ヤングジョッキーズシリーズ

いざ、決戦の舞台へ。
若さという輝きをその目で!

12.27(水) 大井競馬場
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大井競馬場は、1周1,600m(外回り)のダートコースで、内回り・外回りの2コースがある。最後の直線距離は、地方競馬専用場では最も長い386m。
 第1戦のダート1,800mは、ダートグレード競走「レディスプレリュード(JpnII)」と同じ距離である。ゴール手前200mからスタート後、4つのコーナーを通過し、ゴールまでの直線が長い外回りコースで、白熱のゴール前を演出する大井競馬場の花形コースである。
 第2戦のダート1,200mは、ダートグレード競走「東京盃(JpnII)」と同じ距離である。
スタート後、長い直線を経てコーナーを曲がると、ゴールまで長い直線が待ち受ける外回りコースで、スピード満点のコースである。
12.28(木) 中山競馬場
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 中山競馬場の芝コースは、内回りと外回りの2コースがあり、コース全体の高低差は5.3mと極めて大きく、最後の直線上り坂には高低差2.2mの急坂が待ち構えている。
 第1戦が行われる芝2,000mは、「皐月賞(GⅠ)と同じ内回りコースを使用し、1周距離が1,667.1m(Aコース使用時)で直線も310mとJRAの競馬場としては比較的短い。
 また、第2戦が行われるダート(1,800m)コースは、1周距離が1,493m、直線の長さが308m、コース全体の高低差は4.5mのコースとなっている。

「2017ヤングジョッキーズシリーズ」スペシャルインタビュー

的場文男騎手(大井)

競馬界を代表する中央・地方のトップジョッキーに、「2017ヤングジョッキーズシリーズ」に参戦している若手ジョッキーへのエールをはじめ、ご自身の若手時代のエピソードなどを語っていただきます。
1回目の今回は「大井の帝王」的場文男騎手のインタビュー記事を紹介いたします。
(インタビュアー:秋田奈津子)
※インタビューは、2017年10月21日のものです。

「大井の帝王」が若手時代を振り返る
秋田
本日は、5月に通算7000勝を飾り、いよいよ佐々木竹見さんが持つ…
的場騎手
あと88勝!
秋田
そうなんです(笑)通算勝利数7151勝までいよいよ100勝を切りました。
大記録目前ですがプレッシャーはありませんか?
的場騎手
プレッシャーはないですね。一つ一つ目の前のレースに集中するだけです。
秋田
そんな佐々木竹見さんとお話する機会はあるのですか?
的場騎手
最近は、お会いする機会が増えましたね。
秋田
そのあたりのお話はまたゆっくりとお聞きしたいところですが、本日は『2017ヤングジョッキーズシリーズ』がテーマということで、まずは、的場騎手の若手時代についてお聞きします。ジョッキーを目指すキッカケから教えていただけますか?
的場騎手
父親が佐賀競馬の馬主、兄が騎手をしていたこともあって、よく佐賀競馬場に行ってました。
小学生の頃に騎手を目指すようになり、田んぼで乗ったりしたこともあるんです。
当初、佐賀競馬の騎手を目指していたけど、兄から「どうせ乗るなら東京へ」と勧められ、馬主の広松さんと父親と3人で所属予定先だった浦和競馬場へ向かいました。
その帰り道に寄った大井競馬場で、小暮先生にスカウトされたんです。
まさに運命の出会いですね。
秋田
なるほど。学業と競馬の勉強の両立は大変だったのでは?
的場騎手
競馬の世界はとにかく朝が早い!
その後、学校へ行くもんだから、1時間目から居眠りをしてよく笑われてましたよ。
秋田
競馬の世界といえば、所属先となった小暮先生(当時の調教師)はどんな方でしたか?
的場騎手
馬乗りの指導はピカイチでした!厳しいけれど、とてもお世話になりました。
秋田
当時の同期には、森下博騎手や山崎尋美騎手などがいらっしゃいますが、トレーニング方法などで相談したりすることは?
的場騎手
仲良くしてましたが、競馬について相談したりすることはなかったですね。
それにお互い忙しかったし、お金もなかったので遊べなかったです。彼女も作れなくて…。
最近は、競馬場で会うほか、たまに同期会で会ったり、7000勝の祝賀会にも出席してくれました。
秋田
やはり新人時代は大変なんですね。
的場騎手がデビューした頃と比べ“今の新人若手騎手はいいな~“と思うことはありますか?
的場騎手
攻め馬が少なくていいな~と思う反面、たくさんの馬に乗れることは非常に良いことだと思うんです。色んな馬に乗ることで経験が積めるわけですから。
だから今でもオープン馬などは可能な限り乗ってますよ。
大記録への第一歩、忘れられない初勝利
秋田
的場騎手のようなトップジョッキーでも努力があってこその“今”があるわけですね。
その後、デビュー戦、そして待望の初勝利を迎えるわけですが、覚えていますか?
的場騎手
よく覚えてます。どちらもホシミヤマという馬でした。
特にデビュー戦はいきなり騎乗停止を食らってしまいましたから(笑)
緊張もあって斜行してしまい他の馬に迷惑をかけてしまったんです。
秋田
初勝利は?
的場騎手
それは嬉しかったですね!
秋田
その後、勝利数を伸ばし、アラブ王冠賞でヨシノライデンに騎乗して重賞初制覇。
重賞という大舞台ではプレッシャーなどありませんでしたか?
的場騎手
重賞初制覇は嬉しかったですが、特に全日本アラブ大賞典は嬉しかったですね。
各地から馬が集まってのレースでしたから。
プレッシャーはありましたが、あまり考え過ぎないように騎乗しました。
今では平常心で乗れています。
秋田
現在の新人・若手騎手へプレッシャー克服法を助言するなら?
的場騎手
程よい緊張感を持ち、深呼吸してリラックスすることかな。
秋田
その後の大舞台での活躍は周知の通りですが、驚くのは1985年から現在に至るまで、33年連続で年間100勝以上。さらに2001年から4年連続で300勝以上という、とてつもない成績を残されています。
的場騎手
関係者をはじめ、周りの方へ感謝ですね。
秋田
リーディング争いといえば、やはり石崎隆之騎手の存在は大きかったのでは?
的場騎手
そうそう、石崎さんとの戦いね。今思えばライバル心はお互いあったと思うし。
ある年は、ともに360勝くらい勝ってて、どっちが南関のトップを獲るか、その年の12月31日まで続いたこともあった。
最後は大井開催でポンポンポンと3勝できてリーディングを獲れたんですけどね。
地方競馬の名手が中央競馬へ参戦
秋田
ここからは中央競馬の話題にまいります。
的場騎手は大井競馬(南関東)を中心に騎乗されてますが、1990年9月16日、「ヤングジョッキーズシリーズ」のファイナルラウンドの舞台でもある中山競馬(芝1200m)でモガミリーフに騎乗し中央競馬初勝利を飾りました。
中央競馬の印象はいかがでしたか?
的場騎手
当時の印象は、コースや施設、競走馬などすべてがすごかった。
レースで言えば、オールカマーで3回2着してるんだけど、その中でもツインターボには驚いた。あんなに行かれたらね(笑)
秋田
その中央競馬では現在、大井に所属していた内田騎手や戸崎騎手が活躍しています。
的場騎手
二人ともしっかり成績を残してすごいよね。特に内田騎手は教え子だからいつも見てるよ。
秋田
2013年9月1日に韓国へ遠征しトーセンアーチャーに騎乗、海外初勝利(5番人気)を飾りました。初コースでの騎乗で注意すべき点は?
的場騎手
韓国のソウル競馬場だったんだけど、雰囲気は素晴らしかった。直線も長くてね。 初めての競馬場ではチェックを怠らないこと!
実際にコースを歩いたり、馬が走った後の蹄跡を見ると砂の深さがわかったり。
そして、他の人が騎乗するレースも見て、位置取りなどを参考にすることもできるかな。
今後の競馬界を担う若手ジョッキーへ
秋田
全国の競馬ファンが的場騎手の大記録と今後の騎乗を楽しみにしているので、機会があれば各地の競馬に参戦していただきたいと思います。
続いては、今後の競馬界を担う若手騎手へのアドバイスとして、的場騎手にお聞きします。
騎手を長く続ける秘訣を教えてください。
的場騎手
自分の考え方、目標をしっかり持つことです。考え方次第ってところかな。
秋田
新人・若手騎手だからこそ、“今できること”、やった方が良いことありますか?
的場騎手
トレーニング!
筋力づくりは重要ですよ。攻め馬が終わってから、砂の上を走ったり、ウォーキングしてました。コンクリート上だと筋肉痛が残るのでハードでも砂上が良いと思います。
だから今も体力の衰えは感じません(笑)
秋田
最後となりますが、『2017ヤングジョッキーズシリーズ』に参戦中の若手騎手へ、エールをお願いします。
的場騎手
ヤングジョッキーズシリーズは各地を転戦するわけでしょ?
すごく良い経験になると思うし、勉強になると思う。
苦労は買ってでも…なんていうけどその通り。
良い結果を目指し1段1段ステップアップし、これからの競馬界を盛り上げてほしいです!

「2017ヤングジョッキーズシリーズ」スペシャルインタビュー

戸崎圭太騎手(美浦)

競馬界を代表する中央・地方のトップジョッキーに、「2017ヤングジョッキーズシリーズ」に参戦し ている若手ジョッキーへのエールをはじめ、ご自身の若手時代のエピソードなどを語っていただきます。
2回目の今回は、リーディングジョッキー3連覇中の戸崎圭太騎手のインタビューをお届けいたします。
(インタビュアー:秋田奈津子)
※インタビューは、2017年10月30日のものです。

3年連続リーディングジョッキーが語る4年目の挑戦
秋田
本日は、3年連続でJRA最多勝利騎手に輝いている戸崎騎手に色々とお話を伺ってまいりますが、まずは、ご自身の話題からお聞きします。10月15日に早くもJRA通算800勝を達成されましたが、この数字はいかがですか?
戸崎騎手
区切りの数字ですし、素直に嬉しいです。800勝という実感はあまりないのですが、”もっと早く達成できていてもよかったかな”という印象もあります。
秋田
2013年3月にJRAの所属騎手になり、毎年100勝以上を挙げています。そして、今年、4年連続のJRA最多勝利騎手のタイトルが懸かっていますが。
戸崎騎手
そこは目指しています!この間までトップ(勝利数1位)にいたのですが、「やはり甘くはないな」と。
秋田
ルメール騎手が一気に勝ち鞍を増やしたかと思えば、デムーロ騎手も猛追してきていますよね。やはり意識されていますか?
戸崎騎手
当然、意識していますね。ただ、実力から言ったらクリストフやミルコの方が上だと思いますけど、僕は3年連続でリーディングを獲ってきました。実力だけでなくサポートしてくれる周りの方の大きな力も合わせた総合力で勝負したいと思っています。
秋田
なるほど。やはり勝利数は気になりますよね。
戸崎騎手
何勝したいというのはありませんが、去年より一つでも多く勝ちたいと思っています。その上でリーディングを獲りたいと強く思っています。
秋田
ちなみに、まだレースは残っていますが、今年を振り返ってみてご自身の評価は?
戸崎騎手
前半は1番人気の馬に騎乗して25連敗してしまうなど、悔しい記録を残してしまい歯がゆい日々を送っていました。別に体調が悪いとかそういった訳ではありませんが、2着が多く勝ちきるまでには至りませんでした。自分がしっかり乗れていなかったんだなと思います。
秋田
調子を取り戻したのはいつ頃だったのですか?
戸崎騎手
夏前あたりから成績も上がってきましたが、自分が良くなったというより、”馬がよく走ってくれているな”と思いましたね。ただ、リーディングは獲りたいですが、やるべきことは一つで目の前のレースを大事に乗りたいと思います。
地方競馬&中央競馬を知る戸崎騎手が、競馬学校時代を振り返る
秋田
まだ2ヶ月ほど残っていますので、引き続き、リーディング争いに注目させていただきます。さて、本日は、今春より各地でトライアル戦が行われている『2017ヤングジョッキーズシリーズ』についてのインタビューということで、まずは、戸崎騎手の若手時代についてお聞きします。そもそもジョッキーを目指すキッカケは?
戸崎騎手
もともと競馬を知らなくて、中学3年生の頃、近所の方に「騎手という職業」がある事を聞いて、迷いもなく“やってみよう”と思いましたね。
秋田
迷いはなかったんですか(笑)
なぜ地方競馬の騎手を選んだのでしょう?
戸崎騎手
中央競馬と地方競馬とか知らなくて。出身が栃木県で那須に競馬学校があったことから入学しました。
秋田
多くの騎手が“競馬学校時代は厳しかった”という声をよく聞きますが、戸崎騎手はいかがでしたか?
戸崎騎手
厳しかったです。学校の行事以外で外出したのは2年で1回しかなかったと思います。なぜかというと、先輩が悪さしたり、時には自分が悪さしてその罰で外出禁止になったり。
秋田
でも十代だと遊びたい年頃ですよね。何を楽しみにしていたんですか?
戸崎騎手
楽しみは週一回の”お菓子”でしたね(笑)
ただ一回だけ、怒られたことがあります。ファンとの交流イベントがあってお菓子を頂いたんです。それを部屋に隠し持っていたのがバレてしまって。
秋田
大変だったんですね。
競馬の話題に戻りますが、戸崎騎手の同期と言えば船橋競馬の森泰斗騎手や佐賀競馬の倉富隆一郎騎手などいらっしゃいますが、今でも交流はありますか?
戸崎騎手
あまりないですけど、ついこの間、同期会があって思い出話で盛り上がりました。
秋田
そんな同期の森泰斗騎手がリーディングジョッキーとして大変活躍されてますが、どんな思いで見ていますか?
戸崎騎手
やっぱり嬉しいですね。同期が揃ってリーディングを獲れるっていうのは。
秋田
良き友であり、良きライバルでもある同期に対し、“ここだけは負けない“というのは?
戸崎騎手
一生懸命にやること!レースだけでなく練習など全てにおいてです。
技術においては自分より上手い人はいますから、気持ちで負けないよう心がけています。
秋田
昔と今では競馬の環境も随分変わったと思います。戸崎騎手から見て、「今の若手ジョッキーは良いな」と思うところはありますか?
戸崎騎手
競馬学校もそうですけど、規則が和らいだことですかね。ただ、昔は厳しかった分、根性や気持ちの強さを身に付けることができたと思います。
中央競馬GI初制覇の快挙!大井競馬で培った技術と忘れぬ周囲への感謝
秋田
ここからはレースについての話題です。
1998年、大井競馬の香取和孝厩舎に所属しデビューを迎えるわけですが、4月12日、大井競馬3Rでミヤサンヤシマに騎乗し、初騎乗初勝利という華々しいデビュー戦でした。
戸崎騎手
とにかく緊張しましたね。初騎乗で緊張していたのですが、さらに返し馬で落鉄してしまったんです。レースには間に合いましたが、初物づくしで何が何だか分からないままスタートしました。とにかく勝てて良かったです。
秋田
その後、2005年9月14日には、トゥインクルレディー賞で重賞初勝利(コウエイソフィア騎乗)を飾りましたが、当時の思い出は?
戸崎騎手
重賞制覇まで7年でしたから、”まだ勝ってなかったのか”と思うほどでした。
秋田
2006年から急激に勝利数が伸びましたが、何かキッカケがあったのですか?
戸崎騎手
それまで大井しか騎乗していなかったのですが、他の競馬場でも騎乗するようになって、依頼が増えた結果だと思います。
秋田
2007年にはアンパサンドで東京ダービーを初制覇しましたが、やはり“ダービー”というのは別格ですか?
戸崎騎手
緊張感が他のレースとは全く違いましたし、勝つ前は余計に気持ちが高ぶっていました。アンパサンドで勝った翌年以降は、すごく冷静に挑めるようになりました。
秋田
その東京ダービーを的場騎手がまだ…。
戸崎騎手
ぜひ勝ってほしいですし、勝つまで乗っていてほしいです!多くの人が感動すると思います。
秋田
2008年は、フリオーソに騎乗しダイオライト記念を勝利、ダートグレード競走初制覇。同年6月25日には、同じくフリオーソとのコンビで帝王賞を制し、統一GI初勝利を飾りました。この年は東京ダービーを連覇するなど大活躍でした。
戸崎騎手
重賞勝ちは素直に嬉しいですけど、それ以上に大きな自信に繋がりました。特にフリオーソでは川島正行先生のお陰でビッグタイトルを何度も獲得することができました。
秋田
この年から、リーディングジョッキーとして活躍されていた内田博幸騎手がJRAへ移籍しました。これまで間近で見てきていかがでしたか?
戸崎騎手
本当に素晴らしかったです。何より目標にしていましたし、今思えば真似して乗っていたように思います。
秋田
現在は、同じJRAの所属騎手ですが、内田博幸騎手とは色々とお話されるんですか?
戸崎騎手
僕の中では凄い存在の先輩なので、そんな気軽に話せないですよ。
秋田
ここからは中央競馬についてお聞きします。
2005年に初めて中央競馬で騎乗し、2009年以降はGIレースにも騎乗されました。そして、2011年にはリアルインパクトに騎乗し、初の中央GI勝利を飾りました。
戸崎騎手
気持ち良かったですね!GIレースに騎乗できるだけでも幸せなのに勝てるとは。ただ、当時は地方競馬の騎手でしたので、その日の交流戦の騎乗依頼をいただけたからこそ、GIでも騎乗できたわけですから、関係者への感謝の気持ちの方が強かったです。
中央競馬へ移籍、新たなステージへ挑戦!
秋田
中央移籍後には早くも「ユニコーンS」でベストウォーリアに騎乗し待望の重賞初勝利を飾り、その後は阪神ジュベナイルフィリーズや有馬記念などのGIも勝利しました。
戸崎騎手
GIレースは全てにおいて別格ですが、平場も重賞も関係なく目の前のレースを確実に勝っていきたいです。
秋田
残すところ今年も2ヶ月ほどとなりました。多くの競馬ファンが戸崎騎手の騎乗を期待していますので、ケガなく4年連続のリーディングを目指していただきたいと思います。続いては、今後の競馬界を担う若手騎手へのアドバイスとして、戸崎騎手にお聞きします。騎手を長く続けるにあたり、日ごろから気を付けていることはありますか。
戸崎騎手
この年齢になって食事に気を付けるようにしていますが、的場さんを見ると、やっぱり「気持ち」が大事だと思いますね。”勝ちたい””乗りたい”にこだわってほしいです。
シリーズ参戦中の若手騎手へ
秋田
若手騎手だからこそ、”今”できること、やった方が良いことはありますか?
戸崎騎手
海外は刺激になるかと思います。今年初めて行きましたが僕自身、良い経験になりました。技術面でも精神面でも自分の引き出しが増えると思うんです。
秋田
最後となりますが、『2017ヤングジョッキーズシリーズ』に参戦中の若手騎手へ、エールをお願いします。
戸崎騎手
このシリーズは僕たちの時代になかったことなので、全国の競馬場で騎乗できることは非常に良い経験になると思います。この経験を無駄にせず、色々と学んでほしいです。
秋田
本日は有難うございました!
戸崎騎手
有難うございました!

「2017ヤングジョッキーズシリーズ」スペシャルインタビュー

武豊騎手(栗東)

競馬界を代表する中央・地方のトップジョッキーに、「2017ヤングジョッキーズシリーズ」に参戦している若手ジョッキーへのエールをはじめ、ご自身の若手時代のエピソードなどを語っていただきます。
最終回となる今回は、ご存知、武豊騎手のインタビューをお届けいたします。
(インタビュアー:矢作麗)
※インタビューは、2017年10月25日のものです。

競馬界のサラブレッド、武豊騎手が若手時代を振り返る
矢作
本日は競馬界を牽引する武豊騎手に、『2017ヤングジョッキーズシリーズ』についてお聞きします。武騎手はこのヤングジョッキーズシリーズが行われていることはご存知でしたか?
武騎手
もちろん知ってます。ボクも出られるのかな、と思ってました(笑)。
矢作
いやいや(笑)
『2017ヤングジョッキーズシリーズ』は、今春より各地でトライアル戦が行われており、地方と中央の若手騎手がポイントで競い合うシリーズで、暮れの大井競馬と中山競馬でファイナルラウンドが行われます。
まずは、武騎手の新人・若手時代について、お話いただいきたいと思いますが、デビュー戦は1987年3月1日・阪神競馬でアグネスディクターに騎乗されました。初騎乗は今でも覚えていますか?
武騎手
よく覚えてますよ。子供の頃からジョッキーに憧れていましたからね。念願だったジョッキーになれたな、という思いが今も強く残っています。
矢作
デビュー戦にあたり、武騎手ご自身はどんな心境で騎乗されたのですか?
武騎手
すごく緊張するのかな、と思っていましたが、意外とそんなことはなかったです。
矢作
武田作十郎先生(元調教師)からはどんなアドバイスがありましたか?
武騎手
武田先生からは、”競馬は危ないから気を付けて、他の馬に迷惑をかけないように”と言われたことを覚えてます。
優しい先生で、あまり細かいことを指導されるタイプではありませんでした。
同厩舎には兄弟子の河内さん(現調教師)がいて、先生からは「見習いなさい」といったようなお言葉をいただきました。
矢作
その兄弟子の河内さんからは何かアドバイスはあったのですか?
武騎手
あまり言葉が多い方ではないので、「見て学べ」といった感じでしたが、聞けば何でも教えてくださいました。
デビュー年に重賞3勝!新人離れした競馬センス
矢作
翌週3月7日の阪神3R、芝2200m戦でダイナビショップに騎乗し、デビューから5戦目で嬉しい初勝利となりました。
武騎手
はっきり覚えてますよ!
雪が降った日で、まだ勝ったことがないのに、なぜか途中で「勝つんじゃないかな」と思ったことを覚えてます。
矢作
冷静だったんですね。
武騎手
不思議と”無我夢中で”ということはありませんでした。
矢作
この年、新人騎手としては驚異の69勝を挙げて最多勝利新人騎手を獲得されましたが、これだけの勝利数を挙げられた要因は何でしょうか?
武騎手
数多く乗せていただきましたから。前半はそうでもなかったのですが、夏あたりから少しずつ勝利数を伸ばすことができて、気が付いたら69勝という印象ですね。
矢作
夏以降から勝利数が伸びた要因は何かあったのですか?
武騎手
重賞レースの京都大賞典を勝たせてもらったり、注目度の高い菊花賞やジャパンカップといった大舞台で騎乗できた経験は大きかったと思います。
矢作
トップジョッキーに混じってレースできたことは収穫でしたか?
武騎手
やっぱり勉強になることが多いですね。
矢作
デビュー年に重賞レースを3勝されましたが、注目度の高いレースで騎乗するプレッシャーはありませんか?
武騎手
競馬ファンの注目度も高いですし、オーナーさんやスタッフの期待が大きいので、感じることはあります。ただ、そういったレースに出られるという事が嬉しいです。
矢作
そして、翌年には菊花賞でスーパークリークに騎乗し、GI初勝利を挙げ史上最年少でのクラシック制覇を遂げました。当時の思い出は?
武騎手
当時、ギリギリまで菊花賞に出走できるか分からない状況だったんです。
3~4日前に出走できることが決まったのですが、その前からチャンスがある馬だと思っていたのでワクワクしました。
矢作
GI初勝利で得たものは?
武騎手
勝ってもおかしくない馬という思いがあったせいか、拍子抜けというか、「僕が菊花賞を勝っちゃった」って感じですね(笑)
子供の頃から夢見ていたGIレースを勝てたのが、どこか不思議な感じがしました。ただ、このレースで自信が持てたのは確かですね。
矢作
だいぶ研究されたのですか?
武騎手
GIレースに限らずどんなレースでも勉強しますよ、今でも。
レース映像を観たり、出走メンバーをチェックしたり、当日の馬場を確認したりと。スタートしてからも考えます。
矢作
スタートしてから、「あれ、予想と違ったな」なんてことも?
武騎手
大体違います(笑)でも、そこから切り替えて騎乗することも楽しいですよ。
矢作
数字だけを見るとスランプもなく、順風満帆の印象しかありませんが、騎乗や成績で悩むようなことはあったのですか?
武騎手
深刻に悩むようなことはありませんが、「もっとうまくなりたい」という思いは今でもあります。若手時代は、まだまだ騎乗技術がたりないな、という思いがありましたね。
矢作
トレーニング方法で悩むようなことはありませんでしたか?
武騎手
当時はランニングぐらいですね。でも、ハードな厩舎作業をやっていたので…というより、やらされていたので(笑)
競馬の至宝が語る、地方競馬の印象
矢作
その後のご活躍は周知の通りですが、武騎手といえば、各地の地方競馬でも精力的に騎乗されています。デビュー翌年1988年3月15日には、姫路競馬でグレートベンに騎乗し、地方競馬初勝利を飾りました。初めてのコースではどの辺りに注意して騎乗されてますか?
武騎手
当時のことはっきり覚えています。中央競馬とはサイズも違いますし、少し戸惑いましたが、順応するしかないですからね。ただ言えることは、競馬はどこであっても競馬なので。
矢作
現在の若手ジョッキーは、これから初めてのコースをたくさん経験することになると思います。そんな若手ジョッキーへアドバイスはありませんか?
武騎手
まずはレース前にしっかり準備しないといけないですし、各競馬場にはそれぞれに傾向やコースの特性があると思うので、そのあたりを掴むことが重要だと思います。
矢作
近年では、中央競馬と地方競馬の交流戦が盛んになり、人馬ともに行き交うようになりましたが、武騎手が新人のころは、あまり交流がなかったのではないかと思います。デビューした1987年の地方競馬といえば、的場文男騎手が通算1000勝を達成したり、石崎隆之騎手が年間256勝を記録するなど、諸先輩方が活躍されていました。武騎手は地方所属騎手や地方競馬にどのような印象を持たれていましたか?
武騎手
今ほど、交流がなかったのでちょっと居心地が悪かったような記憶が(笑)もしかしたら、中央と地方でお互いに対抗意識があったのかもしれませんね。
矢作
今回、このインタビューでは的場文男騎手にもご協力いただいているのですが、どんな印象をお持ちですか?
武騎手
最初はちょっと怖かったです(笑)しばらくお話することもなかったので会うと緊張したり。その後、何度かお話してみたら優しい方なんだなと思いました。
今60歳(今年9月で61歳)でしたっけ?すごいですよね、尊敬します!
若手騎手へ贈る、騎手の心得
矢作
続いては、今後の競馬界を担う若手騎手へのアドバイスとして、質問いたします。
武騎手がデビューした頃と比べ、取り巻く環境もだいぶ変わったかと思います。昔と違って「今のジョッキーはいいなぁ」と思うことはありますか?
武騎手
ボクがデビューした当時とは競馬そのものが全く違いますからね。周りからの注目度やスポーツ性、さらにジョッキーのイメージも違うので、そのあたりは恵まれているのかもしれないですね。
でも、今でも関係はありますが、以前より師弟関係が薄くなっている印象を受けます。
競馬の世界に限らず、人間関係が少しドライになっている傾向があるかなと。その関係性が薄くなることで若手騎手にとってはチャンスを掴むことが難しくなってしまうことがあるかもしれません。
矢作
武騎手は今年で現役30年目を迎えられました。
騎手を長く続ける秘訣、日頃から気を付けていることはありますか。
武騎手
それは的場さんに聞いてください(笑)
騎手という職業をどれだけ好きで居られるか、ではないですかね!
そのためだったら、いろいろ頑張ることもできます。そして、誇りを持つことが必要!
矢作
若手騎手だからこそ、”今できること“”今だからやった方が良いこと“はありますか?
武騎手
トレーニングなど沢山ありますけど、個人的には若い頃に英語を勉強しておけばよかったな、と思います。世界で競馬が行われている通りコミュニケーションの重要性を痛感しました。チャンスはいつ来るかわかりませんから。
矢作
最後となりますが、『2017ヤングジョッキーズシリーズ』に参戦中の若手騎手へ、エールをお願いします。
武騎手
若手騎手の中でもよく話題に挙がってます。チャンピオンを目指し騎手同士が競い合うことでレベルアップが図れますし、何より若手騎手の励みになっているので良い企画だなと思います!
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