JOCKEYS HEART

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

#12 小笠原羚(名古屋競馬)

  • 小笠原羚騎手
  • 名古屋競馬
INTERVIEW
INTERVIEW

どんなきっかけで騎手の道を選んだのか。
騎手になってから、どのように競馬と向き合い、どんな夢をもって走っているのか。
女性騎手として第一線で活躍する彼女たちの想いをお伝えします。

小学1年生から始めた陸上で、中学は駅伝強豪校へ

小学1年生から始めた陸上で、中学は駅伝強豪校へ

 三姉妹の末っ子で、4歳差の1番上の姉が陸上を始めたのをきっかけに、私も幼稚園の年長くらいから一緒についていって、小学1年生からそのクラブチームに入りました。低学年の頃はハードル走や走り幅跳びなど色んな種目をやって、4年生くらいから好きな種目に分かれました。一番向いているかな、と思ったのは長距離走。中学校は山梨県内の強豪校で、駅伝を走りました。練習はきつかったけど、和気藹々としていて、すごく楽しかったです。
陸上をやっている時は、男女差とかはそこまで気にしていなくて、練習も男女一緒。同じくらいのタイムの人には男性でも負けたくなかったです。
騎手という職業を知ったのは、中学2年生の秋か冬くらいでした。陸上部の1学年上の先輩が競馬学校を受験する、ということで「こういう職業もあるんだ」と思いました。先輩は私と同じくらいの身長。興味を持ってインターネットで調べて、受験してみようと思いました。家族や友達も「頑張れ」と応援してくれました。

女性騎手の多い名古屋所属を希望

 地方競馬教養センターの受験前、インターネットで調べて名古屋競馬に女性の先輩が2人いることを知って、名古屋への所属を希望しました。身近で見て学べることも多いのでは、と思ったことと、騎乗機会が多いかもしれないと考えたからです。
宮下瞳騎手は目標の騎手で、騎乗技術に加えて気遣いがとてもできる方で、本当にすごい方だなと尊敬します。いま使っている鞭は瞳さんからプレゼントしていただいた物。大事に愛用しています。
木之前葵騎手はとても気さくに話しかけてくれて、先輩ですけど気軽に話しやすいです。名古屋競馬の夏祭りで浴衣を着た時は葵さんがメイクをしてくださいました。

「先生が半泣きで」嬉しい初勝利

「先生が半泣きで」嬉しい初勝利

 デビュー戦はゲートの中に入ってしまえばそんなに緊張しなくて、落ち着いては臨めたんですけど、どこを走ればいいのかが全然分からなかったです。姿勢もぐちゃぐちゃでした。あとから記者の方が撮った写真を見せていただいたら、所属の沖田明子調教師と兄弟子の加藤利征騎手の方が私よりもめちゃくちゃ緊張していました。
初勝利を挙げた時も沖田先生は半泣きだったんです。私はというと、直線で「届け!」と願いながらがむしゃらに追っていて、届いたような気もするけど接戦で安心できないと思っていました。検量室の掲示板に1着で馬番が表示された時はめっちゃ嬉しかったです。先生からは「担当厩務員がグータッチを差し出した時も『勝ったのかな?』みたいな半信半疑の顔をしていたよね」と言われました。喜びながら帰ってきて2着だったら悲しいので、表示を見るまでは、と感情を抑えていたんです。

減量特典を生かして、インを攻める

減量特典を生かして、インを攻める

 今は減量特典があるので、レースでは多少内側を走ってもギリギリ残ってくれます。だから、砂が深いか深くないか、ギリギリのところを狙う乗り方をよくします。馬も砂を被らない方が進みがいいことが多いです。
レイナティアという、馬主さんが私のデビューに合わせて用意してくださった馬がいて、とても嬉しくてありがたいです。馬名はいただいた候補の中から3つ選んで、そこから決まりました。候補には名前の「レイ」が入った馬名がほとんどで、その中でも響きが可愛いこの馬名を選びました。レイナティアはやんちゃなところがあって、調教の帰り道、ダク(速歩)を踏んでいると少し離れた所にいた馬に向かって噛みつきに行こうとしたことがありました。走っている時はそんな悪さをすることはなくて、ビックリしました。何か気に食わなかったんですかね。

「ファイナルラウンドに行きたい!」これからの目標

「ファイナルラウンドに行きたい!」これからの目標

 まずは信頼してもらえる人になって、そこから一つずつ勝利を重ねていければいいな、と思っています。デビュー2年目からはヤングジョッキーズシリーズに出場できるので、ファイナルラウンドに行きたいです。JRAはお客さんの数も規模も違うので、どんな景色が見られるのか、乗ってみたいです。