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ヤングジョッキーズシリーズ TR 門別

小林騎手が先行勢を差し切る
  第2戦は地方騎手の一騎打ち

セレクションセールが11年ぶりに2日間の日程で行われ、夕方の早い時間に終了したためか、場内にはセリ帰りの人々も多く姿を現した門別競馬場。地元の人たちは「暑い」、本州の人たちは「涼しい」とそれぞれに北の大地の短い夏を肌で感じながら、日没とほぼ同時にヤングジョッキーズシリーズ(YJS)第1戦の出走馬たちがパドックに登場した。

なお、神尾香澄騎手(川崎)は当日朝の調教中に落馬負傷し、第1戦は落合玄太騎手、第2戦は小野楓馬騎手にそれぞれ乗り替わり、2人はポイント対象外での騎乗となった。

第1戦の単勝人気はその落合騎手と中島良美騎手(浦和)が分けあう形。ともに新聞では厚い印がついていたが、前者に至っては地元リーディングジョッキーが乗るという点も追い風となっただろう。

好スタートを決めたのは大外枠の小林凌大騎手(JRA)だったが、冷静に内の馬の出方を見て控え、山田敬士騎手(JRA)、落合騎手、秋山稔樹騎手(JRA)らが先行集団を形成。直線入口で落合騎手が頭一つ抜けたところ、外の秋山騎手も食い下がったが、さらに外から一完歩ずつ脚を伸ばしたのは小林騎手。3コーナー手前で内に入って距離ロスを抑えており、2着落合騎手に1馬身差をつけて勝利を収めた。

3着は秋山騎手が粘り、4着もインを進んだ山田騎手、5着は差し脚を伸ばした大塚海渡騎手(JRA)と、JRA勢が上位を占め、YJSポイント対象となる地方勢は6着菅原涼太騎手(大井)が最先着。「スタートで躓かず、前に付けられていれば。中央の騎手はさすがですね」と、勝者を称え、12着だった地元の若杉朝飛騎手は「前が速くなると思い差すつもりでしたが、想定外に前残りの展開になってしまいました」と、プラン通りに運べなかった様子だった。

第2戦は対照的に地方勢が上位4着までを占めた。逃げたのは最内から木間塚龍馬騎手(船橋)。さらに菅原騎手も気合いをつけて2番手を取ると、3コーナーからは2頭の大接戦。4コーナーで一旦菅原騎手が置かれたようにも見えたが、直線で巻き返し、鼻面を揃えてゴールした。

引き上げてくる時には両者ともどちらが勝ったか分からぬ雰囲気だったが、出迎えた厩務員からスローモーションでの着差判定を聞き、アルマブレイドの木間塚騎手は安堵の笑みを浮かべた。今回、1番人気に支持されていたのだが、木間塚騎手はYJSトライアルラウンド盛岡第1戦でも1番人気馬に騎乗。しかしながら内でハマり、悔いの残る8着だっただけに、「今日こそは」とさらに気合いが入っていたのだ。それでも反省点の多いレースだったようで、「帰ってビデオを見て反省したいです」と唇を噛んだ。

僅かハナ差で2着の菅原騎手は「前に行った方が粘れる馬だと聞き、先行しました。一瞬、手応えがなくなってからもう一段ギアが入ってくれたのですが。次は『大井の太陽』になれるようがんばります」と、ファンからの公募で決まった自身の愛称に相応しい活躍を誓った。

3着は室陽一朗騎手(浦和)で、乗り難しい面のある馬ながら「馬がやめる面を出さないように気を付けました」と、地元記者も褒める好騎乗。

そして4着古岡勇樹騎手(川崎)が「出負けして砂を被る形になってしまいました。ペースは意外と普通で……」と、レースを振り返る横で「予想していたペースと違ったよね」と声をかけたのは同じ川崎競馬所属で現在は門別競馬場で期間限定騎乗中の中越琉世騎手。「古岡が『レースを見ていかないんですか?』と言うので、仕方なく」と居残った理由を説明しながらも、久しぶりの仲間との再会に表情は嬉しそうだった。

東日本地区は2ラウンドを終えて、地方トップは変わらず及川烈騎手(浦和)。門別に参戦した騎手では木間塚騎手が11着、1着のポイントを加算し、36ポイントで2位に続くが、こちらは現時点では唯一の4鞍騎乗とあって、さらなるポイント追加がなければ順位のキープは難しいだろう。JRA東日本もトップは変わらず永野猛蔵騎手で、2位に門別で1着、5着とまとめた小林凌大騎手が40ポイントでつけている。

取材・文大恵陽子

写真中地広大(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 小林凌大騎手(JRA)

嬉しいです。馬場へ先出ししたおかげか落ち着いていて、返し馬で素直な馬だと感じました。序盤に前付けすると止まると聞き、この馬のペースで運びました。ゴーサインにもよく反応してくれました。2着馬が思ったより粘っていて交わせる確証はなかったですが、馬が頑張ってくれました。

第2戦1着 木間塚龍馬騎手(船橋)

仕掛けが早かったのもありますし、道中で掛かってペースが速くなってしまいました。そのため、直線では少しタレてしまい、あまりいいレースとは言えません。盛岡で失敗したので、ここを勝ててよかったですが、帰ってビデオを見返して反省したいです。