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グランダム・ジャパン2020

地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で11年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2020(グランダム・ジャパン2020)」を実施します。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

地方競馬を代表する名牝「ロジータ号」の再来を願い、GRANDAME-JAPANに託された合言葉は「ロジータふたたび。」競走馬として、やがては母として、競馬の楽しみをより奥深いものとしてくれる牝馬たちの活躍に、是非ご声援をお願いします。

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3歳シーズン レーススケジュール

レース名 実施日 競馬場 距離 地区
佐賀ヴィーナスカップ 5/24(日) 佐賀 1,400m 九州
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/15(水) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/16(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/24(祝金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/13(木) 門別 2,000m 北海道
読売レディス杯 8/18(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ビューチフルドリーマーカップ 8/30(日) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/17(木) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10/8(木) 大井 1,800m 南関東
  • 第13回
  • 兵庫サマークイーン賞

7.24 (金) 園田 1,700m

スタート決めて余裕の逃げ切り
 アクセルは痛恨の出遅れで5着

例年にも増して豪華メンバーが揃った兵庫サマークイーン賞。しかし、レースは予想外の波乱の展開となった。

この日は第9レースのパドックの頃から雨が降り始め、馬場状態は稍重に変更。無観客競馬で歓声がないからだろうか、レース発走直前には蛙の鳴き声がスタンドに響いた。

単勝1.5倍の断然人気を集めたのはクレイジーアクセル(大井)。昨年のグランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズン覇者で、12月にはクイーン賞JpnⅢを制覇。ここは実績が抜けていると見られていた。2番人気は前走、園田に遠征して強豪牡馬相手に重賞・六甲盃を制したアッキー(川崎)で4.0倍、昨年GDJ古馬シーズン2位のジェッシージェニー(大井)が3番人気7.3倍と、単勝10倍以下は遠征馬3頭が占めた。

注目はハナ争い。クレイジーアクセルは休み明けの前走で3番手に控えるレースをしたとはいえ、クイーン賞JpnⅢを逃げて制しており、アッキーも六甲盃はスローペースに落としての逃げ切り勝ち。地元馬では最も人気を集めた単勝14.5倍のエイシンセラードも前走は逃げており、ハナに行きたい馬が複数いた。

ところがスタートの瞬間、クレイジーアクセルが大きく出遅れた。「両脚がガクンと躓いてしまいました」(吉原寛人騎手)とのことで、代わって好スタートからハナを奪ったのはエイシンセラード。その外にヴィクトアリー、アッキーと続き、4番手内にガレットショコラがつけた。クレイジーアクセルは馬群から約5馬身離れた最後方で、ややゆったりしたペースで進んだ。

残り600メートル手前からエイシンセラードがペースアップすると、そのまま後続とのリードを保って3馬身差で重賞初制覇。2、3着争いはデビュー4年目同士の鞍上が追い比べの末、2着ヴィクトアリー(渡邊竜也騎手)、クビ差で3着ガレットショコラ(長谷部駿弥騎手)だった。さらに4着はアッキーで逃げ・先行馬が上位を占める中、クレイジーアクセルは大外から脚を伸ばして5着だった。

ヴィクトアリーの渡邊騎手は「前めで運ぶのがこの馬には一番いいと思っていて、理想通りの競馬ができました。ただ、勝ち馬が楽をした分、勝負所で追いつけなかったのと、馬体重が一気に増えすぎたのも影響したかもしれません。プラス体重自体はよかったのですが」と分析。ガレットショコラは1400メートルで10連勝した馬で、1700メートルは初経験だったが「道中はこの馬のペースで行けましたし、距離をこなせたので今後の選択肢が増えました」と長谷部騎手。それぞれに今後への道筋が見えた。

エイシンセラードを勝利に導いた田中学騎手は検量室前に引き揚げてくると、担当厩務員と笑顔で言葉を交わした。さらに、この日は管理する橋本忠明調教師の誕生日。田中騎手が「いいプレゼントができたかなと思います」と笑うと、橋本調教師は「スタッフも一生懸命やってくれていますし、田中騎手も上手く乗ってくれました」と答えた。

今回が兵庫移籍2戦目。JRA時代にはダート1800メートルで4勝を挙げ、ダートグレードにも挑戦したエイシンセラード。移籍初戦で1400メートルを使ったのは「距離よりも馬の状態に合わせた結果」(橋本調教師)とのことで、今後はGDJの一戦・読売レディス杯(金沢)が有力だ。

  • 取材・文
  • 大恵陽子
  • 写真
  • 桂伸也(いちかんぽ)

Comment

田中学 騎手

レース前は2番手になるかなと思っていましたが、ゲートを出て展開が変わったので思い切ってハナに行きました。予想より落ち着いたペースになり、4コーナーまで抜群の手応えで、直線もしっかり伸びてくれました。いま、園田に強い牝馬がいないので、地元を代表して遠征にいけたら嬉しいです。

橋本忠明 調教師

クレイジーアクセルを見ながら進めてほしいと伝えていましたが、スタートが決まって逃げて、いい展開になったなと思いました。前走は休み明けで、最後に脚が止まってしまい、それを踏まえてこの中間は攻め馬を強化したので、このペースなら最後はもうひと伸びがあると信じて見ていました。