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レースハイライト

第19回 兵庫チャンピオンシップ JpnⅡ

2018年5月3日(祝・木) 園田競馬場 1870m

断然人気にこたえ5馬身差圧勝
岩田騎手は単独最多の4勝目

 2013年1着コパノリッキー、2着ベストウォーリア、16年1着ケイティブレイブ、2着ゴールドドリーム(前日のかしわ記念JpnⅠを勝利)。兵庫チャンピオンシップJpnⅡは過去5年の連対馬10頭中、半数に近い4頭がその後、GⅠ/JpnⅠを制覇。注目の出世レースである。
 前日の雨があがり、晴天の園田競馬場に、将来のGⅠ/JpnⅠを目指す3歳馬が集まった。
 今年も中央勢5頭が上位人気を占めたが、中でも単勝1.4倍の圧倒的人気がテーオーエナジー。昨年のタガノディグオに続き、連覇を目指す宮徹厩舎の所属で、ここまで4戦2勝、2着3着各1回。鞍上も兵庫で一時代を築き、4日前の天皇賞・春ではレインボーラインで3年ぶりにJRAGⅠ勝ちを果たした岩田康誠騎手。小回り向きの先行力に加え、直前の追い切りでも栗東の坂路で4ハロン50秒5の1番時計を出し、万全の態勢での出走だった。
 2番人気で単勝4.2倍のビッグスモーキーは、2歳時の昨年、ダートで2勝の後、3歳の今年は芝に挑戦。すみれステークスでは、その後皐月賞で5着のキタノコマンドールに0秒3差の3着も、スプリングステークスで10着に敗れ、皐月賞には出走できず、再びダートに矛先を向けた。3番人気にはミルコ・デムーロ騎手の関東馬キャベンディッシュで7.0倍、4番人気は昇竜ステークスの勝ち馬メイショウヒサカタで8.9倍。ここまでが単勝10倍を切った。
 一方、01年に地元のロードバクシンが勝ってからは16連敗中の地方勢。その中で、もっとも人気を集めたのが、地元園田で一冠目の菊水賞を制したアゼツライトだが、単勝57.7倍の6番人気。今年も苦戦が予想された。
 逃げが予想された1番人気テーオーエナジーは好スタートを切るが、100メートル先でトモを落とすアクシデント。外からハナを争う構えを見せていたビッグスモーキーが主導権を奪う。これにキャベンディッシュ、メイショウヒサカタ、テーオーエナジーが続き、1周目の直線ではこの中央勢4頭が先団を形成。早くも、後続とは差が広がっていた。
 向正面でビッグスモーキーがペースを上げると、外のキャベンディッシュもぴったり併走。3コーナーでメイショウヒサカタは後退。内で脚をためるテーオーエナジーが4コーナーで前2頭の外に持ち出すと、一気に抜け出しての勝利。2着は5馬身差でビッグスモーキー、3着はキャベンディッシュ。人気通りの決着だった。
 岩田騎手は15年クロスクリーガー以来、3年ぶり4度目の勝利。このレース4勝は、3勝で並んでいた武豊騎手を抜き、単独トップとなった。宮調教師はこのレース史上初となる連覇を達成した。
 テーオーエナジーは、父がカネヒキリ、おじにGⅠ/JpnⅠで2着3回(02年東京大賞典、03年フェブラリーステークス、同帝王賞)と活躍したビワシンセイキがいるダート血統。ちなみに母シルキークラフトも、条件戦だが園田で6勝を挙げていた。
 今後は未定ながら、ダートグレード競走や芝のレースも選択肢の1つとして検討される。注目の出世レースを快勝したテーオーエナジーの前に、過去の覇者も歩んだGⅠ/JpnⅠへと続く栄光の道が広がった。
取材・文:松浦渉
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

岩田康誠騎手

好スタートを切りましたが、その後、トモを落としてしまって(他の馬に)前に行かれてしまった。でも、落ち着いて立て直しました。道中もうまく息が入って、馬のうしろで我慢できていたし、自信を持って乗っていました。馬格がありますし、賢くて素直。今後も大きいところを狙ってほしい。

宮徹調教師

1戦ごとに成長して、力をつけているし、鞍上もうまく乗ってくれたので、安心して見ていられました。今後のことは馬の状態を見て、馬主さんと相談してからにはなりますが、ダートグレードや一生に一度しか出られない芝のレース(日本ダービー)も選択肢の1つとして考えたい。