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ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。

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JBCレースハイライト一覧

前哨戦
レース名 実施日 グレード 競馬場
レパードステークス 8月9日(日) GⅢ JRA新潟
エルムステークス 8月9日(日) GⅢ JRA札幌
クラスターカップ 8月10日(祝月) JpnⅢ 盛岡
サマーチャンピオン 8月12日(水) JpnⅢ 佐賀
ブリーダーズゴールドカップ 8月13日(木) JpnⅢ 門別
テレ玉杯オーバルスプリント 9月22日(祝火) JpnⅢ 浦和
白山大賞典 9月29日(火) JpnⅢ 金沢
シリウスステークス 10月3日(土) GⅢ JRA中京
エーデルワイス賞 10月15日(木) JpnⅢ 門別
JBC指定競走
レース名 実施日 グレード 競馬場
ビューチフルドリーマーカップ 8月30日(日) 水沢
アフター5スター賞 9月8日(火) 大井
東京記念 9月9日(水) 大井
青藍賞 9月13日(日) 盛岡
秋桜賞 9月17日(木) 名古屋
珊瑚冠賞 9月21日(祝月) 高知
ゴールドジュニア 9月21日(祝月) 大井
ウポポイオータムスプリント 9月22日(祝火) 門別
姫山菊花賞 10月1日(木) 園田
サンライズカップ 10月1日(木) 門別
オータムカップ 10月9日(金) 笠松
鎌倉記念 10月14日(水) 川崎
兵庫若駒賞 10月15日(木) 園田
Road to JBC
レース名 実施日 グレード 競馬場
日本テレビ盃 9月30日(水) JpnⅡ 船橋
東京盃 10月7日(水) JpnⅡ 大井
レディスプレリュード 10月8日(木) JpnⅡ 大井
マイルチャンピオンシップ南部杯 10月12日(月) JpnⅠ 盛岡
JBC
レース名 実施日 グレード 競馬場
JBC2歳優駿 11月3日(祝火) JpnⅢ 門別
JBCレディスクラシック 11月3日(祝火) JpnⅠ 大井
JBCスプリント 11月3日(祝火) JpnⅠ 大井
JBCクラシック 11月3日(祝火) JpnⅠ 大井
  • 第1回
  • JBC2歳優駿 JpnⅢ

11.3 (祝火) 門別 1,800m

厳しい流れを中団から抜け出す
 地元馬が第1回の勝者に名を刻む

リポート動画

JBC開催が始まった2001年。日高で開催される競走馬市場は、1000頭を超える上場頭数を誇るサマーセールや、1年の締め括りとなるオータムセールの売却率は、ともに約31%と低迷。最も選りすぐられた1歳馬が上場されるセレクションセールの売却率でも、54.1%と厳しい状況だった。

地方競馬の売上も厳しい状況が続いていた中、生産者が主導となり、アメリカのブリーダーズカップを範とした形で創設されたのが、JBC開催だった。短中距離でのチャンピオンを決めるレースとして始まったが、当初から2歳カテゴリーを作ることは悲願だった。それは、馬が売れず、ホッカイドウ競馬に託すオーナーブリーダーが多い状況もあった。

生産、育成、競走のサイクルは、どの地区よりも密接であるホッカイドウ競馬で、早い時期にデビューできる若駒のビッグレースは、生産者にとって待望だった。北海道2歳優駿JpnⅢを引き継ぐ形で、門別競馬場でJBCと名の付くレースが創設されたことは、JBCの理念を考えれば、大変意義深い。

JBC開催を迎えるにあたり、最も古いAスタンドを増築し、3階建ての来賓及び馬主席ができた。また、ジンギスカンを楽しむスペースとポラリススタンドの間に、2階建てのとねっこラウンジも完成した。1週前にようやく、これらの竣工式が行われたほど、何とかJBC開催に間に合ったという慌ただしい状況だったが、JBCのロゴや横断幕を見ると、関係者やメディアたちも気持ちが高まってきた。JBCデーから、事前抽選による限定的な状況ながら、ファンも入場できるようになり、第1レースから賑わいを見せた門別競馬場は、まさにダート競馬の祭典だった。

今年のホッカイドウ競馬は、例年に比べると中距離の番組が少なく、2歳の中距離戦が始まったのが、6月4日のアタックチャレンジ(1700メートル)。その勝ち馬であるシビックドライヴが、その後の中距離路線で物差しとなる。早い時期に中距離にシフトして勝ち上がった馬たちが、他の追随を許さない状況が、今年の2歳中距離の図式だった。

対するJRA勢は、函館2歳ステークスGⅢで2着に健闘したルーチェドーロや、プラタナス賞を勝ったタイセイアゲイン、好時計で1800メートルを勝ち上がったレイニーデイとカズカポレイなど、例年以上の好メンバーが揃った。

先週にかなり雨が降り、前日の夜にも一時的に雨が降った門別競馬場。大一番を控える序盤のレースで、前残りの競馬が目立ち、騎手たちも先行することを意識して騎乗していた。どのレースもハイペースとなり、中距離戦は差し馬の台頭もあったが、JBC2歳優駿JpnⅢでも序盤から激しい先行争いが繰り広げられた。

カズカポレイが逃げ、ルーチェドーロが続くラップは、12秒1-11秒5-12秒3=35秒9と速く、向正面に進んだ後も12秒4-12秒7とラップが緩まず、5ハロン通過で61秒を刻んだ。後方にいた吉原寛人騎手と岩橋勇二騎手は、「前と離れていても、慌てなくても追いつくと思った」とレース後に話していたことが、厳しい流れだったことを物語っている。

3番手にいたブライトフラッグが早めに先頭へ立ち、中団で折り合いに専念したラッキードリームが直線で力強く抜け出す。外からトランセンデンスとサハラヴァンクールが追い込み、地元勢が首位争いを演じていた時、大声を出せない環境ながらも、場内から拍手や声援が飛び交った。ラッキードリームが接戦を制し、ゴール板を過ぎた1コーナーあたりで石川倭騎手はガッツポーズを見せた。JRA勢は、レイニーデイが3着に食い込み、何とか意地を見せた。

「(18年に)エーデルワイス賞を勝った時とは違う、何とも言えない嬉しさがありますね」と石川騎手。JBC2歳優駿JpnⅢは、開幕前から関係者が目指していたレースであり、記念すべき第1回の勝者となった……。簡単に言えばそうだが、話しているとそんな単純なものではない。JBCは馬産地の祭典として定着した瞬間だと感じた。道営記念とともに、大いなる目標へ確実に育つレースとなるだろう。

  • 取材・文
  • 古谷剛彦
  • 写真
  • いちかんぽ(浅野一行、中地広大)

Comment

石川倭 騎手

乗り手に従順で、乗りやすい馬です。レース前からハイペースが想定できましたので、じっくり構えていこうと思っていました。外から何か来ていたのは感じていたので、最後まで気を緩めず、しっかり追いましたが、勝利を確信した瞬間は、本当に嬉しかったです。今後の成長も楽しみです。

林和弘 調教師

芝を走った疲れが多少残っていた前走より、間隔を空けて立て直した今回は、状態も上がっていました。中央馬もいるので、ペースが速くなると思っていましたから、巻き込まれないようにと指示を出しましたが、石川倭騎手がうまくエスコートしてくれました。この後は、全日本2歳優駿に向かいます。