グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/17(木) 園田 1,400m 北陸・東海・近畿
エーデルワイス賞 JpnⅢ 10/15(木) 門別 1,200m 北海道
ラブミーチャン記念 11/10(火) 笠松 1,600m 北陸・東海・近畿
ローレル賞 11/17(火) 川崎 1,600m 南関東
プリンセスカップ 11/30(月) 水沢 1,400m 東北
東京2歳優駿牝馬 12/31(木) 大井 1,600m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で6年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2015(グランダム・ジャパン2015)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

ハイペースも早め先頭で押し切る
北海道での経験の差を見せる勝利

 幼さの残る2歳牝馬によって6戦に渡って繰り広げられるグランダム・ジャパン2歳シーズンの開幕戦。昨年は今年の3歳シーズンで優勝したトーコーヴィーナスが勝ち、一昨年は2歳シーズンを制したカクシアジが勝った出世レースでもあり、将来を占う意味でも注目の一戦だ。
 北海道から2頭、笠松から3頭と計5頭の遠征馬を迎え11頭で争われる中、1番人気は単勝2.2倍で地元園田のスマイルプロバイド。無傷の3戦3勝で、3戦目には差し返す勝負根性も見せた。地元の有力馬インペリオが翌日のJRA認定アッパートライ(1着賞金は園田プリンセスカップと同額)に出走で回避したことも人気に拍車をかけた。飯田良弘調教師と手綱を取る杉浦健太騎手にとっては重賞初制覇がかかっていた。
 2番人気は北海道のランランランで3.6倍。近走はレベルの高いJRA認定競走勝ち馬が相手で苦戦していたが、5月のフレッシュチャレンジでは後続を7馬身ちぎって圧勝。素質を評価されていた。3番人気には2戦1勝、2着1回の地元ナツが4.6倍、4番人気には笠松のシャイニーネームが7.1倍で続いた。
 スタートでは飯田調教師から「行けたら行け」と指示が出されていたスマイルプロバイドがハナ。北海道のエムティーシャトルが外めぴったり2番手、さらにその外にランランランが3番手で、この3頭が先行勢を形成した。
 レースが動き出したのは向正面。外のランランランが「手前を替えた時に掛かってしまった」(川原正一騎手)と加速。内にいたエムティーシャトルも置かれないように手が動く。これではハイペースで逃げていたスマイルプロバイドは厳しい。杉浦騎手が「息を入れようとした時に来られ、(ペースを)落とせなかった」と振り返るように、3コーナーで失速した。
 直線では内の2頭を飲み込み押し切り態勢に入ったランランランと、中団7番手から外をまくって進出してきたナツの一騎打ち。早めに動いた分、止まりかけるところもあったランランランだが、ナツが迫るとハミを取り直し、ゴールではクビ差抑えての勝利。ナツの下原理騎手が「あれだけ早いペースで前にいながら残るんだから、かなり強い」と完敗を認める強さだった。
 川原騎手にとっては一昨年のカクシアジ以来このレース3度目の勝利で、ヒシサブリナで勝った9月4日の園田チャレンジカップから重賞連勝となった。最近では自身の重賞100勝目を門別で達成し(7月30日、王冠賞オヤコダカ)、今回も北海道所属馬での重賞勝ちとなり、北海道と縁が深いが、「これからも声をかけてもらえるように頑張らないと」と56歳を迎えてもまったく心身とも衰えは見られない。まだまだ活躍が続きそうだ。
 1番人気のスマイルプロバイドは8着。厳しいレースの経験がなかった分、飯田調教師が「今後はこの経験を生かして欲しい」と語ったのに対し、勝ったランランランの田中淳司調教師は「強い相手と走ってきた経験がここで生きた」と胸を張った。キャリアの浅い2歳馬が明暗を分けたのは、経験の差だった。
 ランランランはこの後、兵庫(西脇トレセン)の盛本信春厩舎に移籍。次走には11月10日、グランダム・ジャパン2歳シーズン第3戦の笠松・ラブミーチャン記念(1600メートル)に出走を予定している。

川原正一騎手
外枠だったので内を見ながら折り合いをつけました。向正面では手前を替えた時に掛かってしまった。あれがなかったら、もっと楽に勝てた。早めに動いたので直線も止まりかけたが、後ろから馬が来たらまたハミを取った。最後は馬の力で勝たせてもらいました。
田中淳司調教師
北海道ではフレッシュチャレンジを勝った後、結果は出てなかったですが、スピードのある強い相手とばかり走っていたので仕方なかった。フレッシュチャレンジの内容からも能力が高いのは分かっていましたし、今回は勝ちに園田まで来ました。強い相手に揉まれた経験が生きたと思います。


取材・文:松浦渉
写真:桂伸也(いちかんぽ)