女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
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発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.36 ヤングたちの戦い


今週13日、川崎競馬場でヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンド川崎が行なわれました。

集合写真撮影のため、パドック脇に若手騎手たちが控えていると、馬場に向かう川崎第5レースの出走馬と騎手たちが通っていきました。

その中には2018年にYJS総合優勝を果たした櫻井光輔騎手(川崎)や、2019年のYJSファイナルラウンド中山第2戦で勝利を挙げた中越琉世騎手(川崎)も。

YJSも5年目を迎え、YJSを卒業(=デビュー年数や勝利数によって減量騎手を卒業)するジョッキーが増えてきたんだなぁと実感します。

さて、女性騎手は盛岡に続き、東日本の関本玲花騎手(岩手)、中島良美騎手(浦和)、神尾香澄騎手(川崎)の3名が出場しました。

関本騎手にとっては久しぶりの2人との再会で、中島騎手の髪形を観察したり、神尾騎手とマスクの話題で盛り上がったり。

「若い子たちがこうやってたくさん集まって、いいわねぇ」と、彼女たちの先輩である安池成実調教師(川崎)も嬉しそうに見つめていました。

第1戦、3名の中で最も人気を集めたのは神尾騎手とデルマダイヤモンド。
ここ3戦、後方から脚を伸ばして2着2回、5着1回の成績で、新聞でも○や▲など印が並びました。

中島騎手が騎乗するサンベリーニはこの4走は掲示板を外しているものの、5走前にはロングスパートを決めて勝った馬。

そして、トライアルラウンド川崎はこの1戦のみの騎乗の関本騎手は、最内枠でサイレントシーとのコンビ。あまり人気はしていませんでしたが、立ち回り次第では上位争いの可能性もありそうな感じでした。

レースは5~6番手のインに関本騎手がつけ、その外に中島騎手、神尾騎手は後方からとなりました。

「鈍いと聞いていたので、出していこうと思っていました」

と中島騎手は1~2コーナーでも徐々にポジションを上げて向正面半ばでは先行集団の外まで進出。

3コーナー手前で神尾騎手も追い出しはじめると、直線では外から中島騎手と神尾騎手が揃って追ってきましたが、古岡勇樹騎手とトキノステラの差し脚が鋭く、一気に突き抜け勝利しました。

神尾騎手は3着、中島騎手は4着、そして関本騎手は8着でした。

神尾騎手は

「馬は頑張ってくれたんですが、最後はしっかり追いきれず脚を伸ばせませんでした。
手応えがあったので最後は外に出して、その方が伸びると思ったのですが」

と残念そうな表情。

「レース映像を見て、重心や手綱の保持の仕方はデビューの頃から変えていますが、まだまだできていません。いつも『どうやったら上手くなれるか』と考えています」

と、デビューからここまで半年を振り返りました。

中島騎手もかなり悔しそうな表情で検量室から出てきました。

「あまり上手く乗れませんでした。3コーナーで外を回りすぎて、ロスがありました」

と反省。

勝った古岡騎手は勝負所では2頭の後ろにいながら、3~4コーナーは内から馬群を捌いて伸びるというレースぶり。
ヤングらしからぬ味のある立ち回りに、「すごいなぁ」と感じました。

彼女たちが胸の奥で最も悔しがっているポイントは何なのか、それは本人にしか分かりませんが、この経験を生かしてまた面白味のあるレースを見せてくれることでしょう。

なお、第2戦は神尾騎手は13着、中島騎手はパドックで肩を脱臼し、乗り替わりとなってしまいました。

最近、女性騎手の怪我が続きます。
濱尚美騎手(高知)も10月9日の高知第3レースの返し馬で落馬し、膝を負傷。
骨に異常はなかったものの、膝が腫れて曲げられず、翌日も乗り替わりとなりました。

幸い、しっかり膝を冷やして、週中には調教に復帰したとのこと。
今週末16、17日の高知競馬には騎乗予定でホッとしました。

一方、中島騎手はYJS翌日の14日も乗り替わり。
どうぞお大事になさってください。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。