ヤングジョッキーズシリーズ TR 大井

門別の無念晴らした仲原騎手
　　水沼騎手はうれしい初勝利

残暑厳しい晴天の大井競馬場でヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド大井が行われた。

今回シリーズ初騎乗の騎手は地方5名、JRA2名。騎手紹介式では和気あいあいとした雰囲気でこの舞台を楽しんでいる様子だった。特に地元大井の騎手はホームということもありリラックスムード。「一つ一つ落ち着いて騎乗し、ファイナルラウンドに出られるようにがんばります！」と谷内貫太騎手（大井）。後藤蒼二朗騎手（大井）は「大井の先輩には、落ち着いて乗れば大丈夫だとアドバイスをもらいました。全部勝ってファイナルラウンドに進みたいです」とハツラツとした表情でレースに向かった。

なお、神尾香澄騎手（川崎）が疾病のため、第1戦は野畑凌騎手（川崎）、第2戦は新原周馬騎手（川崎）に騎手変更となった。

第1戦は、西塚洸二騎手（JRA）が二の脚を使って先手を主張。押して先行した野畑騎手が2番手、永野猛蔵騎手（JRA）が外目3番手につけた。好位に仲原大生騎手（大井）や、七夕裕次郎騎手（浦和）、田中洸多騎手（大井）が続き、1番人気の秋山稔樹騎手（JRA）は中団から徐々に押し上げていった。

隊列はさほど変わらぬまま直線に入ると、半ばあたりで手応え良く先頭に立ったのは仲原騎手。ゴール前は外から若杉朝飛騎手（北海道）が迫ったが仲原騎手が1馬身1/4差で押し切った。2着の若杉騎手から半馬身差の3着には、直線で末脚を伸ばした秋山騎手が入った。

勝った仲原騎手は当初、TR門別に出場予定だったが体調不良のため騎乗できず悔しい思いを経験。しかしその鬱憤を晴らすように地元でしっかり結果を残し30ポイントを獲得した。「まずは一つ勝ててひと安心。気持ち良かったです！」と嬉しそうな表情。また、レース後、大井のトップジョッキー笹川翼騎手に「完璧だったな」と声をかけられたことについて聞くと「憧れの先輩にそう言ってもらえて最高に嬉しいです。もっと翼さんの良い所を真似してがんばりたいです」と、さらに大きな笑顔を見せた。

悔しそうだったのは2着の若杉騎手。「北海道でもコーナーが課題と言われているのですが、今回も3コーナーでふくれてしまいました。勝てたレースでした」と振り返った。

第2戦は、野畑騎手が先手を取りペースを握った。ぴったりマークするように水沼元輝騎手（JRA）が2番手、その後ろに1番人気の横山琉人騎手（JRA）や新原騎手が追走し、やや縦長の展開。3～4コーナーでは、逃げていた野畑騎手に水沼騎手、横山騎手が並びかけ、直線ではこの3名の追い比べに。ゴール前では水沼騎手と横山騎手の一騎打ちとなって、水沼騎手が半馬身差でその争いを制した。3着には大外から末脚を伸ばした菅原涼太騎手（大井）が続いた。

デビューから待望の初勝利を飾った水沼騎手は、ゴール後、大きな大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。インタビューでは「馬がやめることなく頑張ってくれたので、最後は、耐えろ耐えろ～！（外から迫る馬については）やめてくれ～やめてくれ～！という気持ちでした」と率直で初々しい言葉で振り返り、周囲は和やかな祝福ム―ドに包まれた。そしてJRAの永野騎手、横山騎手、西塚騎手がサプライズで登場し『初勝利』のプラカードを持って記念撮影を行うと照れながらも嬉しそうな水沼騎手。ウイナーズサークルを去る時には深々とお辞儀をして、改めて感謝の気持ちを表していた。その姿に、今後もこの騎手を応援しようと思ったファンも多いに違いない。これがヤングジョッキーズシリーズの醍醐味の一つだと実感する瞬間でもあった。