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ヤングジョッキーズシリーズ TR 浦和

2戦とも地方騎手が上位を独占
  シリーズ2勝の及川騎手が1位

東日本地区のヤングジョッキーズシリーズトライアルラウンドの最終戦が行われたのは浦和競馬場。地方東日本はポイント上位が接近している状況で迎えることになった。

トライアルラウンド川崎が終了した時点では、地方騎手は野畑凌騎手(川崎)が56ポイント、木間塚龍馬騎手(船橋)が55ポイント、新原周馬騎手(川崎)が50ポイントで騎乗機会が終了。数字の上ではトライアルラウンド浦和に参加する9名すべてが、ファイナルラウンドに進める4位以内の可能性を残していた。

一方のJRA騎手は、トライアルラウンド川崎まででの上位4名は浦和で騎乗なし。こちらも数字の上では、参戦した5名全員に4位以内の可能性が残っていた。

ファイナルラウンドに行けるかどうか、騎乗する騎手にもしない騎手にも運命の分かれ道となる最終戦。ただ、この日の浦和競馬場は前日の雨の影響で第1戦が行われる第7レースまで不良馬場(第8レース以降は重)。加えて、南関東ではもっとも直線が短いコースで不慣れな騎手が多数。さらに第1戦は最下級のメンバーで、12頭のうち8頭がブリンカーまたはチークピーシーズを付けているという顔ぶれは、波乱となる可能性がきわめて高い条件といえた。

第1戦のゲートが開くと山田敬士騎手(JRA)が先手を取り、その直後に小林脩斗騎手(JRA)がつけて2コーナー過ぎまで競り合う形。その後ろは4馬身ほど離れて3頭、また4馬身ほど離れて5頭、さらに離れて2頭が追走するという、浦和競馬場ではまず見られない展開になった。

それはまさに「ヤングジョッキーズらしい」という印象で、前半の3ハロンは37秒0。この日の前半に組まれていた同じC3クラスより1秒0も速かった。その流れには好位を進んだ騎手たちも惑わされたようで、逃げ先行で掲示板内に残ったのは、3番手から5着に残った及川烈騎手(浦和)だけ。1着から4着までの4頭はすべて、2コーナーで8番手以下だった。

その流れに乗って勝利を挙げたのは、11番人気の七夕裕次郎騎手(浦和)。9番手から外を回って追い上げて差し切った。

逆に単勝1.8倍でクビ差2着の池谷匠翔騎手(川崎)は「最低限のレースはできたかなと思います」と振り返った。その一方で「勝てていればポイントを気にしなくてよかったんですが」とも話した。もし1着だったらファイナル進出が確定的。しかし2着だったことで、最終戦の結果を待つ必要が生じてしまった。

続く3着は4コーナーまで最後方だった大木天翔騎手(大井)で「前が速かったので砂をかぶらないように走らせました」と、淡々とコメント。しかし単勝128.3倍で最低人気だったことを伝えると笑顔に変わった。

その池谷騎手と大木騎手は、浦和での騎乗が1鞍だけ。第1戦で上位に入った騎手たちがポイント争いの状況を確認していたところに、川崎終了時点で2位のポイントを持っている木間塚騎手が加わってきた。そして「第2戦はJRAの騎手を応援します」と一言。5着だった及川騎手も6着以内なら可能性が大と伝えられると、さらに気合が入った表情に変わった。

続く第2戦はC2クラスで、単勝10倍未満が7頭という混戦模様。道中の流れは第1戦よりも落ち着いたが、道中のラップタイムは強弱がある形で逃げ先行タイプが有利。4コーナーで馬群が横に広がったのもまた「ヤングジョッキーズらしい」内容だった。

その展開のなか、外を回って差し切ったのが及川騎手。2着には先行した中島良美騎手(浦和)が粘り、3着には5番手から徐々に差を詰めてきた仲原大生騎手(大井)。トライアルラウンド浦和は2戦とも、5着以内が地方騎手4名、JRA騎手が1名という結果だった。

及川騎手はこれが今シリーズでの2勝目で、78ポイントを獲得して断然の1位。野畑騎手は56ポイントでの2位で、続いて55ポイントで4名が並んだ。そのなかで勝利した実績がある木間塚騎手と大木騎手がファイナルラウンドに進める3、4位。ちなみに仲原騎手は、7着だった第1戦が5着なら2位になっていた。

一方のJRA騎手は、第2戦で7着だった佐々木大輔騎手が4位に浮上。1位は水沼元輝騎手、2位は小林凌大騎手、3位は永野猛蔵騎手になった。

やはりヤングジョッキーズシリーズは、どれだけ大きく負けないようにするかが最大のポイント。その点、第1戦も第2戦も先行して最後まで脚を残す形を取った及川騎手のレースぶりが光った。現在は笠松競馬場で期間限定騎乗中だが、第2戦のあとは浦和のベテラン騎手たちから次々に「おめでとう」と笑顔で声をかけられていた。

取材・文浅野靖典

写真宮原政典(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 七夕裕次郎騎手(浦和)

本当は前のほうに行きたかったのですが行けなくて、後方で構えていこうと切り替えました。前にいた人気馬が仕掛けたところで一緒に動いたら、最後までいい脚を使ってくれました。ゴール手前で後ろから迫ってきた3着馬が切れる脚を持っていることを知っていたので、最後はそちらのほうが気になりました。

第2戦1着 及川烈騎手(浦和)

スタートしたところで砂をかぶったら嫌がったので、1コーナーで砂がかぶらない場所に誘導しました。前を走っていた(中島)良美さんの動きに乗って4コーナー過ぎで先頭になりましたが、最後まで伸びてくれという気持ちでした。久しぶりに浦和で乗って、こんなにうまくいったのでびっくりです。