JOCKEYS HEART

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

#03 中島良美(浦和競馬)

  • 中島良美騎手
  • 浦和競馬
INTERVIEW
INTERVIEW

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

騎手と馬の一体感に、魅せられて。

騎手と馬の一体感に、魅せられて。

 15歳離れている姉がいるんですけど、競馬場に連れて行ってもらって。そのとき初めて競馬を見て「カッコいいな」と感じ、騎手になりたいと思いました。騎手・馬それぞれもカッコいいんですけど、騎手と馬との一体感が凄いなと。小学校3年生の時でした。たしか京都か阪神競馬場で、ウオッカが出走していたレースです。親には、なりたいと思った時からずっと騎手になると言っていましたね。友だちは、「それって、何?」という感じで。騎手がどんな仕事なのか知らなかったようです(笑)。教養センターへは高校を卒業してから入りましたが、受験のためのカラダづくりを考えて、中学校ではソフトボール、高校では陸上をやっていました。

ケガが多かった、教養センター時代。

 教養センターでは、ときどき日光旅行とかイベントがあるんですけど、そのときだけは好きなものをいっぱい食べられるのがうれしかったですね。ふだんは制約があるので。でも「食べてもいいけど、次の日は(体重を)落として来いよ」っていう感じでしたが(笑)。実際、食べ過ぎた時はサッカーをしていました。めちゃくちゃ厚着をして、「汗取りサッカー」と言いながら(笑)。辛かったことですか?自分はケガが多かったので、そのときですね。ケガをすると、馬に乗れないし、走れないし、トレーニングができないので、休んでいる間に、同期との差がどんどんついちゃう。だから少しでも差が開かないように、できる範囲で筋トレはしていましたね。よく腕の筋肉が重要みたいに思われるんですけど、騎乗する時は腕だけじゃなくて身体全体で馬を御すので、腹筋や背筋も大事ですね。

デビュー3戦目で、初勝利。

デビュー3戦目で、初勝利。

 初騎乗のときは、ゲート裏で内田利雄騎手に「緊張するよね〜」とか声を掛けていただいて。その記憶しかないです。そんなに人気がある馬ではなかったので、振り返れば、割と気楽に乗れたのかも。でも、レース中のことも着順も、全然覚えていないですね。同じ日に3レース騎乗したんですけど、その最後のレースで初勝利できました。そこまで人気のある馬ではなかったんですが、状態はいいと聞いていたので、「もしかしたら?」という気持ちはありましたね。スタートしてからは割と後ろの方にいたんですけど、最後の直線で外に出したら馬も伸びてくれて、「いけるかも!?」と思いました。勝てた瞬間は、とりあえず勝ててよかった。安心した気持ちでいっぱいでした。

理想は、追える騎手になること。

 女性騎手が有利だなと思うのは、周りの方が愛想よく接してくれることですね。男性騎手よりも優しく接してくれる感じがします。不利だと思うのは、やっぱり筋力面ですね。技術があっても、筋力がないと追えないし、追っても騎手がバテちゃうと伸びません。だから、筋トレは欠かせないですね。もちろん、騎乗を重ねることでしか付かない筋力もあります。理想の騎乗スタイルですか?追える騎手ですね。最後に一気に追い込めるような、迫力のある騎乗が理想。だから、逃げや先行よりも、追い込みや差しが好きですね。追える騎手になるには、筋力も技術も大切ですし、最後の直線まで馬を気分良く走らせることも重要ですし…理想を100としたら、今の自分は20〜30くらいです。

勝って、周りの人が喜ぶ姿を見たい。

勝って、周りの人が喜ぶ姿を見たい。

 騎手になって辛いと思うのは、朝早く起きることです。自分はまだ遅いほうなんですが、それでも3時半には起きます。だから夜は9時には寝ますね。良かったなと思うのは、やっぱり今のようなコロナの状況でも仕事をさせてもらえること。仕事があることのありがたみをすごく感じます。あとは自分が勝ったとき、調教師の方や周りの方が喜ぶ姿を見られるのが嬉しい。デビューしたばかりでまだまだですし、今でも「緊張しい」なんで、早く落ち着いて乗れるようになりたいです。そして騎乗依頼をたくさんいただいて、いっぱい乗って、ひとつでも多く勝って、周りの方が喜ぶ姿をたくさん見たいと思います。