グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
若草賞 3/24(火) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
桜花賞 3/25(水) 浦和 1,600m 南関東
ル・プランタン賞 4/12(日) 佐賀 1,800m 九州
東海クイーンカップ 4/21(火) 名古屋 1,600m 北陸・東海・近畿
東京プリンセス賞 4/23(木) 大井 1,800m 南関東
留守杯日高賞 4/27(月) 水沢 1,600m 東北
のじぎく賞 5/12(火) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
関東オークス JpnⅡ 6/10(水) 川崎 2,100m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で6年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2015(グランダム・ジャパン2015)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

ハイペースで逃げ後続を完封
デビューの地で初タイトル

 例年このレースが行われるころに満開を迎える、水沢競馬場向正面の桜並木は1週早く、先週に花を咲かせ終えた。この日は全国的に高気圧に覆われ、岩手県内の多くの地点で今年初めて気温が25度を超える夏日を記録。馬場もパサパサに乾いた良馬場となり、時計のかかる状態となって留守杯日高賞が行われた。
 人気を集めたのはユヅルノオンガエシだが、ホッカイドウ競馬は先週開幕したばかりで本年初出走。他の遠征馬も今回はグランダム・ジャパン3歳シーズンのポイント上位馬が不在。岩手所属馬も開幕してから1カ月少々であり、多くて今季2走。例年地区間のレベル比較が難しいレースだが、今年はここまでの3歳シーズン戦とも関連が少なく、予想する材料に事欠いた。それだけに波乱ムードは十分感じられたのだが、勝ったのはメンバー中キャリア最少の8戦目で、重賞初挑戦のホレミンサイヤ。これまでのデータで比較することの不可能な上がり馬が、一気にタイトルを奪取してしまった。
 先行したかったのは名古屋のホレミンサイヤと地元岩手のグッドギアー。枠順の差でホレミンサイヤの安部幸夫騎手が譲らず、1周目のゴール前、スタートから400メートルで馬群は早くも縦長になり、20馬身以上の長さに。2コーナーで一旦ペースは緩むが、向正面に入って再加速。中団から名古屋のミトノレオが外に出して追い上げを開始し、これを見てユヅルノオンガエシも追撃。ところが安部騎手のホレミンサイヤは「馬を待つので、来れば動く」と後続を交わさせない。とはいえ作ったラップタイムは、前半の600メートル36秒4に対して、上がり600メートルは41秒2というハイペース。自身も一杯一杯になりながら、消耗戦に持ち込んで後続を完封するという、この距離2度目とは思えぬしたたかさだった。
 ミトノレオが1馬身差で2着に入り、3着には笠松のワールドウェーブで、東海勢が3着まで独占。ユヅルノオンガエシは4着だった。
 ホレミンサイヤは元々水沢デビューの馬。ただ、そこまでに時間がかかって2歳戦を使えず、冬期休催直前の最終開催、1月10日がデビュー戦(大差勝ち)だった。そのあとは名古屋へ移籍して4勝を積み重ねてきたが、前走の4月7日が初めての1600メートル戦。そして留守杯日高賞が重賞初挑戦だった。このあとはデビューした水沢・菅原右吉厩舎へ戻るが、もちろんこの路線への再挑戦が検討されるだろう。
 そして岩手で連勝して期待を集めたグッドギアー(2番人気、5着)は、「流れが速くて、苦しくなった」と齋藤雄一騎手。これまでと全く違う相手との厳しい流れに苦しんだが、なんとか掲示板に踏みとどまったのなら、経験は先へ生かされるだろう。勝ち馬が同地区に残ることで、再戦、再々戦とライバル関係を続けてくれることも期待したい。

安部幸夫騎手
内枠だったし、スピードもあるのでハナへ行けると思っていました。馬を待つようなところがあるので、来れば動くし、その分リラックスして走れました。ミトノレオが来てやられたかと思いましたが、伸びて残り100メートルで勝利を確信。最後まで一生懸命走る馬。暖かくなって成長してくれればと思います。
荒巻透調教師
道中フワフワしますが、並ばれると強い馬です。名古屋へ来てからは2週に1度のローテーションなので、そう強い攻め馬もしませんし、食いも細いのですが、馬体を維持できました。ただ、(力関係は)これまで地元の3歳条件戦しか走っていないので、重賞を走ってきた馬が相手でしたからね。


取材・文:深田桂一
写真:佐藤到(いちかんぽ)