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第72回平和賞

先行争いを制し逃げ切り9馬身差
  素質馬がブリンカー効果で巻き返す

全日本2歳優駿JpnIのトライアルで、勝ち馬には優先出走権が与えられる平和賞。第1回は昭和30(1955)年という歴史ある重賞で、現在は地方全国交流として行われている。

今年は北海道から2頭が参戦。過去10年を見ても北海道所属馬が4勝しており、1番人気には北海道のシフトチェンジが支持された。経験値の高さから完成度を期待されてのものだろう。

レースは、ナニワノベンケイとルースアグレッシブの先行争いから始まった。何が何でもハナを取り切ろうとする笹川翼騎手のルースアグレッシブが1コーナーで主導権を握った。3番手の外にはフライザフラッグ、内にゴールドカレラが追走。その後ろに2番人気のトゥルーターゲット、シフトチェンジは中団からレースを進めた。

ルースアグレッシブが軽快に飛ばすなか、レースが動いたのは3~4コーナー。シフトチェンジが3番手に進出すると、もう1頭北海道のニュースタンダードが最後方から2番手集団まで差を詰めてきた。

直線で差を広げたルースアグレッシブが、最後は9馬身差をつける圧勝劇。2着争いは3頭がせめぎ合っていたが、真ん中から抜け出したニュースタンダードがトゥルーターゲットにクビ差先着した。

優勝した浦和のルースアグレッシブはこれで6戦4勝となったが、2度の負けはいずれも先手を取れなかった時。ルーキーズサマーカップではスタートで後手を踏み、初めて揉まれる競馬となって6着。「素質があるのはわかっているんですが、まだ幼いからか走ることに集中せず、進んでいこうとしないので、真面目さが出てくればいいですね」と笹川騎手が課題を語った。

前走の鎌倉記念でも逃げられず外3番手の揉まれない位置を取るので精一杯。闘争心に欠ける走りに笹川騎手は促し続けた。それでも間を割っていけなかったことで馬が嫌気を出してしまい8着に敗れた。素質を生かすためにはどうしたらいいかと悩んだ陣営が今回初めて着用させたのが深めのブリンカーだった。案の定、道中の反応も変わって本領発揮。突き放して余裕を見せる会心の勝利となった。

ルースアグレッシブの兄エマージングマーケットはアメリカのルイジアナダービーG2勝ち馬。近親にはブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズG1勝ちのシービーワイルドがいるアメリカ産馬。心肺機能も高く、気性面さえ成長してくれば今後の活躍はまちがいないだろう。

次走について小久保智調教師は、「前回の川崎で結果は出せなかったが今日の船橋のレースを挟んで次はまた違うはず。全日本2歳優駿でもいいし、レース後すぐに息が入っていたから、間隔がなくてもハイセイコー記念でも良さそうだね」と両にらみで調整するという。

2着のニュースタンダードは、愛知の望月洵輝騎手が最後方でじっくり構えて直線勝負にかける、乗り替わりの初騎乗とは思えないインパクトある騎乗を見せた。「どこからでも競馬ができる馬だから、とにかく馬のリズムを崩さないように乗りました。位置は後ろでしたけど焦ってはいませんでした。輸送も問題なかったし、気性も素直で、長くいい脚を使えるのは強味です」と話した。地方全国リーディング3位(11月4日現在)につけ、デビューから3年目とは思えない躍進を遂げる注目株だ。次走は全日本2歳優駿JpnIを予定しているという。

取材・文中川明美

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

笹川翼騎手

ハナに行くことでグッとハミを取って集中してくれました。内が少し重く感じたのであけて走ったのをうまくクリアしてくれましたね。気を抜けない馬なので最後までしっかり追いました。まだメンタル的に幼いところはあるが中央交流でもやれるポテンシャルを秘めていると思います。

小久保智調教師

ブリンカーを着用してみて集中力も増していたが、物見したりそれだけでいいタイプではないような気がする。おとなしすぎるんだよね。だから真新しいものがあると反応するようなところがあるんじゃないかと思っている。