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ヤングジョッキーズシリーズ TR 笠松

2戦とも1番人気の地元騎手が勝利
  JRAは永島騎手が3着・2着で躍進

ラブミーチャン記念が行われた前日とは打って変わって朝から秋晴れだった笠松競馬場。いよいよヤングジョッキーズシリーズ(YJS)もトライアルラウンド最終戦を迎えた。

地方の騎手たちは金山昇馬騎手(佐賀)が2着以内に入れば、そして現時点では最下位の岡遼太郎騎手(高知)も1着・2着以上の成績なら、それぞれファイナル進出の可能性が見える状況。岡騎手は地元の大先輩・赤岡修次騎手が前日のラブミーチャン記念を勝ったのだが、「昨日の全レースを見ましたけど、人気馬の勝利が多くて、馬場傾向を掴むのが難しかったです」と迷っていた。

JRAは出場騎手中最上位(暫定8位)につける永島まなみ騎手が勝つか2戦とも上位に入るとファイナル進出が濃厚。TR笠松が今年のYJS初参戦となった角田大和騎手はさすがに2戦のみでは厳しい状況ながら、ここが手首の骨折からの復帰初戦で、本人にとっては一つの意味を持つレースでもあった。

第1戦は単勝10倍以下が過半数の6頭を占める混戦模様。それを制したのは大外枠で好位外から早めに動いた長江慶悟騎手(笠松)とボルドーアドゥールで、5戦続けての騎乗という地元の利点も生かした。後方から差した金山騎手が2馬身差の2着で、アタマ差3着に永島騎手だった。

長江騎手は「本命馬に乗っていたので、ここで1着30ポイントを獲って、第2戦で7着以内に入ればファイナルのチャンスがあるのかなと思っていました」と、事前にしっかりポイント計算をしていたよう。

それは金山騎手も同じで、レース直後に「いま55ポイントです!」と自身の持ちポイントを即答。暫定2位に浮上し、他の上位騎手はTR笠松には出場していないことからほぼ安全圏とも言えそうだったが、「あそこまで行けば勝ちたかったです。砂や他馬を嫌がる馬のようで、絶好の外枠だっただけにもったいないです……」とひたすら悔しがった。

第2戦を前にJRA交流レースを挟む間、報道陣は恒例のポイント計算。特に地元記者は「深澤騎手が勝って、長江騎手も7着以内なら2人もファイナルに行ける可能性がありそうです。笠松から1人でもファイナルに進出してほしいなあ」と期待を寄せた。

ところが勝ったのは、すでにファイナルへの可能性が消滅していた東川慎騎手(笠松)という皮肉な結果。コンビを組んだシルバーサークルは3走前までB級で走っていた馬で、4コーナー先頭から押し切った。逃げた永島騎手が2馬身半差の2着に粘り通し、1馬身半差の3着に鷲頭虎太騎手(JRA)だった。

東川騎手はファイナルには出場できないことを把握していながらも、「JRAで乗れなくても、YJSで勝てたことがめちゃくちゃ嬉しいです。YJSは今年で卒業ですが、これからは有名になれるよう頑張ります」と彼らしいポジティブさで次のステップへと進んだ。

5着の佐々木世麗騎手(兵庫)も通算101勝を達成しているため、今年でYJSがラスト。「結果を残せずすみませんでした。レディスジョッキーズでは頑張るのでよろしくお願いします」と帰路についた。6着の岡騎手も「今年はあんまり結果を残せなかったですね」と2年連続のファイナル進出とはならなかった。

さらに地団太を踏んだのは笠松所属の深澤杏花騎手と長江騎手。2人とも第2戦で何ポイントを獲得すればいいかを熟知していただけに、「勝てれば、と思って一生懸命乗ったけど……」と深澤騎手が7着に悔しさを滲ませると、長江騎手は「交わされていく頭数を数えていましたが、直線で9頭目まで交わされて『ダメだ……』と思いました」と10着という結果に肩を落とした。

この結果、地方西日本は未勝利ながら2着3回の大山龍太郎騎手(兵庫)が72ポイントでトップ通過し、TR笠松で高ポイントを加えた金山騎手が55ポイント、TR名古屋で勝った浅野皓大騎手(愛知)が52ポイントで3位、TR佐賀で勝った加茂飛翔騎手(佐賀)は浅野騎手と同ポイントながら『上位の着順を得た回数の多い』騎手が上位となる規定から4位だった。

JRA西日本ではTR笠松を3着・2着で一気に加算した永島騎手が71ポイントで1位。TR園田で勝った泉谷楓真騎手が66ポイント、TR高知で勝った角田大河騎手が64ポイント、TR園田で自身初勝利を挙げた川端海翼騎手が58ポイントと続き、この4名がファイナル進出を決めた。

今年は初めて名古屋競馬場とJRA中京競馬場で行われるファイナルラウンド。施行時期もやや前倒しとなり、12月16日に名古屋競馬場、翌17日にJRA中京競馬場で第6代チャンピオンが決まる。

取材・文大恵陽子

写真岡田友貴(いちかんぽ)

Comment

第1戦1着 長江慶悟騎手(笠松)

先行しても後ろからでも競馬ができる馬で、今日は差し馬が多かったですし大外枠が当たったので思い切って前で競馬をしようと思いました。スタートは手こずりましたが、仕掛けるとハミを取って気分良く行ってくれました。初のYJSは違う競馬場でも乗れて勉強になりました。来年はもっと勝ちたいです。

第2戦1着 東川慎騎手(笠松)

道中は外から被せられていて、どこで出そうか焦りましたが、ちょうど空いたスペースができてそこを進みました。普段のレースと違った雰囲気のYJSで勝てたことが嬉しいです。今年が最後のYJS。これからは有名になれるよう頑張ります。