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ヤングジョッキーズシリーズ TR 高知

JRAの新人が第1・2戦とも勝利
  2戦とも2着に金沢・魚住騎手

ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)西日本地区の開幕戦となったトライアルラウンド高知。昨年、ファイナルラウンドに進出し、総合3位だった魚住謙心騎手(金沢)はこの日の時点で地方通算91勝。減量卒業となる101勝目前で、順調にいけば今年がラストのYJSとあって、「昨年の3位は悔しかったので、今年こそはがんばります!」と思いを強くした。

また、兼子千央騎手(金沢)と岡遼太郎騎手(高知)は昨年、ファイナルに進出するも大井第2戦で落馬負傷し、JRA中山競馬場では騎乗が叶わず、再度その舞台を目指すこととなった。

JRAから参戦の5名はみな今年デビューのルーキーで、中でもCBC賞GIIIで重賞初騎乗での制覇を果たした今村聖奈騎手(JRA)の注目度は大。第1戦は直近4走が7着以下という騎乗馬ながら、途中までは単勝1番人気に支持されていた。

最終的に1番人気になったのは魚住騎手。近走の成績などから専門紙でも比較的、印が集まり、内から好スタートを決めると武器の先行力を生かして先手を取った。その外から大久保友雅騎手(JRA)が押して2番手。そして今村騎手の騎乗馬は主戦騎手が「序盤は進んで行きません」という馬ながら、好スタートから出ムチを入れてしっかり先行集団に取り付いた。不良馬場で前半400メートルが25秒3というややゆったりした流れ。逃げる魚住騎手の外から4コーナーで大久保騎手が迫ると、直線は2頭の接戦。ゴール直前で1馬身抜け出した大久保騎手が勝った。

2着魚住騎手は「最後の伸びが足りなくて、自分がもっと追えたら」と悔しがった。対して、中団から差して3着の長江慶悟騎手(笠松)は「思ったよりゲートも出て、いい位置で運べ、自分としてはよかったです」という感想。2020年10月デビューながら、今年がYJS初出場で、「出たいとずっと思っていましたし、TR盛岡も見ていて、いま笠松で一緒に乗っている及川烈騎手が勝ったな、と。でも、周りのことはあまり考えないようにしています」と、自分のペースで歩んだ。

4着は4コーナーで内から迫った角田大河騎手(JRA)、5着に川端海翼騎手(JRA)だった。

第2戦は先行馬が揃う中、外から今村騎手が気合いをつけて先手を取るとやや内めを走り、角田騎手は2番手外に切り替えた。さらに外に魚住騎手、少し離れて兼子騎手が続いた。3コーナーでは角田騎手が楽に先頭に並びかけ、直線は独走で5馬身差の勝利。2着はまたしても魚住騎手で「ここは勝ちたかったです。悔しい……」と顔をしかめるのも仕方ないだろう。ただ、内の砂が深い高知競馬場で「前2頭がやや内めを走っているようにも見えたので、あの位置でじっとしていました」と、3頭分外を回る判断ができたことは今後につながるはず。

3着は兼子騎手で、「砂を被らない方がいいと聞いていて、そんなに被らずに運べました」と、最下位人気ながら3着で3連単6万5410円の立役者となった。4着には差した鷲頭虎太騎手(JRA)、5着に大久保騎手だった。

2戦を終えて行われた表彰式では落馬負傷で療養中の妹尾将充騎手が登場。脊椎を損傷し、車椅子姿ながら“まさちかスマイル”を見せ、「僕も乗りたいと思いながら見ていました。次にこの場所に来る時は、自分の足で立てるようがんばります」と話すと、大きな拍手で包まれた。この姿に、同期の濱尚美騎手(高知)や、先週の落馬で尾骨を骨折しながらも「鉄人を目指します」とここに参戦した木本直騎手(兵庫)も感じるところがあっただろう。

順位はJRA西日本は4着、1着で42ポイントの角田騎手が1位だが、わずか2ポイント差で大久保騎手が2位につけている。対して地方西日本は2着2回で40ポイントの魚住騎手が断トツ1位。7着、3着で21ポイントの兼子騎手、3着、9着で17ポイントの長江騎手が続いた。計3ポイントで6位の岡騎手は「残る騎乗は笠松での2戦しかないんです」と肩を落としたが、11月まで続くトライアルラウンドは何があるか分からない。ファイナルへ向けた戦いは始まったばかりだ。

取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 大久保友雅騎手(JRA)

指示もあり、前めにつけることだけを考えていました。3~4コーナーから仕掛けて、直線に入ると馬も一生懸命走ってくれ、この馬のリズムでがんばってほしいと追っていました。地方競馬のレースを見てきて、直線が短いのでコーナーからスピードに乗せていければと思っていました。1勝できて嬉しいです。

第2戦1着 角田大河騎手(JRA)

第1戦と第2戦の間にJRA交流レースにも乗せていただき、いい経験になりました。逃げる今村騎手の手応えを見ながらいい位置で競馬ができました。抽選でいい馬に乗せていただき、感謝でいっぱいですし、結果を残せて嬉しいです。地方競馬の騎手とともにこの後のYJSも一生懸命がんばります。