JOCKEYS HEART

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

#01 別府真衣(高知競馬)

  • 別府真衣騎手
  • 高知競馬
INTERVIEW
INTERVIEW

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

元騎手の父には、反対されました。

元騎手の父には、反対されました。

 父が騎手で、その姿を見て自分も騎手になりたいと小さい頃から思っていました。
小学校1年まで競馬場に住んでいたので、周りには常に馬がいる環境だったこともあって。でも、私が騎手になりたいと言った時、父には反対されました。結構ケガが多い人だったので、自分の娘にはやらせたくなかったみたいですね。逆に母は、一回言いだしたらあきらめない性格だって知っているので、応援してくれましたね。
 そんな状況だったので、中学3年生の時に翌年の春に入学する教養センターの試験を受けたんですけど、父からのアドバイスはなかったですね。受かるわけがないだろう、落ちたらあきらめるだろう、くらいに思っていたみたいです(笑)

2回目の受験で、スタートラインに。

 私も私で、試験内容は事前に来るので見ていたんですけど、よくわからないうちに受けちゃったところもあって、1回目は落ちちゃいました。試験は1次が学科、2次が体力、最後に面接なんですけど、1次は通ったので、2次がダメだったんだと思い、秋にある2回目の試験に向けて、落ちてからは厩務員として働きながら、体力づくりをしました。
 父には、「あきらめると思ったのにまた受けるんか」と言われ、最後まで止めろと言われ続けました(笑)。でも、受かったら、受かったで、なんか好意的に受け止めてくれましたね。厩務員として半年間働いている姿を見て、「そこまでしてなりたいんやったら、いいか」、みたいな気持ちの変化があったんでしょうね。受かってからは、ずっと応援してくれています。

初騎乗で、初勝利。でも、頭は真っ白。

初騎乗で、初勝利。でも、頭は真っ白。

 私はデビュー戦で、いきなり勝ったんです。というのも私の場合、(父が厩舎をやっていることもあって)、初騎乗に向けて強い馬を用意してくれていたので、馬にまたがっているだけで勝たせてもらったという感じで。競馬ってよく、馬の実力7、騎手の実力3とか言われますけど、この時は馬10でしたね(笑)。
 よく、デビュー戦、圧倒的1番人気の馬に騎乗して、プレッシャーはなかったか聞かれるんですけど、デビューできる嬉しさがまさってプレッシャーはなかったですね。周りからも、「掴まっちょったら勝てるよ」、とか言われていたんで。それにスタートの速い馬というのと、枠も大外だったので挟まれる心配もなく、本当に掴まってたら、勝っちゃったという感じで。でもレース中も、勝った瞬間も頭が真っ白で、あまり感動とかはありませんでしたね。

何人も、私の前を走らせたくない。

 騎手として理想のスタイルは、オールマイティに乗れることですね。競走馬は先行タイプもいれば、追い込みタイプもいて、それぞれ前に行ったり、後ろから攻めたりと、乗り方があるんですけど、どんなタイプでも馬にあった乗り方をして、その能力を引き出すことが大切だと思うので、理想はオールマイティ。でも私自身が好きな乗り方は、先行ですね。他の馬に前に行かれたくない、常に馬が見えない状態で走りたいので。それに先行すれば、汚れないので、レースが終わってもキレイな状態でいられるので(笑)。もちろん、何がなんでも先行するんじゃなくて、馬のタイプに合わせて後ろから行くこともありますよ。

辛いこともあるけど、それ以上の喜びが。

辛いこともあるけど、それ以上の喜びが。

 騎手になって思うのが、端から見ていると華やかだけど、実際当事者になって、レースに勝てないことが続くと、自分自身も苦しいし、ファンの方のヤジとかも聞こえてきて、精神的に辛くなることがあります。でもその時は辛いんですけど、馬主さんをはじめ関係者の方やファンの方の想いを受けて、1着でゴールを切れるのは騎手しかいないので、どんな馬でも勝った時の喜びは何事にも代えがたいと思いますね。誰よりも、勝利の喜びを肌身で感じられるというか。
 あとは、人のレースとかを見ても、騎手ってかっこいいなと思うんです。いいレースを見ると感動するし。そうなると自分もそんなレースをしたいと思うので、辛いこともあるけど頑張れるんです。
 私の目標は1000勝達成と女性騎手の中でのリーディングジョッキーになることなんですが、その夢に向けてこれからも、頑張りたいと思います。