女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.54 いよいよLJS最終戦!


10年ぶりとなる女性騎手だけの戦い「レディスジョッキーズシリーズ(LJS)」もいよいよ今日18日、名古屋競馬場での2戦で優勝者が決まります。



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振り返ると、2018年のレディスヴィクトリーラウンド(LVR)は女性騎手がたった3名。
宮下瞳騎手、木之前葵騎手(ともに名古屋)、別府真衣騎手(高知)に、地元の男性騎手が加わってLVRを行いました。

わずか4年前のことですが、この時は1月に鈴木麻優騎手(岩手)が、7月に下村瑠衣騎手(高知)が引退して一気に人数が減っていました。

しかし、翌年に濱尚美騎手(高知)、関本玲花騎手(岩手)、中島良美騎手(浦和)がデビューし、怪我で長期休養中だった岩永千明騎手(佐賀)も復帰。
短期免許で来日中だったミカエル・ミシェル騎手(フランス)も交え、2020年2~3月には総勢7名でLVRを行うことができました。
(この時もレースは男性騎手も交えて)



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みんなの笑顔が懐かしい!

このLVR2020は岩永騎手が優勝し、涙なみだで「LVR出場が目標で復帰して、優勝できて嬉しくて涙ばかり出ます」と喜んでいました。

この年の4月には北島希望騎手(浦和)と深澤杏花騎手(笠松)がデビュー予定で、さらに翌春デビューを目指して神尾香澄騎手(川崎)と佐々木世麗騎手(兵庫)が訓練中ということで、みんなで「今度は“オールレディース”で開催できるかな?」とウキウキしていました。

その後、コロナによる度重なる緊急事態宣言を経て、何とか昨年11月23日に盛岡競馬場でLJSが開幕できたのでした。

ただ、残念ながら岩永騎手は引退、北島騎手は休養中、中島騎手は直前のヤングジョッキーズシリーズ川崎で肩を脱臼し療養、木之前騎手も鎖骨骨折、さらに別府騎手が調教師試験に合格し、11月末で騎手を引退することとなりました。



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「以前から女性騎手レースが行われる時に限って、怪我人が出たりするんです」

と、誰かから都市伝説のように聞いたことがありましたが、本当にそうなるとは。

今日行われるLJS名古屋は体調不良で休養中の佐々木騎手から欠場の申し出があり、関本騎手が調教中に足の親指を骨折し欠場。
代わって、木之前騎手が復帰して、5名による最終戦となります。

この「5名」というのが優勝を決める大きなカギとなりそうです。どういうことか、まずはLJSのルールとここまでの戦いをおさらいしましょう。

【ルール】
① 着順に応じたポイント制
② 盛岡、高知、名古屋で各2レース、合計6レースで得たポイントによって総合優勝が決定

11月23日の盛岡はみぞれかと思うほど冷たい雨が降りしきる中、第1戦は積極的に逃げの手に出た神尾騎手が前残りの不良馬場を味方につけて勝利。
第2戦も好スタートから逃げた佐々木騎手が先頭で直線を迎えるも、濱騎手が迫って大接戦。一旦は濱騎手が前に出たように見えましたが、ハナ差で佐々木騎手が勝ちました。



  • ▲「寒い~」と言いながらも楽しんだLJS盛岡。濱尚美騎手(右)と深澤杏花騎手(左)


  • ▲「真衣さんと乗るのが夢でした」と関本玲花騎手(左)と別府真衣騎手(当時)

11月27日の高知は濱騎手の2連勝。
第1戦は何度も騎乗したことのある馬、第2戦は初騎乗の馬ながら、他の有力馬には騎乗経験があって力を計りやすいという地の利を存分に生かしたものでした。



  • ▲LJS高知では記念撮影の合間、若手同士でワイワイ

これら4戦を終えて暫定1位は濱騎手。
4戦2勝、2着1回、3着1回で、95ポイントを獲得して独走状態です。

2位は神尾騎手で、1勝、2着1回、6着2回。
トップの濱騎手とは29ポイント差の66ポイントです。

ポイント表はこちら

ここで思い出してほしいのが「5名」による最終戦ということ。
5頭立てのため、最下位でも5着10ポイントが付与されます。
一方で、1着は30ポイント、2着は20ポイント。

濱騎手はたとえ2戦とも最下位になったとしても20ポイントはもらえます。
そこで計算してみると、優勝争いは濱騎手と神尾騎手2人に絞られる状況。

さらに、神尾騎手が逆転できるパターンは主にこういった感じ。

・神尾騎手2連勝、濱騎手2戦とも3着以下
・神尾騎手1着・2着、濱騎手5着・5着

もう少しいろんなパターンがあるかもしれませんが、いずれにせよ逆転するにはかなりの好成績を収めないといけないことが分かります。

あらー、これは濱騎手が逃げ切って優勝かな?と思いきや、出馬表を見てみると、神尾騎手は2戦とも好勝負ができそうな馬が当たりました。
第1戦のニシノステラは逃げてバテない馬、第2戦のツルマルオーソは前走、好タイムでしまいに差を詰めて2着でした。

対する濱騎手も、第1戦は馬のリズムで上手く運べれば妙味がありそうですし、第2戦はテンに速く1400mなら逃げ切りも可能そうな馬。

他の騎手たちは優勝争いこそ難しいものの上位を目指せそうで、現在4位の深澤騎手の第1戦は一瞬の脚がすごい馬、第2戦も末脚に期待が持てそうです。

6位の宮下騎手は第1戦は距離短縮がどう出るかですが楽しみを持てる馬、第2戦は先行できる馬で最内枠。

「彼女の強みはインの立ち回りですよね」
と、ある調教師も話すように、内ラチ沿いからロスない立ち回りで魅せるレースも多い宮下騎手。
どんなレース内容になるかも含めて特に第2戦は注目しています。

そして、木之前騎手は怪我のためここまでのLJSには出場できなかったため、持ちポイント0ではありますが、第1戦はテンが速そうな馬で最内枠、第2戦は安定して上位争いをし、先行してバテない脚を持った馬。

少頭数ではありますが、それだけに騎手同士の駆け引きも見られそうで、どんなレースになるのか楽しみにしています。

ぜひ今日の名古屋第9レース(第1戦)と第11レース(第2戦)にご注目ください。

LJSレディスジョッキーズシリーズ2021特設ページ
神尾騎手、深澤騎手、濱騎手がLJS最終戦直前振り返りトーク!ZOOM女子会

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。