東日本地区のトライアルラウンドも残り2戦。今回のTR川崎に出場する地方騎手9名のうち7名が、JRA騎手は6名全員がトライアルラウンド最後の騎乗予定（翌日、JRA小林脩斗騎手の追加騎乗を発表）。ファイナルラウンド進出を懸けて一つでも上の着順を目指したいところだ。

騎手紹介式の直前のレースで神尾香澄騎手（川崎）が大胆な早めの仕掛けから最低人気の馬を勝利に導き場内を沸かせていた。「会心でした。嬉しいです！馬場は今日も先行有利ですね。YJSはペースなどどうなるんでしょう。騎乗馬の1頭は後ろからの馬ですし、色々考えているところです」と神尾騎手。その話の通り、TR川崎は2戦とも逃げた馬が上位に入った。しかし、展開は見応えたっぷりのものだった。

第1戦、小林脩斗騎手（JRA）が先手を取り、直後に若杉朝飛騎手（北海道）や外枠から押して進出した新原周馬騎手（川崎）がつけ、その後ろに原優介騎手（JRA）などが続き向正面ではやや縦長の展開。

そこで早くも動いたのが最後方を追走していた小林凌大騎手（JRA）だ。一気に前へ上がりライバルたちを追い抜き、3コーナーでは逃げていた小林脩斗騎手も交わし先頭に躍り出たのだ。それを見てか後続の騎手も追い出し始めたが、この日の馬場ではもうその差は縮まらない。小林凌大騎手の勢いは止まらず直線でも後続を突き放し5馬身差の圧勝劇。2着には小林脩斗騎手が粘り、クビ差の3着に若杉騎手が入った。

豪快なマクリで見事な勝利を飾った小林凌大騎手は、TR門別第1戦に続きシリーズ2勝目。ファイナルラウンドに向けて大きな30ポイントを獲得した。レース後、勝ったダイスギミッチーを管理する田邊陽一調教師に聞いてみると「作戦通りに勝ってくれた！ああいう馬なんですよ。はまりましたね。騎手も馬もよくやってくれた！」と興奮気味に人馬を称えていた。

3着の若杉騎手は「3コーナーで外に出さず、内をつけば2着はあったかもしれないです」と悔しそう。4着の池谷匠翔騎手（川崎）は「早めに仕掛けた方が残りそうだと思いました。なんとか4着ですね。次は勝ってポイントを稼ぎたいです」。5着の野畑凌騎手（川崎）は「思った通りの競馬はできました。次は勝ちます！」と各自それぞれのポイントを確認しながら最後のレースに向かっていった。

第2戦は逃げたそうな馬が多く先行争いが注目だったが、先手を取ったのは1番人気の野畑騎手。大外枠から新原騎手が押して2番手につけたところに、さらにその外から水沼元輝騎手（JRA）が果敢にダッシュをきかせ、向正面では野畑騎手に並んだ。その野畑騎手と水沼騎手が少し後続を離して進み、3番手に新原騎手、その後ろは秋山稔樹騎手（JRA）や、田中洸多騎手（大井）らが続き、小林脩斗騎手など後方から動き始める騎手もいた。

3コーナー手前で野畑騎手が水沼騎手を振り切り、先頭のまま直線へ。最後は内から新原騎手もじわじわ迫ってきたが野畑騎手が押し切って勝利。1馬身半差の2着に新原騎手で地元川崎のルーキーによるワンツーフィニッシュ。2馬身半差の3着に水沼騎手が続き、結局は先行した3頭での決着だった。

レース前の宣言通りに勝利を飾った野畑騎手は、実はこの日が18歳の誕生日。「今日は他のレースで人気馬にも乗っていたのですが結果が出なかったので、ここで勝てて良かったです」と笑顔が弾けた。騎乗したリボーンヴィグラスは前走、野畑騎手とのコンビで圧勝していた馬。抽選で騎乗馬が決定するレースなだけに、くじ運も味方したといえよう。このバースデー勝利でファイナルへの切符を掴むことができるのか、あとは吉報を待つばかりだ。

TR川崎を終えて、地方東日本の1位が野畑騎手で56ポイント、2位が船橋の木間塚龍馬騎手で55ポイント、3位が新原騎手で50ポイント、4位が大井の菅原涼太騎手で49ポイント。JRA東日本の1位が水沼騎手で72ポイント、2位が小林凌大騎手で71ポイント、3位が永野猛蔵騎手で63ポイント、4位が横山琉人騎手で54ポイントと続いている。

東日本地区のトライアルラウンド最終戦は10月19日に浦和競馬場で行われる。