制覇を飾ったメイショウハチロー。以下、2024年のJBCクラシックJpnI(佐賀)の覇者ウィルソンテソーロ、1400メートルの重賞で堅実な走りが続くインユアパレス。地方勢では東京盃JpnIIを制した大井のゼーロスが最上位5番人気の支持を集めた。
頂点に立ったのはメイショウハチロー。地元・金沢を知り尽くす吉原寛人騎手を背に、JpnI・2連勝を決めた。
兵庫のエコロガイアがハナに立ち、2番手にマテンロウコマンド、インの3番手にゼーロス。その後ろにティントレット、インユアパレスらが続いた。
メイショウハチローは後方からレースを進めたが、「前走から間隔が短かったぶん、テンションの怪しいところがあって、ゲートの中でモジモジしてしまい出遅れる形になりました。逆に、それがリズムを作りやすい感じになってよかったのかなと思います」と吉原騎手。
縦長だった隊列は向正面に入ると、前の8頭が徐々に固まった。そのタイミングでメイショウハチローは外から一気に進出。「ちょっとまだ早いぞと思っていましたが、馬の前進気勢が強かったので、あまり邪魔をせずに行きたいときに行かせる感じでした。マテンロウコマンドに並びかけて、そこからが勝負だと思っていました」(吉原騎手)
3コーナーではゼーロスが先頭に立ち、すかさずマテンロウコマンドが並びかける。その外からメイショウハチローも進出した。「いいところでゼーロスに先頭に立たれてしまったので、粘られたらどうしようかなという感じでしたが、こちらも手応えはよかったので最後までしっかり伸びてくれました」(吉原騎手)
直線ではメイショウハチローが力強く抜け出した。1馬身半差の2着にはインを突いたウィルソンテソーロが入り、さらに1馬身半差の3着には6番手あたりから運んだハッピーマンが続いた。
メイショウハチローの圧巻のパフォーマンスに管理する福永祐一調教師も「3勝クラスを走っていた頃はコンディションが正直あまりよくありませんでしたが、それでも崩れずに走ってくれていました。馬の成長とコンディションが、うまく噛み合ってきました」と目を細め、今後については「前走を勝った時点からフェブラリーステークスを目標に考えていました。疲れがなければ向かいたいと思います」と語った。次はJRAのGI制覇へ。まだ底を見せていない逸材が、さらなる勲章を目指していく。
勝利へ導いた吉原騎手は、金沢開催だった2021年のクラシックを船橋のミューチャリーで制して以来のJBC勝利。当時はコロナ禍で入場制限もあったが、今回は多くのファンの前で歓喜の瞬間を迎えた。「震えます。地元の金沢で、満員のファンの前で声援を浴びることが夢だったので、感謝したいです」と満面の笑みを浮かべた。
なお、大井生え抜きゼーロスも3着からアタマ差の4着と存在感を示した。勝負どころから先頭に立って押し切りを図ったシーンに、夢を見たファンも多かっただろう。
笹川翼騎手は「ペースが上がったときに過剰に反応してしまったぶん、早めに先頭に立ってしまい、最後は目標を失って失速しました。ソラを使った感じですね。力負けではないですし、3歳のこの時期に一線級相手にこれだけの競馬をしてくれました。ダートグレード競走でも十分にやれる器ですし、改めて楽しみです」と評価した。
管理する荒山勝徳調教師も「操縦性はよくなっていますし、心身ともに成長を感じます。翼が『中央に遠征したい』と言っていますし、そういう選択肢も考えていきたいです」と今後の可能性を示した。
ゼーロスにクビ差の5着だったのが、名古屋生え抜きのケイズレーヴ。メンバー最速の上がりをマークし、大外から鋭く追い込んだ。
初騎乗の望月洵輝騎手は「ずっと見ていて、すごい脚を使う馬だと思っていましたが、自分で跨ると気持ちいいくらいの脚色でした。この鋭さが武器ですね。このメンバー相手でも十分に戦える手応えを感じました」と振り返った。前走のオーバルスプリントJpnIIIでも3着に好走しており、今後がますます楽しみな存在だ。
地方生え抜き馬の希望を背負う2頭のさらなる飛躍にも期待したい。
取材・文高橋華代子
写真いちかんぽ(早川範雄、築田純)
Comment

福永祐一調教師
馬の頑張りに敬意を表したいです。スタートはうまくいきませんでしたが、それでも慌てず馬の力を信じて騎乗してくれた吉原騎手にも感謝しています。元々差す競馬をしていましたが、どういう形になっても発揮してくれる馬。向正面で押し上げて、騎手がうまく対応して力を発揮してくれたと思います。



















吉原寛人騎手
力があるのはわかっていましたが、本当によくなっているんでしょうね。一段とパワーアップして、返し馬からもっていかれそうになりました。さすがだなと、怖いくらいでした。そのくらい馬が仕上がっていました。今年の開催テーマは能登の復興。能登をはじめとした石川県を元気にしていきたいです。