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2009年11月3日(祝・火) 名古屋競馬場 1400m

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ダート短距離でこその強さ、3歳馬がスプリント初勝利

 強いスーニが戻ってきた。
 昨年2歳時、全日本2歳優駿JpnIまで圧倒的なレースぶりで4連勝したときは、3歳になってどれほどの活躍をしてくれるのだろうと期待を抱かせた。年が明け、芝のアーリントンカップGIIIは惨敗だったものの、伏竜ステークスでは59キロを背負ってゴール前猛然と追い込む強い競馬を見せた。しかしその後、兵庫チャンピオンシップJpnIIでゴールデンチケットにクビ差で敗れると、ジャパンダートダービーJpnIは惨敗ともいえる6着。レパードステークスでも決定的ともいえる3馬身差をつけられてトランセンドに敗れていた。
 ただ、あらためてこの馬の力を再認識させられたのが、古馬と初対戦となった前走の東京盃JpnIIだったのではないだろうか。昨年のJBCスプリントJpnIを制したバンブーエールには敗れたものの、上がり3ハロン36秒9という鋭い末脚を繰り出しての2着は、バンブーエールの36秒8と比べても見劣るものではなかった。
 そして今回、バンブーエールは残念ながら浅屈腱炎によって戦線離脱となったものの、スーニはこの短い距離でこそ力を発揮するのだというレースをあらためて見せてくれた。
 高知の快速馬ポートジェネラルが逃げ、スーニはその2番手を追走。向正面では抑えきれないような手ごたえだった。3〜4コーナーで外からアドマイヤスバルがまくってくると、先に行かせまいと追い出され、直線では単独で先頭に立ち、そのまま押し切った。
 見せ場をつくったアドマイヤスバルだが、2100メートルの白山大賞典JpnIIIを勝ってここに臨んで2着という結果は、奇しくも昨年のスマートファルコンと同じ。「4コーナーで並びかけたときは勝てると思いました。もう少し距離が延びたほうがいい」と勝浦正樹騎手。3/4馬身差で振り切られたのは、距離適性の差だろう。アドマイヤスバルは、目標であるジャパンカップダートGIであらためて期待ということになる。
 そして今回、注目を集めたことのひとつが、芝のスプリンターズステークスGIできわどいハナ差の2着だったビービーガルダンのダート初参戦。前半こそスーニをぴったりマークする位置を進んでいたものの、直線では置かれてしまい、離されての6着。「返し馬の感じはむしろ芝よりいいかと思ったけど、あれだけ負けたということは、やっぱりダートは合わないということでしょう」と安藤勝己騎手。芝ではGI級でも、そのスピードが通用するほど今のダート路線のレベルは甘くはないということだろう。
 地方勢は、船橋のノーズダンデーが勝ち馬から1秒2差の4着と好走。一方で、一昨年の覇者フジノウェーブは、中団のまま5着。この馬の適距離はやはり大井の1200メートルのようだ。
 JBCでは、クラシックのほうはアドマイヤドンが02年の3歳時に勝っているものの、スプリントを3歳馬が制したのは、今年のスーニが初めてのこと。このあとの武蔵野ステークスGIIIに、スーニに土をつけたテスタマッタ、トランセンドらが出走予定となっているが、今年のダート戦線における3歳馬もかなり高いレベルにありそうだ。

 
川田将雅騎手
 前走の東京盃は、久しぶりに短い距離だったこともあって、次につながる競馬をしたのですが、今回は勝ちに行く競馬をしました。3コーナー手前で流れが落ち着いて、そのあとに外からアドマイヤスバルが上がってきたので、すぐにはエンジンがかからなかったのですが、最後もしっかり伸びてくれました。3歳馬でJpnIを獲ってくれて、ほんとによくがんばってくれたと思います。 
 
吉田直弘調教師
 コメント:福島豊助手
ビービーガルダンがハナに行ってくれると思ったけど、それでも2番手からは理想的な展開でレースができました。ジョッキーも折り合いはついていたと話していたし、コーナーワークも問題ありませんでした。アドマイヤスバルに来られたときは脚取りが怪しいように見えましたが、相手も同じような脚いろだったので安心して見ていました。

 

 


 


 

取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(宮原政典、三戸森弘康)、NAR