東京ダービー
 

2008年6月4日(水) 大井競馬場 2,000m

 

後方に控え直線一気、無欲の騎乗で鞍上は2連覇

 
 的場文男騎手が悲願の東京ダービー制覇なるか。それとも、羽田盃で2着に敗れたディラクエの雪辱なるか。この2点に大きな注目が集まった東京ダービーだが、結果は意外なものとなった。
 積極的な競馬を見せたのが、羽田盃を制したニックバニヤンの的場騎手。逃げたディアヤマトに並びかけようかという勢いで2番手を追走した。一方、今回も断然人気となったディラクエは後方から4〜5番手に控え、3コーナー手前から徐々に位置どりを上げていった。
 4コーナー。ニックバニヤンの的場騎手の手ごたえが一杯になり、代わって先頭に立ったのが、その直後を追走していたモエレラッキーだった。ディラクエは直線外から伸び、一旦はモエレラッキーの直後まで迫ったが、ゴール前では逆に突き放された。
 そこに大外から明らかに他馬と違う脚いろで伸びてくる馬が1頭、ドリームスカイだった。粘り込みを図るモエレラッキーを一気にとらえると、クビ差出たところがゴールだった。
 出遅れてスタート直後は最後方に置かれたドリームスカイは、ディラクエと同じような位置からの追走。違っていたのは仕掛けを遅らせたこと。3コーナーあたりではディラクエを3〜4馬身前に見る位置からじわじわと進出。そして直線、長くいい脚を使って追い込んできた。
 「スタートで遅れてうしろからになったけど、それがいい結果に結びついた」と戸崎圭太騎手。人気馬、期待馬が早めの競馬をするなか、10番人気の伏兵ゆえに、じっくり構えての無欲の勝利。戸崎騎手は、昨年のアンパサンドに続いて東京ダービー連覇の快挙となった。
 そして勝利トレーナーとなった内田勝義調教師は、断然人気で4着に敗れたディラクエの調教師でもある。
 「半分うれしいのと、もう半分は、人気の馬が期待にこたえられなかったので申し訳ないなという気持ちもあります」
 その厳しい表情に、“ダービー”というタイトルの重みをあらためて痛感させられた。

取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康

 
戸崎圭太騎手
  人気馬を見るような位置からついていったら、直線はいい脚で伸びてくれました。素直な馬で、揉まれても強いので、これからまだまだ成長すると思います。  
 
内田勝義調教師
  今までで一番のデキで、絶好調でレースに臨みました。血統的には距離がちょっと長いかと思っていたのですが、しぶとい馬で、最後はよく伸びてくれました。