女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.35 モニターは大切な先生


園田競馬場ではこれまで検量室の中に1台、パトロールビデオを放映するモニターがありました。

しかし、そこは体重計のすぐそばで、部屋自体も6~7人が入るとぎゅうぎゅう。
レース後は多くの関係者が集まるため、ゆっくりパトロールビデオを見ることができない時もありました。

それが昨年春頃に検量室の屋外にもモニターが設置され、より多くの騎手や調教師が密にならずにパトロールビデオを確認できるようになりました。

今年4月のデビュー以降、レースが終わるたびにパトロールビデオを入念に確認しているのは佐々木世麗騎手(園田・姫路競馬)と所属の新子雅司調教師。

「体感したことをそのまま伝えられますし、本人もレース内容を鮮明に覚えているので、この時間は大切です」

と新子調教師。

最終レースを終えてから、改めて1日のレースの振り返りも行うのですが、そこでは勝ち馬や他のジョッキーの動きも見るようで、本人の位置取りや進路の取り方をメインに見るのはレース直後のこのタイミング。

私たちファンは横からの映像(レース中継で流れる馬体を横から映す映像)をメインに見ますが、騎手や調教師など関係者は縦から映したパトロールビデオを主に見ます。

パトロールビデオでは基本的に先頭から最後方まで映されているので全馬の動きが分かりますし、馬場のどの位置を通ってレースを組み立てているかが分かりやすいのです。

「いま通ったところは砂が深いから、もう1頭外を回った方がいい、といったことを伝えることができて、直後のレースからすぐに修正することができるのがメリットですね」

と、レース直後のパトロールビデオでの振り返りについて新子調教師は話します。

2018年に石堂響騎手がマークした園田・姫路競馬の新人最多勝記録44勝を9月9日に更新した佐々木騎手。

新人の女性騎手にはデビュー時に4kg減の減量特典が与えられますが、同22日に51勝目を挙げたことにより、9月29日からは3kg減での騎乗になりました。

少しずつ先輩騎手との斤量差が縮まることで、レースではこれまでと違ったアプローチも必要になるかもしれませんが、どんな時でもパトロールビデオの振り返りは大切な時間となることでしょう。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。