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2010/01/07
『NARグランプリ2009』表彰馬・表彰者決定!




NARグランプリ2009 優秀馬選定委員会 選定経過

◆サラブレッド2歳最優秀馬
 ラブミーチャン(笠松)

 全日本2歳優駿(JpnI)、兵庫JGP(JpnII)を勝ったラブミーチャン、北海道2歳優駿(JpnIII)のビッグバン、エーデルワイス賞(JpnIII)のオノユウの3頭が候補となったが、09年地方競馬所属馬唯一のG/JpnI勝馬となったラブミーチャンが満場一致で選出された。


◆サラブレッド3歳最優秀馬
 ブルーラッド(川崎)

 浦和記念(JpnII)を制したブルーラッド、関東オークス(JpnII)2着のツクシヒメ、JRAに遠征してクイーンカップ(JpnIII)3着したエイブルインレースが候補となったが、唯一タイトルを獲得したブルーラッドが満場一致で選出された。6頭出走したJRA所属馬に1〜6着を独占された09年ジャパンダートダービー(JpnI)を象徴として、苦戦が続く地方所属3歳馬がG/Jpnレースを制したのはフリオーソ以来2年半ぶりのことであった。


◆サラブレッド4歳以上最優秀馬
 フリオーソ(船橋)

 年間を通じてG/Jpnレースを勝ったのがダイオライト記念(JpnII)のフリオーソとクイーン賞(JpnIII)のユキチャンの2頭だけというこの部門。中ではフリオーソが、2009年も地方競馬の古馬の代表として王道を歩みながらのJpnIIタイトル獲得馬として、満場一致で2年連続の選出となった。JpnIの川崎記念、帝王賞でも2着と健闘し、特に川崎記念で得た114というレーティングはフリオーソにとって生涯最高値である。


◆アラブ最優秀馬
 該当馬なし

 09年9月27日、福山での「開設60周年記念 アラブ特別レジェンド賞」をもってアラブの限定競走が姿を消し、すでに傑出した存在が現れにくくなったこの部門では、最優秀馬を選ぶのは難しいとの声が大勢を占め、該当馬なしが全委員一致の結論となった。


◆ばんえい最優秀馬
 カネサブラック

 史上2頭目のばんえい記念3連覇を達成したトモエパワー、重賞3勝など名牝の名に相応しい活躍をみせたフクイズミにも賞賛の声が挙がったが、重賞5勝を含め年間12戦8勝2着2回3着1回4着1回と、ばんえい競馬には稀な安定度を誇ったカネサブラックが、対フクイズミ9戦6勝も加味されて、満場一致で選出された。


◆最優秀牝馬
 ラブミーチャン(笠松)

 Jpnタイトルホースがラブミーチャンとユキチャンの2頭。JRAから移籍し牝馬のダートグレード戦線の地方側の核となるべく期待されるアイドル・ユキチャンの存在も、ラブミーチャンの5戦5勝、JpnI、II制覇という活躍の前には影が薄く、満場一致でラブミーチャンが選定される結果となった。


◆最優秀短距離馬
 該当馬なし

 3歳以上の馬にとっては短距離競走への出走は適性に応じた選択の結果であるが、2歳馬にとっての1200mや1400m競走は、根幹距離に向けてのステップアップの過程である場合もあって、その意味合いは若干異なってくる。1400mのJpnIIを制し、1200mでもレコード勝ち(JRA京都)しているラブミーチャンのスピード資質は疑うべくもないが、1600mの根幹競走を制した同馬を短距離というカテゴリーに置くことは、多様な将来性を秘めているだけに相応しくないとも考えられる。このような議論の中で、この部門は原則としてカテゴリーとして確立されている3歳以上から選定することが確認され、今回は該当馬なしとなった。


◆最優秀ターフ馬
 該当馬なし

 G/Jpnタイトルを獲得した馬がなく、例年と比較しても特筆すべき芝競走での好走例がないという意見が圧倒的で、該当馬はなかった。


◆年度代表馬
 ラブミーチャン(笠松)

 ラブミーチャンで異論なし。2歳馬による年度代表馬選出はエクリプス賞(アメリカ)でのセクレタリアト、フェイバリットトリック、カルティエ賞(ヨーロッパ)でのアラジやカナダ(ソヴリン賞)での例(地方競馬でも地区限定での選出においては過去に例がある。)はあるものの、日本では空前にして絶後かもしれない。3歳以上の馬にG/JpnIの勝ち馬がなかったことも確かに要因の一つではあろうが、より積極的な捉え方としてラブミーチャンの活躍は素晴らしく、称賛の声が各委員からあがった。デビューから5戦負けなし、JpnI、JpnIIを連勝したことはもちろん、JRAに遠征してのレコード勝ちは能力の高さの証明である。古くからの地方競馬ファンにとっては、新潟所属馬として上山での東北優駿、北日本オークスを制したラストヒットの孫という血統も魅力の一つであろう。


◆ダートグレード競走特別賞
 エスポワールシチー(JRA)

 地方競馬で実施されたJpnI競走を2勝しているエスポワールシチーとヴァーミリアンの争い。帝王賞、JBCクラシックという地方競馬を代表する競走を勝ったヴァーミリアンを推す声もあったが、南部杯、かしわ記念でサクセスブロッケンやカネヒキリに完勝したエスポワールシチーの圧倒的なレースぶりは世代交代を決定づけたとの意見が大勢を占めた。


◆特別表彰馬
 アジュディミツオー

 アブクマポーロ(GI4勝、97・98年年度代表馬)、メイセイオペラ(GI2勝、99年年度代表馬)、トーホウエンペラー(GI2勝、01・02年年度代表馬)。20世紀から21世紀にかけて訪れた地方競馬名馬の時代、これを引き継ぐ存在だったアジュディミツオーは、3歳時(04年)、4歳時(05年)に東京大賞典、5歳時(06年)には川崎記念、かしわ記念、帝王賞とGI5勝をあげ、NARグランプリの年度代表馬にも4、5歳時の2回輝いた。そして単にGI優勝回数にとどまらず、同馬の存在を特別なものとしているのが、2005年のドバイワールドカップ出走である。地方競馬初の海外遠征、しかもダート競馬最高峰の競走への出走は、地方競馬の歴史を一歩前に進めたものであり、その後のコスモバルクの快挙に結び付けるものだったとも言える。2009年に競走生活を終えた同馬のその類まれな競走成績とパイオニアとしての足跡を讃え、特別表彰馬に選定された。


タガミホマレ

 2009年は、福山で最後まで行われていたアラブ系競走が終了した年として記録に残る年である。アラブは地方競馬はもちろん、我が国の競馬全体の歴史を支え、今日の発展への礎ともなった存在であり、その功績に対する称賛は言葉に尽くせないものがある。こうした思いから選定委員会では、2009年というこの年に1頭を選定し、すべてのアラブへの感謝を込めて特別表彰をすべきとの声があがった。
 枚挙に暇がないアラブの名馬たちから、その競走成績、繁殖成績、地方競馬への貢献を含めて1頭を選ぶことは非常に困難を極めたが、タガミホマレは産駒であるタイムライン(コスモノーブル、ローゼンホーマらの父)やシナノリンボー(トチノミネフジ、レオグリングリンらの父)への評価も含めて代表的な1頭とするに相応しいとの意見が大勢を占めた。ちなみに同馬は、最後のアラブ系競走となった福山のアラブ特別レジェンド賞の勝ち馬、その名もザラストアラビアンの曽祖父でもある。