当コーナーでは、地方競馬に関するイベントや注目レース等の気になる話題を写真と共にご紹介します。

女性4名に、地元男性6名での争い
女性騎手同士のシリーズ復活に期待

2018年3月15日

 まず残念だったのは、参加した女性騎手が4名になってしまったこと。前回(2016-2017)も地元佐賀の騎手紹介式に参加しただけでレースには不参加だった岩永千明騎手は、引き続き療養中。さらに岩手の鈴木麻優騎手が、昨年(2017年)9月23日の盛岡で騎乗馬がレース中に鼻出血を発症して落馬、背骨を骨折して休養。2月のウインターラウンドへの出場の可能性が示されていたが、復帰することのないまま引退発表となった。それでもウインターラウンドの高知、佐賀の出場騎手紹介式で元気な姿を見せたことではファンを安心させた。
 今回、新たな試みとして1stラウンドの前に行われたのが、ばんえい帯広競馬場でのエキシビション。当然のことながらばんえいの騎手は平地の競馬には騎乗できず、近年さまざまに行われている騎手交流戦にも参加できない。しかしながら、ばんえい競馬でも女性騎手ががんばっていることをアピールできたことはよかった。
 次回以降たとえば、全国に出張してばんえい競馬をアピールしているミルキー号とともにばんえいの竹ケ原茉耶騎手がどこかのラウンドに遠征し、本馬場入場の誘導馬の役を務めるなどすれば、さらに盛り上がるのではないだろうか。

優勝した別府騎手の3勝はすべて人気薄

 LVRの前身は、2015年1月の名古屋、2016年3月には名古屋と佐賀で行われたレディス&ヤングジョッキーズで、レース名のとおり女性騎手と若手騎手の争いだった。それがLVRへと発展し、女性騎手以外に騎乗する地元騎手の対応は競馬場ごとにさまざまだった。盛岡では年齢が若い方から順に6名で、2戦とも同じ騎手が騎乗。名古屋では年長から3名と若い方から3名の計6名。高知では出走馬が確定した際に女性騎手の騎乗馬を抽選で決定し、それ以外は出馬投票時の騎手がそのまま騎乗。それゆえ高知では必ずしも2戦で同じ地元騎手が騎乗したわけではない。佐賀は盛岡と同様に若い方から6名が騎乗した。
 出走馬は全レースを通じて10頭立てで、女性4名、地元男性6名。男性のほうが多いが、全8戦で女性騎手が6勝、2着5回、男性が2勝、2着3回。女性騎手が連対(2着以内)を外したのは高知の第2戦のみと、全ラウンドを通じて見せ場をつくった。
 あらためて、総合ポイントと着順を一覧にしてみると、次の通り(着順は左から、1着-2着-3着-4着以下)。

 別府真衣(高知) 59pt【3-2-1-2】
 宮下 瞳(愛知) 49pt【3-1-1-3】
 木之前葵(愛知) 32pt【0-1-1-6】
 下村瑠衣(高知) 29pt【0-1-1-6】

 日本の女性騎手として通算の最多勝記録を更新し続けている宮下騎手(2月25日現在723勝、地方のみ)と、2位の別府騎手(同679勝)の争いとなって、2着1回の差で別府騎手が優勝。3位の木之前騎手と4位の下村騎手は、4着以下のわずかの差だった。
 人気が必ずしも馬の実力を正確に反映しているとはいえないものの、木之前騎手は1番人気が3回あって、全8戦の人気平均でも3.9と、もっとも騎乗馬に恵まれていた。2位の宮下騎手が1番人気2回に2番人気1回。別府騎手は1番人気と2番人気が各1回で、3勝を挙げたときの人気は6、4、4番人気と、人気薄の馬を勝利に導いての優勝だった。4位の下村騎手は2番人気が2回あった以外は6番人気以下と、騎乗馬に恵まれない面もあった。

2019年には女性騎手3名がデビュー予定

 さて、冒頭でも触れたとおり、女性騎手4名での争いというのはいかにも寂しい。現在、地方競馬教養センターには3名の女性騎手候補生がいて、順調に卒業し、騎手免許を取得できたと仮定して、2019年4月には1名、同年10月には2名の女性騎手がデビューする予定となっている。それで計7名。JRAの藤田菜七子騎手も出場できるような状況になれば8名となる。
 JRAの増澤由貴子騎手も参戦して6名によって争われていた2011年のレディスジョッキーズシリーズ以来となる、女性騎手だけでのシリーズ復活に期待したい。

文:斎藤修
写真:いちかんぽ、NAR