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クラスターカップ~レディスプレリュード(第79回)

クラスターカップJpnⅢ

 ダノンレジェンドは、今回もスタートはあまりよくありませんでした。それでも二の脚が速いので、すぐにサマリーズの2番手につけています。自分の形に持ち込めば、この馬は強い競馬をします。直線の坂を上ったあたりからのスピードが違っていて、あっという間に突き放して、2着に6馬身差をつけました。坂のあるコースは地力の差が出ますから、そのぶん、差が開いたと思います。
 ポアゾンブラックの阪野騎手はうまく乗りました。好スタートを切りましたが、前半は前で競り合った馬たちのうしろに控えたのがよかったと思います。控えて溜められたぶん、4コーナーあたりでも手ごたえが楽で、直線で伸びました。
 ラブバレットはさらに離されての3着でしたが、4コーナーあたりでも前で競り合って、よく粘ったと思います。

サマーチャンピオンJpnⅢ

 タガノトネールは競り合った馬たちを前に見て、好位からの追走でした。ずっと馬場のいいところを通ってきています。川田騎手は、佐賀ではよく勝ちますね。
 タガノジンガロは、10番枠からの発走もあって外目を回ってきました。さすがに地元の山口騎手だけあって、スムーズに運びました。この馬も控えたぶん、最後に伸びました。
 レーザーバレットは、直線で内を突いて、砂の重いところを通ったぶん、タガノジンガロに競り負けての3着でした。
 シゲルカガは大外枠からの逃げで、内のエスワンプリンスも行く構えを見せたことでペースが速く、厳しい流れになりました。向正面では後続に早めに来られて苦しくなってしまいました。

東京盃JpnⅡ

 ダノンレジェンドは相変わらずスタートはよくないです。それでも難なく2番手につけました。スタートしてから3コーナーまで距離がありますから、この馬のスピードなら楽に2番手まで行けたと思います。大井の1200メートルは、逃げ馬が外枠に入ると厳しいですが、好位に控えてレースをする馬ならそれほど不利にはなりません。この馬の場合、むしろ包まれる心配がないぶん、楽にレースができたのではないでしょうか。JBCは同じコースですから、勝つ可能性はかなり高いと思います。ただ内のほうの枠に入ると苦しくなるところがあるかもしれません。
 ドリームバレンチノは中団よりうしろからの追走で、4コーナーでもまだ後方でした。スタート後の先行争いでゆったり進めたぶん、最後の脚につながったと思います。それにしても直線はかなり楽な手ごたえで伸びてきました。JBCを見据えて、余力を残してというところはあったかもしれません。今回は2キロ余分に背負っていたのが、JBCでは定量になるので、逆転もあるかもしれません。
 シゲルカガはスタート後に脚を使ったぶん、コーリンベリーはスタートがいまひとつで一気に3番手まで上がって行ったぶん、ともに最後は伸びを欠きました。

レディスプレリュードJpnⅡ

 57キロを背負ったサンビスタが強い競馬をしました。好位につけていって、直線では追い出しを我慢して、力通りの競馬をしています。JBCでも期待できるでしょう。
 トロワボヌールは内目をうまく回ってきて、直線を向いて外に切り替えました。サンビスタには離されましたが、最後までしっかり伸びています。力的にもそれほど差はないと思います。
 ホワイトフーガはブルーチッパーの2番手からで、道中何度か掛かる場面がありました。関東オークスのときのように、スタート後の直線、1コーナーに入る前に一気に行かせてしまってもよかったかもしれません。それでも3着はよく走ったと思います。
 人気のアムールブリエは、ほかの有力馬が先行していたところを、やや離れての追走でした。3~4コーナーからすでに追い通しだったので、デキが悪かったのか、この馬の力は発揮していません。
 ブルーチッパーは、今回もダッシュよく逃げました。転入初戦でケイアイレオーネとの一騎打ちを勝っていたので、ここでも互角の勝負をするかと思いましたが、残念でした。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。