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特集

Road to JBC

実施日レース名格/シリーズ競馬場距離
10/3(水)日本テレビ盃JpnⅡ船橋1,800m
10/8(祝月)マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠ盛岡1,600m
10/10(水)東京盃JpnⅡ大井1,200m
10/11(木)レディスプレリュードJpnⅡ/GDJ大井1,800m

第65回 日本テレビ盃 JpnⅡ

10/3(水) 船橋競馬場 1,800m ケイティブレイブ

怪我から復帰の鞍上も絶賛の完勝 王道のスタイル身につけJBCへ

 改めて振り返ってみても、今年の帝王賞JpnⅠは好レースだった。川崎記念JpnⅠ勝ちのケイティブレイブが抜け出しかけたところへ、内から伸びたかしわ記念JpnⅠ馬のゴールドドリームが急追。外からは前年のJBCクラシックJpnⅠを制したサウンドトゥルーが飛んでくる――。結果はゴールドドリームの勝利だったが、それぞれがダートGⅠ/JpnⅠ馬に恥じない走りを見せ、現在のダート界の趨勢をよく表す一戦となった。
 なかでもケイティブレイブは、自らの立ち位置をしっかり認識できたに違いない。レース直後に福永祐一騎手は「ダートのチャンピオンホースに肉薄できたのはよかった」と話し、手ごたえをつかんだ様子だった。出遅れて勝利した前年よりも、むしろ中身が濃く、能力の高さを証明することができた2着だったといえる。
 それ以来のレースを迎えたケイティブレイブ。およそ3カ月ぶりの実戦、サウンドトゥルーと並んで最重量となる別定58キロでも、単勝1.9倍の1番人気に支持された。より自信を深めたような、王者としての風格。それはレースぶりにも表れていた。
 スローで逃げたテイエムジンソクをマークするように、ケイティブレイブは2番手につけた。向正面でテイエムジンソクがペースを上げた際にもこれを自ら追いかけ、直線で難なく抜け出すと、2馬身差で完勝した。
 いともあっさり。これだけ完璧なレースをされては、後続は為すすべがなかった。「王道のスタイルで競馬をしてほしいと思っていたが、こういう強い勝ち方ができたし、馬が完璧に走ってくれた」と福永騎手。自身も9月16日の阪神競馬で落馬して頭蓋骨を骨折し、これが復帰初戦。以前と変わらないクレバーなエスコートで、勝利に花を添えた。
 2着は2番人気のアポロケンタッキー。前走の帝王賞JpnⅠでは集中力を欠いたような走りで11着に敗れていたが、前年に制したゲンのいいレースで衰えのないことを示した。ただ、ジョアン・モレイラ騎手は「いいコンディションで手応えもよく、ポジションもよかった。勝った馬が強かったね」と脱帽。着実に安定感を増しているケイティブレイブに、多少水をあけられた印象も受けた。
 地方勢で期待されたヒガシウィルウィンは4番手を追走したが、終いにこらえきれず5着。森泰斗騎手は「もう少し内枠がほしかったし、ペースも流れてほしかったね。上がりの速い競馬になったけど、よく食らいついてくれたし、いろんな要素がかみ合えば一発もある」と話した。3着のサウンドトゥルーまで上位3頭の上がり3ハロンはすべて36秒台。切れ味勝負となれば、どうしても瞬発力にまさるJRA勢に分があるが、この馬自身も37秒3で上がったのなら悪くない。鞍上の言うとおり、もう少しタフな流れになればチャンスがあるだろう。
 ケイティブレイブの次走は、優先出走権を獲得したJBCクラシックJpnⅠの予定。各馬の動向は流動的だが、その後も続く秋のダート戦線のなかで、またゴールドドリームを筆頭とした強敵と戦う場面は必ずある。それでも、けっして臆することはない。“王道のスタイル”を身につけたケイティブレイブは、ダート王者の最有力候補になりつつある。

地方馬最先着は5着のヒガシウィルウィン(船橋)
取材・文:大貫師男
写真:国分智(いちかんぽ)

コメント

福永祐一騎手

もともと長くいい脚を使える馬ですが、2、3番手から抜け出す王道のスタイルの競馬をしてほしいと思っていたなかで、馬も学習してくれて、今回は完勝といえるかたちで勝ってくれました。自分の復帰戦として乗せてもらって、いい結果で応えたいと思っていたから、勝つことができてよかったです。

杉山晴紀調教師

勝ててホッとしています。少し間隔は開いていましたが、賢い馬ですし、しっかり仕上げることができました。思い描いた通りのレース内容だったので、ヒヤヒヤするようなところもまったくなかったですね。このあとは、状態に問題がなければJBCクラシックに向かいます。ぜひGⅠを勝ちたいですね。