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開幕迫る、ホッカイドウ競馬2歳戦(前編)


 
桜花賞(浦和)はホッカイドウ競馬出身の2頭が1、2着
 3月24日(水)、浦和競馬場で行われた南関東3歳牝馬クラシックの1冠目「第56回桜花賞」を制したのは、今年もまた"強いホッカイドウ競馬デビュー組"のショウリダバンザイ(北海道・林和弘厩舎→大井・高岩孝敏厩舎、父プリサイスエンド)だった。同じく道営出身で前哨戦のユングフラウ賞を快勝して臨んできたバックアタック(北海道・村上正和厩舎→大井・宗形竹見厩舎、父アグネスデジタル)の逃げを、直線一気に差し切って2馬身半差の快勝。NAR09年度代表馬で出走すれば圧倒的な1番人気が確実だったラブミーチャン(笠松・柳江仁厩舎)が、残念ながら熱発で出走を取り消し、相手関係がいくらか緩和された面はあっただろうが、そうした見解を封じ込めてしまう勢いすら感じる、豪快な差し切り勝ちだった。
 待望の重賞初制覇で晴れて「桜花賞馬」となったショウリダバンザイ。これで南関東転入後は、1月大井の桃花賞に次いで無傷の2連勝。勢いに乗って、5月20日(木)大井競馬場1800mで争われる「第24回東京プリンセス賞」で“2冠達成”に挑む。

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東京2歳優駿牝馬(大井)を快勝したプリマビスティー
 昨年の3歳牝馬戦線を席巻したネフェルメモリー(東京2歳優駿牝馬、桜花賞、東京プリンセス賞のST・3勝)に続き、桜花賞2連覇を果たした北海道デビュー馬。昨年暮れの大井ST「東京2歳優駿牝馬」も、転入初戦だったプリマビスティー(北海道・田中淳司厩舎→船橋・岡林光浩厩舎)が豪快に差し切って圧勝しており、南関東3歳牝馬クラシック戦線は今年も、道営デビュー組を中心に回っていきそうだ。
 
京浜盃(大井)は2着と惜敗も羽田盃、
東京ダービーへの期待がかかるシーズザゴールド
 牝馬だけではない。牡馬陣も、羽田盃→東京ダービーを制する資格十分の高素質馬が揃っている。
 中でも、南関転入後の成長著しいシーズザゴールド(北海道・国信満厩舎→大井・荒山勝徳厩舎)が筆頭格に急浮上。道営時は、昨年8月11日の新馬戦(JRA認定フレッシュチャレンジ、門別1200m)で、後のJRA交流JpnVエーデルワイス賞2着馬クラキンコを豪快に差し切ってデビュー勝ち。2戦目のオープン特別は逃げて4着に下がったものの、勝ち馬が後のJRA交流JpnV北海道2歳優駿2着馬ポシビリテ、2着もエーデルワイス賞優勝馬オノユウという超強力メンバー(ちなみに6着のラストキングも大井・佐野謙二厩舎に移籍し2月大井の雲取賞に優勝)だっただけに「負けて強し」の評価ができる走りだった。
 道営は2戦で切り上げ、早めに大井に移籍すると、11月30日の転入初戦→12月28日たんちょう特別→1月18日福寿草特別をいずれも圧巻の内容で3連勝。満を持しての重賞初挑戦となった3月18日のSU「第33回京浜盃」では、ロケットスタートから1700mを一気に逃げ切った伏兵ジーエスライカーを捕らえ切れなかったものの、着差はわずか0秒2。本番の羽田盃ではジーエスライカーへのマークが厳しくなるのは必至だし、実際に1月の福寿草特別で豪快に捻じ伏せた相手。現時点で、シーズザゴールドが戴冠に最も近い存在だと言っても過言ではないだろう。
 このほか、休み明け3歳初戦だった京浜盃5着からの巻き返しを図る、交流JpnT全日本2歳優駿2着馬ブンブイチドウ(北海道・角川秀樹厩舎→川崎・内田勝義厩舎)、京浜盃では先手を取れず自分の形に持ち込めなかった南関東2歳重賞2勝(鎌倉記念、平和賞)のナンテカ(北海道・角川秀樹厩舎→川崎・佐々木仁厩舎)らも戴冠を狙える存在。羽田盃(4月21日、大井1800m)では07年トップサバトン以来の、東京ダービー(6月2日、大井2000m)でも同じく07年アンパサンド以来となる道営デビュー馬Vの可能性は十分ありそうだ。
 このほか、各地の地方競馬に移籍した道営デビューの3歳馬の活躍も目立つ。
 
未来優駿・サッポロクラシックカップ(門別)に優勝、
岩手を経てJRAに移籍したモエレデフィニット
 岩手では、昨シーズン終了翌日の「トレーディングセール」で取引されたモエレデフィニット(北海道・村上正和厩舎→岩手・櫻田浩三厩舎)が移籍後2連勝。年明け1月2日の「第36回金杯」で地元の雄ロックハンドスターを差し切って重賞初制覇を果たした。その後JRA移籍となったが、牝馬戦線でもダイメイジュエリー(北海道・岡島玉一厩舎→岩手・村上昌幸厩舎)が転入後負けなしの3連勝を決めてトップ級の存在に。
 
桜花賞(浦和)で4着と健闘したコロニアルペガサス
 笠松では、いずれも山中輝久厩舎に転入したエレーヌ(北海道・角川秀樹厩舎→、父ダイタクリーヴァ)&コロニアルペガサス(同→、父サンライズペガサス)が各地の重賞にも積極的に参戦して大活躍。コロニアルペガサスは3月7日福山の「第8回若草賞」で2着に7馬身差の圧勝を飾ると、果敢に挑んだ桜花賞(浦和)でも3着とわずかクビ差の4着という大健闘を見せた。
 道営新馬勝ちの実績を引っ提げ、9月に佐賀へ移籍したゴールドセント(北海道・田部和則厩舎→佐賀・土井道隆厩舎)は、転入後2着が6回もあり“勝ち切れないレース”が続いたが、2月21日の重賞「第6回飛燕賞」で鮮やかな差し切り勝ち。待望の移籍後初勝利を、重賞で飾ってみせた。

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 このように、ホッカイドウ競馬のし烈な2歳戦線で力をつけた出身馬たちが今、全国の3歳戦線でトップを競う活躍を見せている。ダービーウイーク2010で各地の王座に就いた精鋭が、7月14日大井のJRA交流JpnT「ジャパンダートダービー」に集結し、再び矛を交えることになるかも知れない。
 毎年のように、各地のクラシックホースを輩出し続けているホッカイドウ競馬の2歳戦線。積み上げてきたその実績から、全国の競馬ファンの注目は年々高まり、POG(ペーパーオーナーゲーム)などで道営デビュー予定馬を指名するケースも増えてきていると聞く。そんな全国の関心が集まるホッカイドウ競馬の開幕が、いよいよ1ヵ月後(4月28日)に迫ってきた。
 後編(4月中旬掲載予定)では、今シーズンの注目されるデビュー予定馬や新種牡馬の産駒情報、3月18日から始まった「能力検査」での注目馬など“ぜひ知っておきたいマル得情報”をお届けする予定。楽しみにお待ち下さい!
 
取材・文●神谷健介
写真●いちかんぽ、NAR


 
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