女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.53 ファイナルで活躍・濱騎手、別府元騎手は調教師の船出


高知競馬の一発逆転ファイナルレース。

ジョッキーたちでさえ「どの馬が逃げるのか分からない」こともあるという難解メンバーで構成され、高配当が多いことからもすっかり高知名物となりました。

近走の成績が振るわない馬などを中心に出走馬が選抜され、他のレースとはペースや展開が異なるのも特徴。

その特徴を掴んでいるのか、ファイナルレースに滅法強く、「ファイナル男」と呼ばれる塚本雄大騎手のように、ファイナルで好成績のジョッキーがいるのも事実。

濱尚美騎手(高知)もその一人です。

「減量を生かして積極的に騎乗することを心がけています」

というレースへの姿勢がファイナルでは特に強く感じられ、スタートから積極的に逃げ・先行するシーンもたびたび。

1月30日の一発逆転ファイナルレースもまさにそうで、スタートから出ムチを入れて2番手を取ると、直線で内外から来られて飲み込まれそうなところ、踏ん張って3着でした。

「5番人気で3着」という数字以上に、直線の踏ん張りには驚きました。

さて、そんな高知競馬場で明るい話題が飛び込んできました。

11月末をもって騎手を引退し、調教師に転身した宮川真衣調教師が2月8日高知第7レースで厩舎初出走を迎えました。

騎手時代は旧姓の「別府真衣」で騎乗し、国内女性騎手歴代2位となる747勝を挙げ、重賞も制覇。昨年11月のレディスジョッキーズシリーズ(LJS)盛岡と高知にも騎乗し、LJS高知翌日の引退レースではダノンチャンスで最後の勝利を飾ったことも記憶に新しいところです。

現在、宮川真衣厩舎に入厩しているのは3頭。
お姉さんが厩務員として働いていて、それだけで頼もしいのですが、初陣を飾ったチョウライリンの鞍上はご主人の宮川実騎手。さらには調教も宮川騎手がつけています。

レースの2日前、宮川騎手に「明後日…」と声をかけると

「みんな注目していますよね。楽しみですし、ワクワクしています。
勝てたら一番いいですね」

と笑顔。

対して、宮川真衣調教師は「無事に出走させることができるかなって、ジョッキーの時にはなかったドキドキがあります」と、高知けいば中継内「トレーナーズトーク」で話しました。

トレーナーズトークに出演時、胸元につけていたブローチは現役時代にコンビを組んでいたテトラクォーク。
特注品で、ドーナツ型をした流星もしっかり再現されています。

「今はもう、よその厩舎の馬になっちゃいましたけどね(笑)」

という言葉を聞いて、「あぁ、本当に別府真衣騎手から宮川真衣調教師になったんだなぁ」と実感しました。

初陣を飾ったチョウライリンは2歳だった2019年に船橋・平和賞や大井・ハイセイコー記念で3着の実績馬。
近年は岩手の最上級のA級に在籍していましたが、12月20日、1月2日と2走続けて雪で取り止めとなり、高知にやってきました。

560kgを超える大型馬ならではの調整の難しさもあったかと思いますが、夫婦で一生懸命、仕上げて出走。



  • 写真提供:高知県競馬組合

レースは中団後ろから運び、直線で差し脚を見せましたが、6着。



  • 写真提供:高知県競馬組合

初騎乗初勝利を挙げた騎手時代のように、初出走初勝利とはなりませんでしたが、まずは無事にレースを終えられたことにホッとしているのではないでしょうか。

騎手から調教師へ、第二のホースマン人生がここから始まります。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。