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ヤングジョッキーズシリーズ TR 盛岡

2年目の永野騎手がYJS初勝利
  笠松で腕磨く及川騎手が大外一気

今年もヤングジョッキーズシリーズ(YJS)が開幕した。東西各6ラウンド、計12場で行われるトライアルラウンドは過去最大。開幕の地、盛岡では「今日は火曜日なのにお客さんが多いな」と常連のおじちゃんたちが呟き、パドックにはYJS出場騎手たちの横断幕が掲げられた。

ところが、騎手紹介式の終盤に遠くで雷鳴が聞こえはじめ、第8レース発走前には大雨と幾度も雷が落ちる音が響いた。YJSの一つ前となる第9レースは悪天候のためパドック入場を約15分遅らせたものの、馬場状態が良から稍重に悪化しただけで大幅な変更はなく無事にYJSを迎えることができた。

今年デビューの小林捺花騎手(川崎)は南関東以外は初遠征。「初めての場所で緊張はありますが、自然が多くていいところですね」と山の空気を感じ、新原周馬騎手(川崎)は「勝ちます!」と力強く宣言した。フレッシュな新人に対し、落ち着いた雰囲気で話したのはデビュー2年目の木間塚龍馬騎手(船橋)。「第1戦の騎乗馬は船橋所属時に一度乗ったことがあります」とのことで、当時管理した矢野義幸調教師からもアドバイスを受けてきたようだ。

そのスティローザは単勝1.5倍の1番人気に支持され、好スタートを決めると、逃げる原優介騎手(JRA)の直後で運んだ。ダート1200メートルながらやや縦長の隊列で、中団以降の横山琉人騎手(JRA)や永野猛蔵騎手(JRA)はやや押しながらの追走となった。

直線に入るなり木間塚騎手は最内を狙うが、スペースが十分でなかったのか馬が怯んだか、突き抜けることができず進路を外に切り替えるも時すでに遅し。代わって2番手から池谷匠翔騎手(川崎)が先頭に立ち、さらに外から3頭が同時に伸びてきた。中でも手応えが良かったのはブラントンと永野騎手。内の横山騎手をクビ差交わしてYJS初勝利を挙げた。

アタマ差3着には池谷騎手が粘り、半馬身差で勝ち馬の後ろから伸びた田中洸多騎手(大井)、5着に新原騎手だった。

「あまり砂を被らないように、と言われていて、スタートよく番手につけられて、3着のポイントをゲットできてよかったです」とは池谷騎手。敗れはしたが、高ポイントの獲得にひと安心といったところ。

対して、新原騎手が「初めて坂のあるコースを経験しました。もう少し溜めたほうがよかったですかね」と話せば、田中騎手も「コーナーでもう少し溜めておけば……。内の3頭を抜いたら勝てると思ったのですが」と悔しさを滲ませた。その姿を遠くで見ていた検量室スタッフは「田中君は顔が変わったね」と目尻を下げた。昨年まで岩手競馬で期間限定騎乗を行い、この地で初勝利を挙げた少年が逞しく映ったのだろう。

第2戦は佐々木大輔騎手(JRA)が好スタートを決め楽に逃げたが、2番手外にピタリとつけていた関本玲花騎手(岩手)が2コーナーから向正面に合流した辺りで先手を取った。先団5頭がひとかたまりとなって、4~5馬身離れて及川烈騎手(浦和)が続く展開で、3番手にいた永野騎手が4コーナーで一気に進出。一昨年、原騎手がTR盛岡を連勝したように永野騎手も連勝かと思われたが、さらに外から伸びてきたのがラブリボーンと及川騎手。4コーナーでは大きく外に膨れながらも、直線でしっかりと追い、粘る関本騎手に2馬身半差で完勝。永野騎手は直線で少し置かれたものの、追い込んだ新原騎手をハナ差凌いで3着、5着は小林脩斗騎手(JRA)で、第1戦で騎乗馬が鼻出血のため大差の12着だった無念を少しは晴らす結果となった。

及川騎手はこれが通算3勝目。「3勝とも違う競馬場なんです」と本人が話すように、地元・浦和、笠松、そしてこの盛岡でのもので、現在期間限定騎乗中の笠松では「すべてが新鮮で、乗り方もコースも南関東とは違って面白いです」と、様々なことを吸収しているようだ。

2着の関本騎手はコース取りが冴えた。「雨が降ってからは内の馬が結構止まっていたので、先頭に立ってからも内に入らずに運びました」と、わずか2~3レースで馬場傾向をしっかり読んだ。4着の新原騎手も第1戦の反省を生かし、「溜めるところをつくって、しっかり伸びてくれました」とひとつ成長。一方で、「ここに来る前、いろんな人からYJSの戦い方のアドバイスを受けていたんですけど、それを生かしきれなくて」と、胸の奥に悔しさを抱えていた。

TRは始まったばかり、と言いたいところだが、東日本の地方騎手は出場人数が多く、現時点で同1位の及川騎手(6着、1着で38ポイント)、3位新原騎手(5着、4着で22ポイント)、木間塚騎手、小林捺花騎手は現時点ではあと1ラウンド2戦のみの騎乗予定。なお、JRA東日本では1着、3着の永野騎手が45ポイントで1位に立った。

取材・文 大恵陽子

写真 佐藤到(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 永野猛蔵騎手(JRA)

前半はペースが流れて、押していきましたがそこまで進んでいかなかったので、馬のリズムを大切にしました。最後は接戦になりましたが、脚色はこちらの方があると感じましたし、馬が最後までしっかり伸びてくれました。昨年はファイナルに進出できませんでしたが、今年は開幕から勝てて、感謝しています。

第2戦1着 及川烈騎手(浦和)

いい位置につけることができました。道中、軽く仕掛けてみた時に動いたので、前と少し離れていても気になりませんでした。4コーナーで手応えがよく、「あるんじゃない?」と思いました。勝ててとても嬉しいです。以前は同期を見て焦りもありましたが、いまは自分のペースをつくることに専念しています。