女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
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発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.37 意外と速い!?ばんえいの世界


関西では肌寒い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

カラっと乾燥した、どこか寂しさを感じる空気になると、帯広競馬場でのレディスヴィクトリーラウンド(LVR)ばんえいエキシビションを思い出します。

初めて開催されたのはちょうど4年前の2017年10月16日。
普段は交流の少ないばんえいと平地ですが

「ばんえい競馬にも女性騎手がいるので、エキシビションレースなど何か交流を持つことができれば」

と地方競馬全国協会内で話が上がり、時を同じくしてイベントで竹ケ原茉耶騎手(ばんえい)に会った別府真衣騎手(高知)も

「同じ地方競馬のジョッキーだし、何かの形でLVRで共演をしたいです」

と帯広競馬場に相談したことがきっかけとなり、
(写真左から)木之前葵騎手(名古屋)、下村瑠衣騎手(高知、引退)、宮下瞳騎手(名古屋)、別府騎手、竹ケ原騎手が帯広競馬場に集結したのでした。

この年は不良馬場の菊花賞をキセキが制覇するなど、関西ではとにかく雨がよく降ったのですが、昼間は長袖1枚で十分なくらい、まだ暖かさも残っていました。

それがどうでしょう。
帯広に到着すると、街路樹はすっかり冬の装い。

夕方4時過ぎ、練習場に行くと、本州から来た平地の女性騎手たちはみんな「寒い~!」と言って防寒ジャンパーを着てソリに乗っていました。

地元の調教師さんに同乗してもらい手ほどきをうける下村騎手(写真後ろ)を横目に、騎乗経験のある別府騎手は早速一人で障害を越えてみせました。

「初めて乗った時はどうしたらいいか分からなくて、手綱を引っ張っていたらガンガン走り始めて、キャンター(駈歩)まで踏んだんですよ!
『ばん馬ってこんなに走るんや~』って驚きました」

ばん馬=歩く、というイメージが強いですが、ソリの重量や脚質によってはレースでも走る馬もいて、重賞をいくつも勝ったフクイズミなども第二障害を越えてから走っていました。

「力では敵わないので、サラブレッドみたいにハミをかけず、ふわっと乗ったら大丈夫でした」

と別府騎手なりにコツを掴んだよう。

宮下騎手は「初めてで、最初はドキドキしました」と、キャーッと声を上げながら乗っていましたが、すぐさまフォームが様になっていてさすがです。

そして、木之前騎手は「ハミの感覚は普段と同じですが、伝わってくる振動が全然違いますね」と。

本番のエキシビションレースでは、ばんえいのジョッキーと2人1組でソリに騎乗。
ここがホームグラウンドの竹ケ原騎手は単独での騎乗で、手綱を巧みに操って障害の手前で馬に息を入れさせたり、鼓舞して気合いをつけたり、カッコいい!

1着でゴールしたのは下村騎手と村上章騎手のペアだったのですが

「スタートの瞬間が想像以上に速くて、首がムチ打ちになりそうでした(苦笑)。
障害を越える時はジェットコースターみたいでした」

と話しているのを聞くと、見た目以上にばん馬って歩いていてもスピードがあるんだなぁと感じます。
特に、スタートでの体感速度は他の女性騎手たちも「すごく速い!」と目を丸めていました。

ばんえい競馬は今週末も23日(土)~25日(月)まで開催されます。

サラブレッドのレースとはまた違った、でも想像以上にスピードも併せ持ったばんえい競馬を楽しんでみてはいかがでしょうか。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。