女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
最新ニュースなどを
発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.13 宮下瞳騎手(名古屋競馬)

ある日の名古屋競馬場で、宮下瞳騎手(名古屋競馬)の勝負服がプリントされたマスクを着けた男性が立っていました。
マスクで半分隠れたお顔をよく見てみると、宮下騎手の師匠・竹口勝利調教師。

「瞳さんのマスクなんですね!」

と声をかけると

「そう、瞳からもらったで、今日乗ってもらうから着けてこようと思って。1Rに乗ってもらう時に『着けてきたよ』と言ったら、喜んでいました。『この横文字、なんて書いてるん?』って聞いたら、『私の名前』なんだってさ」



終戦前の生まれで、77歳の竹口調教師。「瞳の1000勝を見るまでは現役を続けたい」とも話す師匠は、マスク越しにニッコニコの笑顔を見せてくれました。


竹口調教師のもとへ宮下騎手が弟子入りしたのは10代の頃。
宮下騎手はお子さんを出産後、「この子たちのおじいちゃん」だと、敬老の日には竹口調教師にプレゼントを贈り、家族のように過ごしています。

家族といえば、4月27日にこんな家族写真が撮影されました。



2人のお子さんに囲まれて写っているのはポルタディソーニ。
宮下騎手が「ママさんジョッキー」として復帰後、重賞初制覇となった2017年秋の鞍をはじめ、コンビで重賞4勝を挙げた牝馬です。



「実は、4月23日のレースを最後に引退することが決まったんです。すごく寂しいです……」と宮下騎手。

一昨年の名港盃では同期の下原理騎手(園田・姫路競馬)との接戦を制して優勝するなど、「ポルちゃんはがんばり屋さんなんです」と、いろんな思い出を積み重ねてきました。

「北海道に帰って、お母さんになるみたいです。出発の日、子供たちとお見送りに行きました。ポルちゃんはニンジンが大好きなので、いっぱいニンジンを持って行って馬運車に積んでもらいました。ポルちゃんに似た可愛い子がきっと生まれてくると思います。コロナが落ち着いたら、北海道に会いに行きたいですね」



引退は寂しいですが、無事に北海道に帰れることは幸せなことでもありますね。ニンジンをたくさん食べて、いいママになれますように。


※5月4日名古屋7レースで宮下瞳騎手が落馬しました。病院へ搬送され「脳しんとう、肋骨骨折、肺挫傷」の診断とのことです。1日も早く治ることを祈っています。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。