2017年9月7日(木) 園田競馬場
ファイティングジョッキー賞


Movie競走成績
エキサイティングジョッキー賞


Movie競走成績
チャンピオンジョッキー賞


Movie競走成績

田中騎手が2年連続3度目の優勝
誕生日の的場騎手は惜しくも2位

 昨年のゴールデンジョッキーカップは猛暑のなかで行われたが、今年は午前中から雨模様。第1レースでは良だった馬場状態は、第2レースで稍重に、第3レースからは重へと悪化していった。
 それでも第5レース後の出場騎手紹介式の際に、雨が止んでいたのは何より。これまでは本馬場で行われていたが、今年は西ウイナーズサークルに場所を変えて実施。司会もそれまでの吉田勝彦アナウンサーから、竹之上次男アナウンサーにバトンタッチされた。
 騎手紹介式が終わると、再び細かい雨が降ってきた。ホームストレッチを見ると中央付近から外寄りの場所には複数の水溜り。その影響か、前半のレースは逃げ先行馬が粘り込む結果が多くなっていた。
 そうなると、1230メートルで行われる第1戦、ファイティングジョッキー賞は、先行争いが激しくなるのが必然。その展開は内枠の馬には厳しかったようで、ゼッケン1番から5番までの5頭は7着以下に敗れた。「逃げ馬の後ろを狙ったんですが、1番からでは行かせてもらえませんでした。これがゴールデンジョッキーカップなのか、という感じです」と、初出場の下原理騎手(兵庫)。同じく初出場の五十嵐冬樹騎手(北海道)は「内枠でしたが1コーナーで挟まれましたし、仕方ないですね」と、11着という結果にあきらめ顔だった。
 対して、上位に入ったのは外枠の各馬。逃げる2頭を右斜め前に見る形でレースを進めた山口勲騎手(佐賀)が4コーナー先頭から押し切った。過去に5回も総合3位以内に入っていることは他の出場騎手も知っていたようで、後検量を終えたところで「さすがですね」と冷やかす声が飛び交った。
 当の山口騎手は「いやぁ」と照れつつもうれしそう。2着の内田博幸騎手(JRA)は「外枠はよかったけれど、相手が強かったね」と、サバサバと話した。3着に入った初出場の吉原寛人騎手(金沢)は「まあまあいいスタートが切れたと思います」と、こちらは明るい表情をしていた。
 しかし第2戦、エキサイティングジョッキー賞は、第1戦で見せ場なく敗れた2名の騎手が観客を沸かせた。
 好スタートからダッシュを利かせた的場文男騎手(大井)が、1コーナー手前で先頭に立ち、2番手には赤岡修次騎手(高知)、3番手が戸崎圭太騎手(JRA)という位置取りは、ゴール地点でも同じだった。しかしながらスタンドの観客は、最後の直線での的場騎手と赤岡騎手のマッチレースに大興奮。残り100メートルあたりの勢いは赤岡騎手のほうが優位に見えたが、的場騎手の闘志あふれるアクションは、失速しかかった騎乗馬のディナミックをよみがえらせた。ゴール地点ではまったく並んでの入線で写真判定。ほどなくして電光掲示板に1着と表示された的場騎手の馬番は、場内のどよめきを誘発した。
 昨年に続いて誕生日の参戦となった的場騎手は、昨年は実現できなかった“バースデー勝利”が、33年連続34度目の年間100勝達成のメモリアル。そして昨年の2位以上という期待も高まった。
 そこに立ちはだかったのは、昨年の優勝者である田中学騎手(兵庫)。1700メートルで行われた第3戦、チャンピオンジョッキー賞は、田中騎手が単勝1.8倍の人気を集め、的場騎手は5.7倍で3番人気に支持された。
 第3戦もスタートから的場騎手が先手を取りに行ったが、ホームストレッチでは中団あたりにいた田中騎手が、1コーナー手前から加速して2番手に上昇して的場騎手をマーク。そして4コーナーで先頭に立つと、最後の直線では独走になった。的場騎手は2着に粘ったものの、ポイント数は田中騎手が37で的場騎手は36。昨年に続き、田中騎手が総合優勝を飾り、2位は的場騎手という結果になった。
 3位争いは、1、11、6着の山口騎手と、9、2、5着の赤岡騎手が29ポイントで並んだ。ゴールデンジョッキーカップの規定は、同点の場合は最上位着順を記録した騎手が上位。その結果、3位は2年連続で山口騎手となった。
 すると赤岡騎手は「同点なら最終戦の着順が優先と違うの?」と叫び、そして肩を落としながら苦笑い。山口騎手は「俺も最後の着順だと思ってたわ」と、こちらは対照的に満面の笑顔だった。
 ということで、今年のゴールデンジョッキーカップは1位から3位までが昨年と同じ。これはもちろん26回の歴史で初めてのことだ。
 最後の表彰式は、大粒の雨が降るなかで行われた。今年は天候にこそ恵まれなかったが、熱気あふれる勝負が展開され、そして順位争いが白熱したあたりは、さすが名手同士という戦いだった。

取材・文:浅野靖典
写真:桂伸也(いちかんぽ)

総合優勝
田中学騎手
(兵庫)
2戦目が終わった時点で優勝を狙えるというのはわかっていました。3戦目の馬は初の古馬戦でしたが通用すると思っていましたし、2番手に上がってからも手応えには余裕がありました。2年連続の優勝は本当にうれしいですね。これからもゴールデンジョッキーカップに参加できるように頑張ります。
総合2位
的場文男騎手
(大井)
2戦目は勝ててよかったですけれど、3戦目は相手が強かったですね。向正面で一杯になってしまいましたから、これは仕方ないです。でもまた表彰台に上がれてうれしく思います。ファンのみなさんの声援のおかげで若々しくレースができますし、この先も夢がありますから、まだまだ頑張っていきます。
総合3位
山口勲騎手
(佐賀)
1戦目を勝って優勝のチャンスがあると思っていたのですが、2戦目は先行できたのにいきなり手応えがなくなって11着。それでも3位ですか。ギリギリでしたね(笑)。こういう舞台にもすっかり慣れましたし、楽しむことを優先して乗っているのがいい結果につながっているのかなと思います。