レース名 実施日 競馬場 距離 地区
スパーキングレディーカップ
 JpnV
7/6(水) 川崎 1,600m 南関東
読売レディス杯 7/19(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・
近畿・中四国
ノースクイーンカップ 7/28(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 8/4(木) 園田 1,700m 北陸・東海・
近畿・中四国
秋桜賞 8/25(木) 名古屋 1,800m 北陸・東海・
近畿・中四国
ビューチフル・ドリーマーカップ 8/29(月) 盛岡 2,000m 東北
レディスプレリュード 9/29(木) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME−JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
NARサイト 特集ページはこちら!

断然人気馬を徹底マーク
並ぶ間もなくかわして連覇

 女帝クラキンコが即位している今年のホッカイドウ競馬。昨年のクラシック戦線だけでなく、古馬となっても牡馬を一蹴し続けるクラキンコにとって、グランダム・ジャパン古馬シーズンの第3戦として行われたノースクイーンカップは、その力を証明するに最もふさわしいレースになると思われた。
 だが、スタート前に立ちこめた濃霧が、スタンドからの視界を遮ったように、当然のように思われていたクラキンコの勝利もおぼろげにしていく。
 ゲート入りした14頭は、昨年の覇者ショウリダバンザイだけでなく、アンペア、オノユウというダートグレードウイナーなど、いくらクラキンコとは言えども、一筋縄ではいかないメンバーが揃っていたのも事実。また、前でレースをしたい馬が揃い、激しい先行争いも予想されたが、ゲートが開くと最内枠の利を生かしたプリティゴールドだけでなく、8枠に入ったミスチフキッツ、フレアリングローズも果敢に先頭をうかがっていく。
 カクテル光線にもはっきりと映し出された濃霧は、向正面ではすっぽりと馬群を包み込む。大型ビジョンでも流れを把握できない中、実況の声を頼りにしながらファンは想像を膨らませる。レース序盤は中団に控え、激しい先行争いを見ながらレースを進めていたクラキンコは、徐々にポジションを上げていく。だが、そのクラキンコのすぐ後ろで、ケイリンで言うところの「マーク屋」のようにピッタリと張り付いていたのがショウリダバンザイだった。
 直線を向くと、クラキンコは先行集団を射程圏内にとらえる位置で進路を外へととる。楽にかわせるかと思いきや、この日の門別競馬場のインコースにはグリーンベルトとも呼びたくなるほどに、先行馬が伸びるコースが残されており、鞍上の五十嵐冬樹騎手に導かれたプリティゴールドは、後続を尻目に一歩、また一歩とゴールへと近づいていく。
 その時、歓声が起こった。自らが女帝であることを誇示するかのように、クラキンコが弾けるような末脚でプリティゴールドをかわしにかかったのだ。だが、その後間もなくして、歓声の中にどよめきが混じった。マーク屋に徹していたショウリダバンザイが、クラキンコを上回る末脚で並ぶ間もなく先頭に躍り出ていたからだ。ゴール板を先頭で駆け抜けたのと同時に、鞍上の服部茂史騎手が高々と左手を突き上げた。
 検量室前へと帰ってきた服部騎手は、林和弘調教師と顔を見合わせるなり、「レースが流れてくれて良かった」と満面の笑顔で話しかけた。速い流れでも単勝1倍台の人気を背負った以上、先に動かざるを得なかったクラキンコよりも、ショウリダバンザイの方がレースがしやすかったのは否めない。それでも現在のホッカイドウ競馬最強馬に土を付けたのは事実であり、今後は牡馬とも互角以上のレースが期待できそうだ。
服部茂史騎手
相手はクラキンコしかいないと思いながらレースを進めていました。普段から馬に併せると抜こうとしないので、最後の直線では離れた位置から外に馬を出すと、思ったとおりにいい脚を使ってくれました。昨年もこの馬で勝たせてもらったように、ノースクイーンカップはゲンのいいレース。ショウリダバンザイ自身、まだ先のある馬ですし、これからも応援してください。
林和弘調教師
今日のレースは外が伸びていた傾向にあったので、服部騎手には後方に待機しながら、前の馬が見える位置でレースをしてくれるように指示を伝えました。前走よりも馬体を絞ったことも、最後のキレにつながったのかなという気がしています。今日、この状態で勝てなかったら、もうクラキンコに先着するのは無理なのではないかと思っていただけに、結果を残せたことは嬉しいですね。

1周目 激しい先行争い
最後の直線 横に大きく広がっての攻防
 一方、今年初の敗戦となったクラキンコではあるが、単勝人気だけでなく、パドックに掲げられた横断幕の多さからしても、ホッカイドウ競馬の女帝というだけでなく、主役となっているのも間違いない。むしろ今回のレースをきっかけに、復活を期するファンの人気も集めそうな気がしてくる。
 この後、ショウリダバンザイはグランダム・ジャパン古馬シーズンの第6戦となるビューチフル・ドリーマーカップへの遠征を予定。女帝を打ち破ったその強さを、岩手のファンの前でも証明してもらおう。
取材・文:村本浩平
写真:中地広大(いちかんぽ)