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ヤングジョッキーズシリーズ TR 名古屋

浅野騎手が地元で一気に浮上
  JRA古川騎手は人気にこたえる

ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドも残すは西日本での2ラウンドのみ。ここ名古屋と11月2日笠松で順位が決定するわけだが、地方・JRAともにまだ2戦しか騎乗していないジョッキーもチラホラといて、大逆転も可能な状況だった。

舞台の新・名古屋競馬場ではゴール前にウイナーズサークルが作られ、そこで集合写真の撮影が行われた。その前後、観客席に家族の顔を見つけて笑顔になったのは東京都出身の金山昇馬騎手(佐賀)。対して、青海大樹騎手(兵庫)は緊張した面持ちだったのだが、その理由は第1戦の騎乗馬に多くの本命や対抗の印がつけられていたことで、「印を見たくなかったです。緊張します……」とレースの準備へと向かった。

第1戦は逃げ・先行馬が複数いたが、内から先手を取ったのは角田大河騎手(JRA)。緩みのないペースで、3コーナーで2番手にいた浅野皓大騎手(愛知)とメルトが外から並びかけて先頭に立つと、ハイペースを味方につけて後方から追い込んだ古川奈穂騎手(JRA)を3/4馬身差しのいで勝利。3着も中団から差した服部寿希騎手(JRA)、角田騎手は4着に粘り、5着は塚本征吾騎手(愛知)だった。

浅野騎手は「ホッとしています」と喜んだ。というのも、「出走馬が決まってからレース映像を見たり、枠を考えてどこを通ればいいかイメージしていた」ことに加え、ここまでTR高知での2ポイントのみで最下位の状況からいかにファイナル進出を目指すか、前日には記者を交え入念にポイント計算をしていたようだ。

8着の細川智史騎手(愛知)は「砂を被らない位置を取りたくて、もう少し前目で、と思ったのですが、ペースが速くてついていけませんでした」と肩を落とした。一方で、「ペースが速くて前がタレるかと思いましたが、意外と止まりませんでしたね」と、ペースに反し結果が予想外だったことを話したのは地元を知り尽くす塚本騎手だった。

第2戦はJRAから移籍し1勝、2着1回のナオミニデレデレヤと古川騎手が単勝1.8倍と圧倒的な人気に推された。レースは細川騎手と大久保友雅騎手(JRA)が競り合うようにして2頭で引っ張った。3コーナー手前では古川騎手は先頭から約4馬身離れた位置だったが、4コーナーで外から交わして勝利。浅野騎手がその後ろから脚を伸ばし2着、3着には4コーナーで外に膨れながらも鋭く差した金山騎手、4着服部騎手、5着は加茂飛翔騎手(佐賀)だった。

勝った古川騎手が検量室前に戻ってくると、塩澤正樹オーナーは「ありがとう!」と大いに喜んだ。JRAで未勝利だった3歳馬にとって、地方2勝目は大きな意味を持つのだ。さらにオーナーを取り囲むように大応援団が「おめでとう」と祝福。実はこの大応援団は師匠の矢作芳人調教師や兄弟子の中谷雄太・元騎手、坂井瑠星騎手など“チーム矢作”で、事前に来場を知っていた古川騎手は安堵と喜びの表情を見せた。

浅野騎手は勝利に1馬身半届かなかったが、「地元のコースで、どこが軽いかを把握しているつもりなので、いい位置で競馬ができたと思います」と自負した。5着加茂騎手は「前残り馬場で、もう少し前につけていれば1つ2つは上の着だったかもしれません」と唇を噛んだ。

TR名古屋を終えて、地方西日本の暫定1位は大山龍太郎騎手(兵庫)の72ポイントで変動がないものの、ここを1着・2着で50ポイントを加算した浅野騎手が最下位から暫定2位の52ポイントまで一気に浮上。5着10ポイントと高得点を加算できた加茂騎手も同じ52ポイントで順位を上げた。

JRA西日本ではレース後にポイントを気にかけていた角田騎手が4位から暫定2位へとランクアップ。対して第2戦で勝った古川騎手は2着・1着の50ポイントを加算しても55ポイントで6位。トライアルラウンド最終戦となる笠松で騎乗がない現状では皮肉にも厳しい結果となった。

笠松で騎乗がないのはここに参戦した多くの地方騎手も同じで、浅野騎手は「当日は一般戦の騎乗で笠松競馬場にはいると思うので、『頼む!』と願っていると思います」と、ファイナル進出へ望みを託した。

取材・文大恵陽子

写真早川範雄(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 浅野皓大騎手(愛知)

いまの名古屋の馬場は内から3~4頭目が軽いので、枠なりで折り合いをつけて進めました。3~4コーナーで手応えがよすぎて早めに行きましたが、最後まで押し切れてよかったです。ファイナルに進出できれば、今年は名古屋競馬場で行われるので地元代表として恥じない競馬をしたいです。

第2戦1着 古川奈穂騎手(JRA)

多くの方々に競馬場まで応援に来ていただき、結果を残したいと思っていました。長く脚を使う馬だと聞いていたので、向正面では先頭と離れていましたが、馬の力を信じて焦りすぎないよう乗りました。地方競馬での騎乗機会は今年に入ってからで、TR佐賀の反省を生かして結果を出せてよかったです。