女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
最新ニュースなどを
発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.15 宮下瞳騎手(名古屋競馬)

ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日、園田競馬場にいると「瞳さんが落馬したよ!」とあちこちで心配の声が上がりました。

慌ててレース映像を確認すると、ちょうど向正面に差しかかり、名古屋のカメラワークではパトロールビデオのように正面から馬群を映しているところでの落馬。

後続馬も巻き込まれ、「瞳さん、大丈夫かな……」と、不安でいたたまれない思いだったのですが、きっと同じような心境のファンの方も多かったことでしょう。


今週月曜日、休養中の宮下騎手にお電話をしたところ、ビックリするくらい元気なお声が返ってきて、泣きそうになりました。

「みなさん心配してくださって、本当に嬉しいです。痛みなども楽になってきました」

それは、いつもと変わらない明るい声でした。

落馬直後に発表された診断は「脳しんとう、肋骨骨折、肺挫傷」。

特に脳が心配だったのですが、「脳の検査は問題なく、頭を10cmくらい縫いました。肺挫傷による息苦しさとかも大丈夫です。落馬した日は入院して、翌日の夕方にはお家に帰ったのですが、すごく気持ちが悪くて食べられなくて、3~4日間はずっと水だけでした」

頭を強く打ったからでしょう。めまいも酷く、1週間くらいは四つん這いじゃないと動けなかったそうです。

仕事に家事に育児にと、パワフルな日々を送りながらも「疲れたって言葉も表情も出さなくてすごい」と師匠の竹口勝利調教師が目を丸めるほど、宮下騎手の根性は想像を遥かに超えるのですが、それをもってしても「落馬して最初の1週間はさすがの私もちょっと参りました」と話すほど。

そんなつらい日々、手を差し伸べてくれたのは後輩ジョッキーでした。

「今井(貴大)さんが週末、子供たちを自宅に泊めてくれたんです。今井さんのお子さんとはすごく仲が良いので、お泊りに行けて子供たちもすごく喜んでいましたし、その間、私もゆっくりできて助かりました。子供たちもすごく助けてくれますし、他にも周りの方がすごく助けてくれて、みんなの優しさに心を打たれています」

宮下騎手に尊敬の眼差しを向けるジョッキーは男女関係なく多く、日々全力で奮闘する姿を見てきたからこそ、こうして大変な時は助けたくなるのでしょう。

ひどかっためまいや気持ち悪さも1週間ほどで落ち着き、いまは普通にご飯を食べられるようになったということです。

「火曜日に頭の傷の抜糸をしました。その時に検査したら、首の骨も折れていたことが分かったのですが、医師からは『影響はあまりない骨だから』と言われています。コルセットなどもいらないみたいです」

とのこと。

「車の運転もできるようになり、骨折の治りを少しでも早めるため、今週は超音波を当てるのと、酸素カプセルに入りに毎日通っています。超音波は回復が40%くらい早くなるみたいです。



調教は今月いっぱいはお休みして、来月くらいから動けたらいいかな、と思っています。一昨年の夏に鼻を骨折した時はちょっと無理しちゃったので、今回は迷惑をかけないように100%の状態になってから復帰しようと思います」

とにかく、元気な声にホッとしました。焦らず、しっかり怪我を治していただいて、また競馬場に宮下騎手が戻ってきた日には大きな声援と拍手を心の中で送りたいと思います。


  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。