レースハイライト タイトル


2012年12月13日(木) 園田競馬場
ファイティングジョッキー賞
エキサイティングジョッキー賞
チャンピオンジョッキー賞

第1戦 ファイティングジョッキー賞

第2戦 エキサイティングジョッキー賞

第3戦 チャンピオンジョッキー賞

名手たちがギリギリのせめぎあい
最終戦を制した田中騎手が初栄冠

 21回目を迎えたゴールデンジョッキーカップ。前回は15名の騎手が3レースのうち2レースずつ戦うという内容で行われたが、今回は以前の12名で3レースという方式に戻った。
武騎手と吉田アナのトークイベントにも注目が集まった。

 とはいえ、例年とは違う点も。11月16日に発表された出場メンバーには、いつもなら必ずどちらかが出場していた武豊騎手と小牧太騎手の名前が、両方ともなかった(小牧騎手は怪我のため休養中ではあるが)。しかしこの日、武豊騎手はグリーンチャンネルの番組収録のために園田競馬場にいるということで、第4レース後にウイナーズサークルでトークイベントが実現。吉田勝彦アナウンサーとの軽妙なやりとりには、幾重もの人垣から笑い声があがっていた。
 続く第5レース後には、騎手紹介イベントが復活。吉田アナウンサーの名調子とともに、12名の騎手にはたくさんの拍手が送られ、レースへの期待が盛り上がっていった。
 そしていよいよ名手たちの競演。第1戦のファイティングジョッキー賞は、このシリーズで初めて使用される1230メートル戦で行われた。しかしいきなり、単勝1.2倍の断然人気に推された戸崎圭太騎手(大井)のクーデターが出遅れた。「6枠や7枠はスタートのときに滑りやすいから気をつけてと言われていたんですが」と戸崎騎手が振り返ったとおり、後ろ脚が大きく沈む形でダッシュがつかず、後方3番手という位置取りに。それでも落ち着いた騎乗で順位を上げ、4コーナーでは確勝ムード。2着には先手を取った村上忍騎手(岩手)のリーチフェアネスが逃げ残り、しぶとく差してきた東川公則騎手(笠松)のカハラビスティーが3着に食い込んだ。
 レースを終えた12名が検量室に戻ってくると、大半の騎手が笑顔。高いレベルでレースができたという満足感が伝わってくる風景に思えた。初出場となる戸部尚実騎手(名古屋)も「普段とは違う感覚がありますね。道中もみなさん、レース運びが厳しいですし、瞬間瞬間で的確に反応していかないと」と言いながら表情は笑顔。ゴールデンジョッキーカップは、名手たちが大きな刺激を受けられる舞台なのだろう。
 第2戦のエキサイティングジョッキー賞は1400メートル戦。ほぼ横一線のスタートから1コーナー手前では縦長の展開になり、断然人気となった岩田康誠騎手(JRA)のコウエイリョウマは後方2番手からレースを進めた。しかしその状況にファンがハラハラする暇もなく、2コーナーを回り終えたあたりから進出を開始すると、3コーナーで先頭に立って押し切り勝ち。好位から流れに乗った田中学騎手(兵庫)のスリーネイチャーが2着、戸部騎手のハクサンドリームが3着に入線した。
 「やっぱりみんな様子を見ながら乗っているので、ペースが平均か、少し遅いくらいの感じになりますね」と田中騎手。ポイント制のレースは、その流れに乗って常にひとつでも着順を上げておくことが、優勝につながる大きな要素であるといえる。
 今回もその通りで、初戦を制した戸崎騎手は第2戦が9着、2戦目を制した岩田騎手も初戦が11着だったことで、この時点で大半の騎手に優勝のチャンスがあるという状況に。すべての行方は、1870メートルで行われるチャンピオンジョッキー賞に託されることになった。
 そのゲートが開いた瞬間、暫定1位の戸崎騎手が騎乗するコスモノーハームが大きく出遅れ。すぐさま気合をつけて追い上げたが、そこで脚を使ってしまったのは明らかだった。対照的に暫定2位の岩田騎手と暫定3位の田中騎手は先行策。そのほかの騎手もおそらく一発を狙っていたのだろうが、その思いを尻目に田中騎手のシルクペガサスが圧勝して、総合優勝が確定となった。続く2着には山口勲騎手(佐賀)のモータウンサウンドが入ったが、そのあとが3頭横一線。写真判定は長く続き、やがて3頭が3着同着であるという放送が聞こえてきた。最終戦はまさに、ギリギリでのせめぎあいが名手たちの激しい戦いを象徴するかのような一戦であった。
 しかしながらゴールデンジョッキーカップは、優勝したいという思いがピリピリと伝わるスーパージョッキーズトライアルとは違って、出場騎手すべてが楽しそうに騎乗している。赤岡修次騎手(高知)は「みんな技術があるから安心して乗れますね。でもこのメンバーだから、いい成績を残すのは難しいですよ」と感想を語り、村上騎手は「楽しかったです。また呼んでもらえるように頑張ります」と締めくくった。数多くの勝ち星を挙げている騎手だけが持っている呼吸のなかでの勝負。この日の入場人員は2,997名でスタンドの景色が少しさみしく感じられたが、次回以降はもっと多くの競馬ファンにハイレベルな騎手同士が演出する名勝負を堪能してもらいたいものだ。

総合優勝
田中学騎手
(兵庫)
最終戦の前に記者さんが得点状況を教えてくれたので、それなら僕がミスさえしないで乗ってくれば優勝できるなと思っていました。でもこの舞台はスキがないし、ちょっとの何かがその後に大きく影響しますからね。それだけに優勝できたのはとてもうれしく思います。今日は乗っていて本当に楽しかったです。
総合2位
岩田康誠騎手
(JRA)
園田競馬場は自分のルーツですし、ここでこのメンバーと乗れるのは楽しいですよ。今回も表彰台に上がれたことを誇りに思います。兵庫の騎手と一緒に乗れることも楽しみにしながら来ているんです。また次回もこの舞台でいいレースを見せたいと思います。
総合3位
山口勲騎手
(佐賀)
レース中は順位のことはまったく考えていませんでしたが、でも始まる前は、今回こそ優勝したいと思っていたんですよね。最終戦は少し出遅れてしまいましたが、ひとつでも上の着順をと思って追いました。そのおかげで3位に入れたということで、運もよかったんだと思います。