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レースハイライト

第23回 クラスターカップ JpnⅢ

2018年8月15日(水) 盛岡競馬場 1200m

先行2頭の叩き合いはクビ差で決着
補欠繰上りの幸運から重賞初制覇

 プロキオンステークスGⅢ(7月8日・中京)で驚異のレコード勝ちを見せたマテラスカイの登録があり、出走してくれば注目を集めるところだったが、枠順確定の3日前に回避。中心馬不在となった今回は、骨折休養明けで昨年12月のカペラステークスGⅢ(中山)勝ち以来となるディオスコリダーが単勝3.0倍の1番人気。悲願のグレード制覇を狙う地元ラブバレットが4.3倍の2番人気。スパーキングレディーカップJpnⅢ・2着ながら1200メートルの距離が合うオウケンビリーヴが4.4倍の3番人気。芝の京阪杯GⅢを2連覇し、4月の東京スプリントJpnⅢ・3着のネロが4.5倍で続き、今年は上位人気が割れる混戦模様に。
 雨予報も出て湿気があり蒸し暑さもあったが、雨は降ることなくレースを迎えた。ファンファーレが鳴り響くと、盛岡競馬場では珍しくスタンドからの拍手でファンの熱気も最高潮。
 レースは、押して押して先手を奪ったネロに、オウケンビリーヴ、ラブバレットの順で追走、人気のディオスコリダーは好位グループの外につけた。最近5年はペースが落ち着いており、今年も前半3ハロン34秒3、後半3ハロン34秒8の平均ペース(12.4 -10.5 - 11.4 - 11.1 - 10.9 - 12.8)となった。
 直線は、馬体を併せたネロ、オウケンビリーヴの叩き合いが最後まで続き、気迫に勝ったオウケンビリーヴがクビ差で接戦を制した。
 勝ったオウケンビリーヴの北村友一騎手は、「スタートが悪い馬なので、とにかく気をつけたのはその点だけ。調教にも乗っていて、左回りだとコーナーでは外へ張り、直線はモタれることがあるので馬体を併せてしっかり追えたのも良かったです」。一方、ネロの吉原寛人騎手は、「勝ち馬に張り付いて粘っていたけど、最後は迫力に負けた」
 オウケンビリーヴは運も味方につけていた。それは、直前で補欠から繰り上がって出走が叶ったこと。そのチャンスをしっかりモノにし、5歳夏の重賞初制覇となった。
 クラスターカップJpnⅢではこれまで3、3、2着で、4度目の挑戦となった地元期待のラブバレットは、「うまく流れには乗れた。多少暑さがこたえて直前は持ち直してきたが、6月の北海道スプリントカップ2着の状態までにはなかった」と山本聡哉騎手。2着のネロから6馬身離されての3着に終わった。
 1番人気のディオスコリダーは、「うるさいところがあり、レースではズブかったです。一度叩けば変わるでしょう」と津村明秀騎手。久々の実戦で、伸びてはきていたが4着まで。
 勝ったオウケンビリーヴの今後のローテーションは、「9月9日に韓国(ソウル競馬場)で行われる第3回コリアスプリント(韓国GⅠ・ダート1200メートル)に選ばれたら出走したいですし、秋の目標は京都で行われるJBCスプリントJpnⅠ(11月4日)となります」と安田隆行調教師。「この馬は6勝中5勝が1200メートルで、この距離は走りますね。今後は強いメンバー相手にどこまでやれるか楽しみ」とも話していた。


地方勢最先着は3着のラブバレット(岩手)
取材・文:峯村正利
写真:いちかんぽ(国分智・佐藤到)

コメント

北村友一騎手

思いのほか好スタートが切れたので2番手のポジションを楽に取れました。直線でネロを交わしてから脚色が鈍りましたが、最後までしっかり気を抜かずに走ってくれました。今回は調子の良さと52キロの負担重量を生かせたと思います。

安田隆行調教師

前走後は、放牧に出てリフレッシュさせました。先週(8日)坂路の追い切りで自己ベストをマーク。夏に強いタイプてすし、調子が上がってきていると感じました。最近はスタートでつまずくことが多かったので、北村騎手にはスタートだけ気をつけるように頼みました。