女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.20 トップジョッキー直伝のムチ


「世麗にムチのセッティングを教えたんですよ」

優しいまなざしでそう話すのは下原理騎手。

2017年に地方全国リーディングに輝いた下原騎手には2人の娘さんがいて、この春、大学に進学した長女と、今年4月にデビューした佐々木世麗騎手は同い年です。

さらに、下原騎手にとってメインステーブルである新子雅司厩舎から初めてデビューする新人騎手が佐々木騎手とあって、昨年7月の名港盃(名古屋)をタガノジーニアスで勝った時には3人で記念撮影するなど厩舎実習の頃から気にかけていました。



冒頭で下原騎手が話した「ムチのセッティング」とは、市販のムチを使いやすいようにカスタマイズすること。

ポイントは、グリップの端からすこーし離れたところに輪ゴムを巻くことのようで

「輪ゴムを巻いておくと、レース中にムチの持ち替えがしやすいんです」

と下原騎手は話します。

参考までに、写真左は一般的なムチ、右が佐々木騎手のムチです。



ファンの皆さんは直線などでジョッキーがムチを左右に持ち替えながら懸命に追うシーンを見たことがあると思います。

そういったシーンで、たとえば右手からムチを持ち替える時、左手で「輪ゴムとグリップ端の間(下の写真で下原騎手が持っている部分)」を掴んで、ゴムを起点にしてすぐさまクルッと順手に持ち直すことができる、というのがこのカスタマイズの一番の利点だそう。



そのシーンを想像しながらペンや家にあった突っ張り棒などで「こういうことかな?」とやってみると、たしかに持ち直す時になにか引っかかりがあった方がやりやすそうな気がしました。

ジョッキーの皆さんは時速60kmにも及ぶ馬上で瞬時にこの動作を行うわけですから、私のこんなシミュレーションとは次元がまったく違うのですが、こうして細部にまでこだわってレースに向かっていることが改めて感じられました。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。