女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
最新ニュースなどを
発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.51 騎乗フォーム進化中


1月25日に高知競馬場で行われた全日本新人王争覇戦で関本玲花騎手が第1戦をヴィルセキュリティで勝ちました。

所属する岩手競馬は冬のためオフシーズン。
レースに騎乗するのは約3週間ぶりとあって、レース直後は

「返し馬が終わっただけで足がガクガクでした」

と苦笑い。

それでも、2、3着馬とはクビ+クビ差の接戦を制しての勝利には強さを感じました。
年末の当コラムでは「乗り方を変えました」と話していた関本騎手ですが、具体的にどう変えたのでしょうか?

「お尻がつかないギリギリまで姿勢を低くするようにしています」

レースを見ていると、膝をやや伸ばし気味に高い姿勢で乗る騎手、馬の背中に沿うくらい体を低く折りたたむ騎手、追う時にお尻をついて腰を入れながら推進力を生み出そうとする騎手など、それぞれの考えで様々な騎乗スタイルの騎手がいることが感じられます。

関本騎手が騎乗フォームを考えるきっかけとなったのは、厩務員さんとの会話から。

「アメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルの違いを聞いていて、その時はいまいちピンとこなかったんですけど、(山本)聡哉さんを見て、『あ!こういうことか』と分かりました」

ダートが中心のアメリカ競馬と、芝が中心のヨーロッパ競馬では騎乗フォームや追い方に違いも見られます。

この話題を早速、岩手のトップジョッキー・山本聡哉騎手にも聞いてみたところ

「今は動かない馬(ズブいと言われる馬や、渋く伸びる馬などをイメージするといいかなと思います)に乗ることが多いだろうから、アメリカンで乗った方がいい」

とアドバイスを受け、実践中なんだそうです。

でも、理想に描く騎乗フォームで乗るって、ものすごく筋力を使いそうです。

「ヤバいです(苦笑)。
これまでは1日に6鞍とかは普通に乗れていましたけど、騎乗フォームを意識して、追う時もお尻をつかずに乗るとなると、2鞍が限界です。徐々にこのフォームで乗れるレース数を増やしていきたいです」

また、昨夏~秋くらいからはプロスケートボーダーも通うパーソナルトレーニングジムに通い始めたとのこと。

この1年くらいでグングン意識が向上しているように感じます。

「何かを“ちょっと”変えただけで競馬で変化を感じられて、面白いなと思うようになりました。ジムに通い始めてから体がしっかりしてきたという実感もあって、馬に乗るのが楽しくなってきました」

こうした取り組みも一つの要因となって、新人王での勝利につながったのかもしれません。
さらに、新人王ではこの勝利が大きな後押しとなり、総合2位にも入りました。

奇しくもこの日、高知競馬場には関本騎手が「この先生のおかげで、何とか少しはまともに乗れるようになった」という地方競馬教養センターの元教官が来ていました。

「先生の前で勝ててよかったです」

と喜んだ関本騎手。
2月18日のレディスジョッキーズシリーズ名古屋、そして3月12日からの再開される水沢競馬ではさらに進化した騎乗を見せてくれることを楽しみにしています。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。