女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.17 神尾香澄騎手(川崎競馬)

今年4月19日にデビューを迎えた神尾香澄騎手(川崎競馬)が5月26日に初勝利を挙げました!



コンビを組んだのは所属する山田質厩舎の馬で、調教にも騎乗するマッドシェリー。
内枠から強気に騎乗し、5馬身差での勝利には

「後続馬の脚音が聞こえなくて、強いなぁと思いました。それまで2、3着には入れても、勝つことができなかったので、とても嬉しかったです」

とホッとした様子。

前回のコラムで、女性で元ジョッキーの安池成実調教師(川崎競馬)と仲良しだと書いたのですが、神尾騎手が初勝利を挙げると、「おめでとう!」とお祝いを言うためだけにわざわざ競馬場まで来てくださったそう。

「実際にはタイミングが合わなくて会えなかったのですが、安池先生はその日、レースがなかったのに競馬場まで来てくださったみたいです。とても喜んでくれたので、私も嬉しかったです!」

そして南関東にはもう1人、元ジョッキーの女性調教師がいます。
浦和競馬でリーディング2位の活躍を見せる平山真希調教師。

以前、川崎の調教がお休みの日に神尾騎手が兄弟子の藤江渉騎手と一緒に浦和の調教に乗りに来たことと、「休養明けの馬がいて、斤量が軽い方がいいなと思って」と、女性騎手減量制度も合わせて4kg減の神尾騎手にプリプリクインダムの騎乗依頼をしました。

6月1日浦和5レースに臨んだプリプリクインダムと神尾騎手。

「スタートは少し遅れましたが、伸びる馬だと分かっていたので、砂を被るよりは、と思って3番手外を進みました。
3~4コーナー中間では並んで走っている内の馬よりも手応えがいいなと感じました」

直線で抜け出すと、そのまま押し切って1着でゴール。

神尾騎手にとっては自身2勝目となった勝利なのですが、こちらの口取り写真をよーくご覧ください。



神尾騎手と一番右に写る平山調教師だけでなく、厩務員さん2人、さらにはプリプリクインダムまでも女の子!

そう、“オール女子”チームによる勝利だったのです。

全国を見渡してもなかなかお目にかかれない貴重なシチュエーション。
さらに担当厩務員さんはこれが初勝利というメモリアルなレースだったようです。



ちょうど10年前にジョッキーを引退した平山調教師はこう話します。

「ジョッキーは馬に教えてもらうことが多く、経験を積まないとなかなか上手になりません。昔は男性と同じ減量制度で、デビューから何年か経って減量がなくなると騎乗馬が限られてしまいました。
今では新人の女性騎手には4kg減があったり、競馬場によっては地元騎手を起用すると馬主に手当てが支給されるなどフォロー体制があるため、馬主に言いやすいです。
女性騎手がどんどん増えてきて、環境も整ってきました。これからもっと女性が活躍できる競馬界になってほしいです」

神尾騎手はこうしたジョッキーOGや、何よりも所属する山田質厩舎からのサポートを受け、着実にレース経験を積んでいます。

「課題はたくさんありますが、一つ一つ学んで成長していきたいと思います。応援よろしくお願いします」

という神尾騎手の言葉通り、たくさんの経験を成長の糧とできますように。


  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。